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天使は謳い、悪魔は嗤う  作者: 剣玉
第3章 別れから出会い
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第36話 『役立たずの勇者』

 

「父が……勇者?」


 リアムは思わず聞き返す。


 そんな事は初めて聞いた。確かに、ミサキとコウキのように変わった名前だとは思っていた。確かに、それなら携帯を持っていた事に説明がつく。


 だがまさか自分の父が勇者だなんて信じられない。


「そうだ。このフュラケー王国で召喚した3人の勇者、その内の1人だ」


 パウルスは肯定する。


「そうか、知らなかったのか。ところでタクト・イガラシは今は何をしている?」


「……"ブリルの惨劇"をご存知でしょうか?」


「ああ、知っているとも。悪魔に襲われた凄惨な事件だろう?」


「はい。私はその唯一の生き残りでございます。つまり……」


「そうか、タクト・イガラシはあの事件で死んだのか……」


 そう言うとパウルスは少し俯いた。リアムの周りにいる手練れ達も同じようにしている。


 リアムは父とどのような関係だったのかが気になった。だが、


「そうか、そうか。死んだのか、あいつは。クク、ククク、クハハハハハハハ!!」


「パウルス様?」


「いや、悪い悪い。少し可笑しくてな」


「可笑しい?」


「ああ。だってそうだろう。あの『役立たずの勇者』がひっそりと生きていて、そして死んだと言うのだからな!!」


 そう言うとパウルスは笑い出す。気付けば周りの人間も笑っていた。


「役立たず……?」


「ああ、あの男は、いや、あの男達はろくに戦えない勇者だった。そして何の役に立たずに死んだと聞いていたが、生きていたのか!いや、この場合死んでいた、と言う方が正しいのか?」


 リアムはやっと理解する。こいつらは父を馬鹿にしているのだと。


「……おい、お前ら。死にたくなければ今すぐに黙れ」


 リアムは出来る限り怒りを抑えて静かに言った。だが、それを聞いて更に笑う。


「ハハハ、あの役立たずの息子がいきがるな!それより、あいつがどうやって死んだのか聞かせてくれ!どうせ最期まで腰を抜かしていたのっ」


 そこでパウルスの声は途切れた。その事に気付いた男達がパウルスを見る。


「……とりあえず、皆殺しだ。悪いな、ミサキ。しばらくじっとしといてくれ」


 だが、そこにいたのはファルシオンを握るリアムだった。その目の前をパウルスの首が飛んでいる。そして、それが地面についたのと同時に踏み潰した。


「さて、次は誰が死ぬ?」


 刃に付いた血を払い、リアムは酷く冷たい声でそう言った。



 〜〜〜〜〜



 2分も待たずして、その場で生きているのはリアムとミサキだけになった。


 リアムは屍の山を虚ろな目で見ている。ミサキはその光景を見て吐きそうになっていた。


「………」


 後悔がないと言えば嘘になる。さすがにやりすぎたかもしれない。先程から何か不快なものが胸の中で渦巻いている。


 一国の王を殺害し、国の実力者まで皆殺しにしてしまった。これでは完全にテロリストだ。だが、抑えられなかった。


 リアムは許せなかった。父の事を役立たずだと言うだけならまだ我慢できた。勇者としての父を知らないリアムには何も言えないから。


 だが、パウルス達は父の死を笑った。そしてリアムを庇って死んだ父の事を腰抜けと言った。それは許せなかった。


「……悪いな、ミサキ」


 リアムはそう言うとミサキの背中をさすって王の間から出る。


「大丈夫か?」


「は、はい……。ごめんなさい」


「なんでミサキが謝るんだよ。それは俺のセリフだろ?」


「ううん。リアムさんのお父さんが馬鹿にされたのに、私は何も言えませんでした」


「ミサキは俺の父さんを知らないだろ?それはミサキの役目じゃない。だから謝るな」


「……じゃあ、リアムさんも謝らないでください。リアムさんは、悪くありませんから」


「……分かった」


 お互いに、それ以上何も言わなかった。


 廊下を歩いているとメイドが倒れていた。気絶しているだけのようだ。


「ミサキ、止まれ」


 リアムが言うとミサキが止まる。そして、


「そこかっ!」


 リアムは柱に向けてナイフを投げた。魔力を纏ったそれは柱を貫通する。だが、そこにいた者はナイフを避けて、リアム達の前に現れた。


 不思議な男だった。男だとは分かる。だが、それ以外分からない。


「お前のそれは、認識阻害のローブか?」


「へぇ、やるな。これをすぐに見破るか」


 男はヘラヘラとそんな事を言った。リアムがそれに対し何かを返す前に、


「父親の事が知りたかったら、俺について来い」


 と言った。


「どういうことだ?」


「そのままの意味だよ。知りたいんだろ?」


 男は飄々と答える。


「どうする?」


「……分かった。ついて行く。ミサキもいいか?」


「は、はい」


 その瞬間、リアムとミサキと男の足元に大きな魔法陣が広がった。


「っ!これは転移魔法!?」


「ご明察。じゃ、レッツゴー」


 男がそう言うと同時に、視界が真っ白になった。



 〜〜〜〜〜



 目を開けると、そこは家の中だった。少し埃っぽい。


 そして目の前にはさっきとは別の男がいた。その男はこっちを見ると、驚いたような顔をする。


「ルシフェルのやつか?急だな……」


 そう呟くと男はフードを脱いだ。そこにあったのは真っ黒な髪。


「お前は……誰だ?」


 リアムが聞く。その目は髪を見ていた。もはや偶然とは思えない。


「やっぱりあいつは何の説明もせずに連れてきたのか。ほんっと変わらないな〜」


 そして男は答えた。


「やあ、初めまして。俺の名前はユウ・カイバラ。30年前に召喚された勇者の1人だ」


「ゆ……勇者?」


「ああ、それでどっちが今代の勇者だい?2人とも?」


「おいっ!」


 しかしリアムは答えずにユウに摑みかかる。


「お前30年前の勇者なのか!?なら、父さんを、タクト・イガラシを知ってるのか!?」


「なっ!……君は、タクトの息子なのか?」


「ああ、そうなんだよ!教えてくれ!父さんは本当に勇者だったのか!?本当に役立たずだったのか!?」


 リアムは我を忘れて聞いた。聞かずにはいられなかった。


「もしかして、パウルスに言われたのかい?」


「ああ」


「そうか……。とりあえず、その質問に答えるよ。彼は、タクトは本当に勇者だった。そして役立たずなんかじゃない。彼は、この世界を救った英雄だ」





ぶっちゃけ話進めるの早すぎた感あります。


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