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天使は謳い、悪魔は嗤う  作者: 剣玉
第3章 別れから出会い
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第35話 家名

 

 悪魔は上級だった。単体だが王国の兵隊は苦戦している。


 リアムはミサキを抱えたままファルシオンを引き抜くと、一気に降下した。


「キャーーーー!」


 ミサキが腕の中で悲鳴を上げるがとりあえず無視する。


 急接近すると悪魔はその手に持った魔剣をリアムに向けて振るう。だがリアムはそれを硬化した手で受け止め、剣を振ってその首を撥ねた。


「ふぅ。上級の中でも雑魚の方か」


「リアムさん!速度を上げるなら先に言ってくださいよ!私ジェットコースター苦手なんですから!」


「じぇっとこーすたー?」


 ミサキはサイドテールの髪の毛を可愛らしく跳ねさせて怒っている。リアムはそれを見てつい笑ってしまった。


「なに笑ってるんですか!?」


「いや、可愛いなと思ってさ」


「え!そ、そんな事急に言われても、騙されませんよ?」


 ミサキは顔を赤くしてくねくねしだした。そんな2人に王国兵士が近づく。


「増援、ありがとうございます!失礼ですがあなたのお名前は?」


「俺はリアム。旅人だ。それより、怪我人はいないのか?」


「はっ!軽傷者はいますが皆無事であります!リアム様には感謝致します。それではこれで失礼します」


 そう言うと兵士は怪我人の介抱に向かった。


「なぁ、こんな雑魚になんでやられてんだ?」


「リアムさんが強すぎなんですよ」


「ん〜平均的な強さとの差が未だに分からん」


 リアムは呟くと、ミサキと共に街へ歩き出した。


 しかしそこで終わらなかった。


「リアム様!この度の悪魔討伐の報を聞き、我が国の王、パウルス・フュラケー様がお会いしたいとの事です。よって、登城の命が出ております!」


 リアムが街に入るととすぐに王国兵士が寄って来て、そう言った。


 リアムは面倒な事をしてしまったと後悔したが、既に遅かった。



 〜〜〜〜〜



 リアムは今、控え室で待たされている。もう少しで王の間へ呼ばれる。要件は大体予想できた。


 恐らく勧誘。上級悪魔を一瞬で倒したのだ。保身が第一の王からしたら喉から手が出るほど欲しいのだろう。


 リアムはどうやって断るか考えていた。


「リ、リアムさん。緊張しないんですか?私膝が震えだしたんですけど」


 ミサキも一緒に行く事にした。リアムが王の間にいる時に何かあったら困るからだ。


「王なんて金と権力しか持ってない愚物だ。何かあったらぶっ殺して逃げたらいいさ」


「物騒じゃありません!?」


「まぁな。でも、必要になったら俺は迷わずに殺す。だから一応覚悟しとけよ?」


 リアムは今までに人を殺したことがある。まだスイと行動していた時の話だが、リアムはあまり人殺しに対して抵抗が無い。


 そういったものは全てあの日に壊れてしまった。そう思っている。


「は、はい。……なんかそう考えると更に緊張してきました」


「ミサキは別に喋らなくてもいい。最悪喋れないってことにしたらいいだけだ」


「なるほど……ではそれでお願いします」


「ほんとにそうすんのか。じゃあ他にも色々と設定するか」



 〜〜〜〜〜




「リアム様、お時間でございます」


 リアムがミサキと話し合っているとメイドが入ってきた。


「分かりました」


 リアムはそう答えると立ち上がる。


「さて、ミサキ行くぞ」


「は、はい!」


 城の中はどこを見ても綺麗だった。隅々まで掃除されており、細かな装飾がなされている。


「ここが王の間か……」


 王の間に入ると、大勢の人が集まっていた。恐らく手練れを集めている。何よりも保身が第一の王らしい用心深さだ。だが、


(5分あれば充分か……)


 リアムはどれぐらいあれば皆殺しに出来るかを瞬時に計算した。最近、少しずつ考え方が物騒になってきている。


 リアムは正面に座るパウルスの前へ歩き膝をつく。ミサキもそれを真似る。


「面を上げろ」


 その声にリアムは顔を上げた。そこにいたのは金髪の初老の男で、全ての指に宝石がついている。


「ほう。2人とも黒い髪か……ん?おお、なかなか良い女ではないか。名はなんと申す?」


「………」


「申し訳ありません。この子は私が見つけ保護したのですが、どうやら話すことができないようで。私ですら名前が分からないのです」


 リアムはさっき決めた設定を語る。普通に名前を言えば勇者だとバレる可能性があるし、偽名を使っても、もしそれがバレた時が面倒だからだ。


 ちなみに、ミサキは勇者とバレないように聖剣は布で包んである。


「そうか。ふむふむ」


 パウルスは下卑た目でミサキをじろじろと見つめる。ミサキは居心地が悪そうだ。


 仮にも王のその態度に、リアムは内心で呆れると本題へ入る。


「それで、パウルス様。本日はどのような件で?」


「おお、そうだったな。お主がこの度悪魔を討伐したのは間違いないな?」


「はい。左様でございます」


「ふむ。誠に大義であった。して、お主を我が軍に迎えてやろうと思うのだが、名はなんと申すのだ?」


 リアムは予想通りの言葉にバレないようにため息を吐いた。


「リアム、と申します」


「ふむ、リアムか。家名などはないのか?」


「家名、でございますか?一応はあるのですが、私如きが名乗るなど無礼でありましょう」


「よい。私が許す。家名を名乗るがよい」


 リアムは今まで家名を隠してきた。それはスイに言われていたからだ。だが出来るだけ、と言われていたし、相手は仮にも一国の王。


 ここは正直に答えるか、とリアムは瞬時に考えた。


「では、少し変わった名ですが、私はリアム・イガラシと申します」


 リアムは言われた通り家名を答えた。しかし何故か一瞬、王の間の時間が止まった気がした。


「今……なんと?」


「ですから、私はリアム・イガラシと申します」


「もしや、そなたの父親はタクト・イガラシと言うのではないか?」


 その言葉にリアムは驚く。こんな場所で父の名が出るとは思わなかったからだ。


「ええ、確かに私の父はタクト・イガラシです。もしやご存知で?」


 リアムは僅かに鼓動の速度が速くなるのを感じた。それを聞いたパウルスは口を開く。


「その様子だと知らないようであるな。いいだろう、教えてやる。そなたの父、タクト・イガラシは約30年前、この地に召喚された勇者の1人だ」





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