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天使は謳い、悪魔は嗤う  作者: 剣玉
第4章 復讐の先へ
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第53話 夢魔

 


「……は?」


「だから、ウチとヤってほしいッス!」


「殺って欲しいのか?」


「はいッス!激しくお願いするッス!」


 リアムは首を傾げながらもファルシオンを抜いた。そして構える。


「じゃあ殺るぞ」


「ちょ、ちょっとおかしいッス!なに殺そうとしてるんスか!?」


「は?殺って欲しいんだろ?」


「そっちの殺るじゃないッスよ!」


「じゃあなんなんだ?」


「要するにウチとセックスして欲しいってことッス!」


「………」


 リアムは無言で剣を掲げ、強い殺気を放った。


「な、なんでまた殺そうとしてるんスか!?」


「いや、ふざけたこと言ってるから消そうかなって」


「怖っ!イケメンなのに怖すぎッス!」


 リリスは少し怯えたように後ずさった。リアムはアロケルに顔を向ける。アロケルは困ったような顔をした。


「彼女は悪魔の中でも夢魔って種族なんだよ。君達の間だったら淫魔の方が分かりやすいかな?」


「聞いたことはあるな」


「彼女達は人との性行為によって生気を奪うんだよ」


 リアムはそこまで聞いてまたも剣を掲げた。更に殺気を高めた。


「なんで!?」


「あ?要するにあれだろ?こいつは俺の生気を奪おうとしたんだろ?なら殺す」


「誤解ッス!誤解ッスから殺気を解いてッス!」


 リアムは少し迷ってから殺気を解いた。剣は握ったままだ。


「ウチらが生気を奪うのは人間だけッス。だから悪魔や半魔とヤっても生気を奪ったりはしないッスよ」


「じゃあなんで俺と?」


「それは単にウチがヤりたいだけッスよ。人間はすぐに果てて死んじゃうし、そこらの悪魔はデカすぎて痛いだけッス。気持ちいいエッチがしたいんスよ」


「アロケルは?」


「アロケル様は下半身が馬じゃないッスか。なんか獣姦みたいで嫌ッス」


「なるほど。それは分かる」


「ちょっと君達失礼じゃないかい?」


 アロケルが微妙に殺気を放ちながら会話に割り込む。リリスは必死になって謝っていたが、リアムは知らん顔だ。


「それで、リアム様イケメンだし立派なモノ持っるからウチとヤってくれないかな、と」


「……おい、なんで俺のサイズ分かるんだよ」


「種族柄ッスかね。なんとなく分かるんスよ」


「……はぁ。とりあえず、お前とは何もしない。これでも将来を誓った人がいるんだ」


「分かりました!なら、後ろの穴はどうッスか!?」


 そう言ってリリスは腰の布を解くと、露わになったお尻をリアムに突き出した。


「こっちなら浮気にならないし、童貞のままッスよ?」


「お前……まじで殺すぞ?」


「なんでッスか!?まぁウチは再生能力が高いんで、上級悪魔ッスけど聖剣ぐらい無いと簡単には殺せないッスよ?」


 リリスはドヤ顔で言う。お尻をフリフリしながら。だがリアムの目は冷めていた。


「そうか」


 リアムは短く答えると、徐に魔石から聖剣を取り出した。そしてリリスの腰すれすれを通して地面に叩きつける。


「ほれ。死ぬか?」


「なっ、なんで半魔なのに聖剣持ってるんスか!?ごめんなさいまじ勘弁してほしいっす!」


 リリスはリアムの聖剣を見るとそのまま勢いよく土下座をした。リアムは聖剣を仕舞う。


「もういいから、気が済んだらさっさと失せろ」


「そんな事言わないでくださいッスよ。それにしても、ウチの綺麗な秘部を見せて、魅了チャームも使ってたのになんで誘惑されないんスか?もしかして不能ッスか?」


「どんな事があっても悪魔に発情する訳ないだろ。あと不能じゃない」


 確かにリリスはリアムから見ても美人だ。リアムとて男。しかもこういった事とは縁が無かった。

 これでリリスが人間なら危なかったかもしれない。少なくともリアムの息子は元気になっていただろう。


 だが、リリスは悪魔だ。悪魔が嫌いなリアムからしたら誘惑されるなんて有り得ない。


「でも、ウチは諦めないッスよ?実は後ろの穴は使ったことないんスよ。だからこれはいつかリアム様に捧げるッス!」


「いらねえ。諦めろ。アロケル、そろそろ行くぞ」


「はいはい」


 リアムは話を切り上げてアロケルに言うと、すぐにまた歩き出した。だが、足音が一人分多い。


「おい」


「ウチもついて行くッス!」


「来んな」


「まぁ待てリアム。リリスは確かにあんな感じだが実力は本物だ。別にいいんじゃないか?」


 予想外の言葉にリアムは驚く。アロケルの顔を見るが、何を考えているかは分からない。


「……好きにしろ」


 こうして、旅の仲間が一人増えた。



 〜〜〜〜〜



「はぁ〜アモンの野郎を殺しにきたんスか」


 アロケルの少し後ろを歩きながらリアムはリリスにも目的を話した。するとリリスは感心したように言った。


「なんだ?お前もアモンに恨みがあんのか?」


「はいッス。ウチも昔、アモンに殺されそうになったッスから」


「……人間の頃か?」


「あれ?ウチが元人間なのって言いましたっけ?」


「いや、お前の姿を見たら分かる。獣人の要素が無いからな」


 リリスは羽と尻尾を除いたら人間の形をしている。それは一目見た時から気付いていた。


「ウチがまだ人間だった頃、ウチの国がアモンに滅ぼされたッス。リアム様と一緒ッスね。それで死にそうになったところにアロケル様が来たんス」


「そこで悪魔因子か」


「はいッス。一か八かでしたけど、どうせ死ぬならと思ってアロケル様にお願いしたッス。その結果が今ッスね」


 リリスはそう言って布を解いて全裸になり、リアムに流し目を送る。リアムはそれを可哀想な目で見た。


「残念な結果だったんだな」


「なんでッスか!?ま、まぁとりあえず、そうしてアロケル様に助けてもらったんスよ」


「お前が俺に気を掛けるのも、俺が人間だから、だろ?」


「っ!?……バレてたッスか?」


「なんとなくな」


「流石ッスね。でも、半分正解ッス。もう半分は本気で交わりたかったんスよ?」


「あっそ。それで?お前が悪魔になったのは何年前なんだ?」


「そうッスね……五百より先は数えてないッス」


 そこでリアムは足を止めた。それに気付いたリリスも足を止める。


「どうしたんスか?」


「おい、人間が悪魔になったら寿命が伸びるのか?」


「そうッスね。あ、半魔は伸びないッスよ?まぁずっと半魔でいるのも難しいッスけど」


 リリスによると、人間は皆最初は半魔になるのだが、精神力が弱いためすぐに完全な悪魔になってしまうらしい。リリスは一年も待たずに悪魔になった。


「そうか……。良かった」


「良かったんスか?」


「ああ。大切な人だけ死んで、自分だけ生き残るのはもう嫌だからな」


「それは分かるッス。でも、リアム様も悪魔になるかもッスよ?」


「絶対にならない。俺は因子には負けない。こんな俺でも必要としてくれる人がいるんだ。なのに俺だけ負けてられるかよ」


「……久しぶりに会えた人間がリアム様で良かったッス」


 リリスは少し悲しそうに、だが確かな喜びを含めた笑みを浮かべた。


「久しぶりってどれぐらいだ?」


「そうッスね、大体三百年ぶりぐらいッス。成功率が悪いから誰も人間に因子を与えないんスよ」


「そんなにか。魔界からは出ないのか?」


「はいッス。昔は出てたんスけど、ここなら生気を吸わなくても大丈夫ッスから。エッチする相手はいないッスけど」


「……今の地上界の話とか、してやろうか?」


「いいんスか?」


「まぁ俺もあんまり知らないけどな。知ってる範囲だけになるけど」


「お願いするッス!ちなみに、ウチのいた国はブリル王国って言うんスけど、まだあったりするッスか?」


「はぁ!?ブリル王国!?」


「ひゃっ!?」


 聞き覚えの有り過ぎる名前にリアムは驚く。その声にリリスも驚いたようだ。


「あ〜びっくりしたッス。知ってるんスか?」


「……俺がいた村はブリル村だ。グラム大陸の北端にある小さな村だった」


「んなっ!」


 流石のリリスも絶句した。こんな偶然はあるのだろうかと。


 リアムはふと、リリスの赤い髪を見た。よく見たら、その色は見覚えがある。母と兄の髪色と同じ。忘れる訳もない記憶。赤い髪なんて珍しくも無いが、もしかして、と思ってしまった。


「なぁ、まさかとは思うけど、家名がセヴェールだったりするか?」


「なんで知ってるんスか!?」


 嫌な予感が当たってしまった。

 ここまできたらもはや運命を信じそうになる。セヴェールはリアムの母、アナがタクトと結婚する前の家名。つまり、


「お前、俺の先祖じゃねえかぁぁぁぁぁ!!!」





作者「名前も紛らわしいんじゃぁぁぁぁ!!」

リリス「それは理不尽っす!」

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