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天使は謳い、悪魔は嗤う  作者: 剣玉
第1章 大切なもの
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第5話 自己紹介

全然文字量が調整できません。助けて下さい。






 

「コホン。さてリアム君ようこそ、2年A組へ。私はクレア・マクドネル。このクラスの担任よ」


 クレアは一通り説教(愚痴)を言い終えると落ち着いたのか、リアムにそう言った。


「さっきはいきなり悪かったわね。謝るわ。でも、昨日は何故来なかったのかしら?何か事情があったの?」


「あ〜実はですね、目を覚ましたら昼でして、急いで教室へ向かおうとしたんですが場所が分からないもんですから、それならいっそ、今日はいなかった事にしようかな〜と」


「なるほどね。それは仕方ないわ……ってなる訳ないでしょう!?え、なに、ほんとにただのサボり!?」


 リアムが正直に答えるとクレアは驚いたように聞き返す。


「ちっ違うんです!安全な場所で寝るのが久しぶりで、つい熟睡してしまったんです!」


 別に嘘はついていない。森の中で生活していた時は、寝ているところに魔物が襲撃してくる事も少なくなかったのだから。全て返り討ちにしていたが。


「そうなの……」


 しかし詳しい事情を知らないクレアはその言葉に少し詰まった。


 つい先ほど自分の攻撃を全て防いだリアムは、明らかに只者では無い。だが、もしかしたら暗い過去でもあるのではないか。強いとは言え、まだ12歳のこの子は凄まじい過去を経験してきたのではないか。むしろ、だからこその強さではないのか。と、実は全くもってその通りなのだが、クレアはそんな事を思った。


 それなら1日ぐらいのサボりも別に……


「はぁ、仕方ないわね。次からは気をつけなさいよ?」


「はい。すみませんでした」


(もしかしてチョロい?)


 呆気なく引いたクレアに、リアムはそう思ったのだった。



 〜〜〜〜〜



「はい、では皆さん席に座って下さい。今日の授業を始めます。その前にほら、リアム君。自己紹介して」


「はい。分かりました」


 既に最初の襲撃から1時間ほど経ってからクレアはそう言った。生徒達はざわめきながら席へ着く。


(てゆーか、今の流れずっと見てたの?)


 リアムはそんな事を思ったが口にはしない。


「えっと、初めまして。今日からこのクラスに所属する事になったリアムと申します。よろしくお願いします」


 リアムは簡単に自己紹介をする。基本、家名は名乗らない事にしている。スイに出来る限り明かさない方がいい、と言われていたからだ。


 何故だか分からないし、そもそもリアムの家名について本人より詳しいのはどうかと思うが素直に従った。それに家名が無いこと自体、さほど珍しい事では無い。


「昨日から、ね。それに自己紹介なんだからもうちょっとなにかあるでしょう?」


 すぐに終わらせようとしたのだが、クレアが横から口を挟んだ。


「え〜、12歳です。それと好きな食べ物は甘い物全般。出身地は……北の方にある村です」


「なによそのふわふわした自己紹介。北の方ってなに?村の名前は?」


 クレアはリアムの素性が気になっているようだが、リアムは村の名前を明かすつもりも無い。


 ブリル村が悪魔によって壊滅したことは大陸中に広がっており、その事件の詳細については未だに謎が多い。だからもし自分の出身を明かすと、必ず根掘り葉掘り聞かれるだろう。


 それが面倒くさい。と言うよりも、あまりその事について聞かれると、つい殺っちゃうかもしれないので秘密にする。


「すいません、忘れちゃいました」


「……はぁ。もういいわ。あなたも席に着きなさい」


 リアムが適当に誤魔化すと、クレアはどこか諦めたようにそう言った。


 生徒達はまばらな拍手を送り、リアムはさっきまで座っていた席に着いた。



 授業はリアムにとって退屈なものだった。2年生はまだ基礎的な事を学ぶのだが、リアムは既にスイから英才教育を受けている。だから授業で学ぶ事は何も無かった。


 今日は全て座学だけだった。実力主義であるこの学校は実技演習が多いのだが、今日のクレアはリアムに自分の攻撃を全て無力化された事がショックでそんな気分になれなかった。生徒達もその事に気付いているから何も言わない。


 今日の授業が終わると、生徒達はまたリアムの方を見てコソコソしだした。


 昼休みの時もそうだったのだが、リアムはすぐに教室を出て行ったので話しかけることが出来なかった。それは昼ご飯を忘れたリアムが一度寮に帰り、そこで料理をして昼食を摂っていたからなのだが。


 リアムは女性ウケする容姿をしている。髪は黒いがそれもまた目を惹く要素の一つになっている。だから女子生徒はそんなリアムが気になっていた。


 男子生徒も新しいクラスメイトに少し浮つき、また、リアムが朝見せた強さが気になっていた。


 こうして、リアムはクラス中から注目を集めているのだが、本人は気にしない。


 授業が終わると誰かが話しかける間も無く、クレアの元に向かった。


「クレア先生。図書館に行きたいんですが案内してくれませんか?」


「何か用事が?」


「まぁ色々と調べたい事があって」


「そう。構わないわよ。じゃあついて来て」


 そしてさっさと教室から出て行ってしまった。教室に残された生徒達はポカンとしていた。



 〜〜〜〜〜



「あれが図書館よ」


 そう言ってクレアが指を差した先には巨大な建物が建っていた。赤いレンガでてきており、所々にガラスが嵌められている。


「あそこには自由に入っていいんですか?」


「ええ、もちろんよ。それにしても、意外と勉強熱心なのね」


 クレアが感心したように言う。マイナスから始まったリアムの評価は少し上がったようだ。


「じゃあ私はもう行くから、門限までには寮に帰るのよ?」


「はい。分かりました」


「……ねぇ、あなたって……」


「どうしたんでしょうか?」


「いえ、何でも無いわ。それじゃあ行くわね」


「……?そうですか。ありがとうございました」


 リアムは少し気になったが、クレアに礼を告げると、そのまま図書館に向かって行く。


 クレアはその後ろ姿をじっと見つめていた。




 図書館の中は所狭しと本が並べられていた。建物の上の方にも本が詰められているのだが、そこに行くための階段が無い。


「あんなとこの本ってどーやって取るんだ?」


「魔法を使うんだよ」


 リアムが呟くと後ろから声が聞こえた。


 顔をそちらに向けると、そこには銀髪の女性が立っていた。髪は短く、少し跳ねているのだがクレアに負けず劣らず、と言うよりもクレアよりも更に美人だった。


(ここ美人率高くないか?)


 リアムは、教室にいた女子生徒もレベルが高かった事を思い出しながら、


「あなたは?」


 と尋ねた。


「私はアリサ。14歳で今は6年生よ。あなたこそ見かけない顔だけど、新入生?」


「はい、自分はリアムといいます。昨日から2年A組に所属しています」


(この学園は11歳から入れるから、順当に行けば14歳は4年生。つまりこの人は飛び級か)


「君、私より年下……よね?」


 リアムがあれこれと考えているとアリサはそう聞いてきた。


「……?そうですよ。今は12歳です」


「だよね。変な事聞いてごめんね?なんか私より大人びてる気がしたから」


 そう言って恥ずかしそうに頭を掻いた。


「それで魔法を使うと言うのは?」


「ここはね、上にある本ほど希少な本なの。で、ここって実力主義でしょう?だから良い本を読みたかったら自分の実力で取れって事なの」


「なるほど。徹底してますね」


「でしょう?そこが面白いんだけどね」


 アリサが楽しそうに笑う。その姿はとても可愛らしく、リアムは不覚にも少し見惚れてしまった。


「それでリアム君は何の本が読みたいの?私もよくここに来るから大体は本の場所は分かるよ?」


「ああ、それは助かりますね。では悪魔について書かれている本ってどこにあるか分かりますか?」


「あ〜悪魔学の本?それは結構上の方だったかなぁ」


 アリサは少し言いずらそうに口ごもる。恐らく2年生が取れるような場所に無いのだろう。


「どこにあるか教えてもらえますか?」


「んっと、あそこらへんだけど……」


 アリサが指したのはかなり上の方だった。


「なんだったら私が取ってあげようか?ほんとはダメなんだけど、今は他に誰もいないし大丈夫だと思うから」


「いえ、大丈夫ですよ。ありがとうございます」


 リアムはアリサの申し出を断り礼を言うと、自然な動きで宙を歩きだした。まるでそこに階段があるかのように上へと歩いていき、目当ての場所に着く。


(えっと……うわ、ほんとにいっぱいあるな。とりあえずは入門編っぽいこの"悪魔について"ってやつでいいか)


 そう考え本を抜き取り、地上へ戻った。


 床に足をつけると、何やらアリサが驚いたか顔をしている。


「……?アリサさんどうかしたんですか?」


 リアムが尋ねると、アリサはハッとしたような表情になり、


「リアム君!今のって空歩だよね?」


「ええ、そうですが。もしかしてここでは使用禁止だったりします?」


「そうじゃなくて、空歩なんて卒業生でも大半は使えないよ!リアム君ほんとに2年生なの!?」


 とリアムの肩を掴んで揺さぶってきた。


「ア、アリサさん、ちょっと落ち着いて下さい」


 リアムがとりあえず宥めようとすると、アリサは少し顔を赤くしてリアムから離れる。


「えっとごめんね。でも空歩なんて誰でも使えるものじゃないのよ。間違いなく2年生が使えるものじゃないわ。リアム君、もう一度聞くけどほんとに2年生なの?」


「はい、そうですよ」


「そう……それって誰に教わったの?」


「俺の師匠です。ここに来る前は修行をつけてもらってました」


 リアムは正直に答える。


(空歩ってそんなにレベル高いの?師匠それ先に言っとけよ!)


 そんなことを考えながら。するとアリサが


「もしかして2年生として入ったのって訳あり?」


 と聞いてきた。それなりに鋭いようだ。


「まぁそうですね。だから、出来ればこの事は内緒にしていてくれませんか?」


「分かった。約束するわ。ねぇ、それと私からも一つお願いがあるんだけど……」


 そこでアリサは少し恥ずかしそうにすると、


「私に空歩を教えてくれない?」


 と、そう言った。



とりあえず今日はここまでです。

ご覧いただきありがとうございます。

評価やコメントもして頂けると嬉しいです。

読みにくかったり、意味が分かりづらかったりなど、改善点などがあるとビシバシ指摘して下さい。(出来るだけ優しく)

少しでも良い作品にしたいと思っていますので。


明日も投稿すると思いますがこれからは間が開いていくと思います。


これからもよろしくお願いします。




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