表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
天使は謳い、悪魔は嗤う  作者: 剣玉
第2章 蝕む闇
33/111

閑話 手紙

 

「ねーねーアリサ、アリサって将来を誓い合った彼氏がいるんでしょう?」


 ある日の昼、アリサが軍の食堂で昼食を食べていると同僚のマリーが尋ねてきた。


「ぶっ!」


 そしてそれを聞いたアリサはつい吹き出してしまう。


「あーあーアリサったら汚〜い」


「き、汚くないよ!それより、なんでそれを知ってるの!?」


「ん〜私ね、オルゲルトって弟がいるんだけど、同じクラスにその彼がいて、そう言ってたんだって」


「ほ、ほんとに?一応秘密にしておこうって話だったんだけど」


 ちなみに、アリサ達の会話を聞こうと食堂は静まり返っている。憧れのアリサに男がいると聞いて気になっているのだ。


 だが、驚いているアリサはその事に気付いていない。


「あ、それは大丈夫よ。なんか、鎌かけされたらしいわ」


「鎌かけ?」


「そ。アリサって在学中の時から彼と付き合ってるって噂あったでしょ?」


「え!うそ!?」


「……え?気付いてなかったの?それが原因でよく彼に決闘が申し込まれてたのに」


「あれってそういう意味だったの!?」


「あんたって自分のことには鈍いもんね〜」


「うぅ」


 アリサもそれを自覚している。リアムに聞くまで自分がアイドル扱いされてるなんて知らなかったぐらいだ。


「それでさ、その彼、確かリアム君だっけ?どんなとこがいいの?」


 そのマリーの質問を聞いた瞬間、アリサは顔を真っ赤にする。


「なっ、なんでそんな事言わなきゃいけないの!?」


「なんでって、昔っからモテるのに男に興味が無かったアリサの相手よ?気になるじゃない。なに?もしかして言えないの?」


 だが、マリーは露骨に挑発する。


「む!そんな事ないよ!まずぶっきらぼうだけど優しいところでしょ?それに私の事を可愛いって言ってくれたし、なんでも出来るし、魔法も根気よく教えてくれたし、いつも気遣ってくれるし、意外と抜けてるとこもあって愛おしいし、かっこいいし、その……キス、とかも、優しくしてくれるし、抱き締めてくれた時も凄い気持ち良かったし、それに………」


 アリサは止まらなかった。一度話始めると顔を赤くしてくねくねしながらもリアムの良い所を上げていく。


 食堂では既に男は撃沈し、女はアリサと同じく顔を赤くして、それでも聞いている。


 例に漏れず顔を赤くしたマリーがアリサを止める。


「ちょっ、ちょっとアリサ!分かったから!アリサがどれだけ彼の事を愛してるのかよく分かったから!謝るからもうやめて!」


「……で、結局リアムの全部が好きなの!」


 しかしアリサは言い切ってしまった。


 男は涙を流す者さえいた。そして女は羨望の眼差しでアリサを見つめている。


「はぁ、それでどっちから告白したの?」


「えっと、その……私から、かな」


 男は死んだ。もはやそこには一縷の希望も残っていなかった。


 対して女はキャーキャー騒ぎ出す。大好物の恋バナに興奮しているのだ。


「あっ!そう言えばマリー!なんで弟さんの情報を知ってるの?」


「え?普通に手紙を読んでだけど」


「……手紙?」


「知らなかったの?軍は確かに厳しいけど手紙ぐらいなら送ったり受け取ったり出来るわよ?」


 それを聞いたアリサは目を光らせた。



 〜〜〜〜〜



 翌日、軍の事務所に手紙を出すアリサの姿があった。


 書き始めた時は、しばらく会えなくて溜まっている思いの丈を書いていたのだが、読み返してみると自分で悶え、最初から書き直して内容は普通のものにした。


 それでも誰かが読めば赤面しそうな内容なのだか、アリサはそれに気付かずに出した。その顔はとても満足そうな顔をしていた。




 ただ惜しむらくは、リアムがこの手紙を読むことは無かったということだろう。




評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ