第21話 2人の勇者
「今日から同じクラスになる、コウキ・オオカワです!」
「同じくお世話になります、ミサキ・ハルノと言います」
教壇には2人の勇者が立っていた。
1人はいかにも好青年、といった顔立ちをしている男子。髪の毛は短めだ。
1人はこの美人率が高い学園でも見劣りしないぐらい可愛らしい顔をした女子。髪の毛はサイドテールにしている。
そして、2人ともリアムと同じく髪が黒い。
2人はこの世界について学ぶため、この学園へ来た。そして一番人数が少ないこのクラスに入ることになった。
「私は担任のクレア・マクドネルよ。よろしくね、2人とも」
「「よろしくお願いします!」」
〜〜〜〜〜
「君も勇者なのかい?」
休み時間になると、突然コウキがリアムに聞いた。
「いや、違うけど?」
「そんなのか?黒い髪だったから、ハーフとかかと思った。じゃあこの世界出身?」
「ああ、俺はリアム。よろしくな」
「こちらこそよろしく」
コウキは意外と話しやすそうだ。他の男子とも話している。
ミサキの方は女子と親睦を深めているようだ。
「コウキはミサキと知り合いなのか?」
「いや、ミサキさんとは召喚されてから知り合ったよ」
「へぇ。なぁ、急に召喚されて驚かなかったのか?」
「そりゃ最初は驚いたさ。魔法が本当にあるんだから。ラノベの世界に来た気分だ」
「ちょ、ちょっと待て。コウキの世界には魔法が無いのか?」
リアムは驚いた。魔法が無い世界なんて想像出来ない。
「当たり前だろ?魔法なんてそれこそ、空想上のものだったよ」
「……面白いな」
リアムは異世界というものに興味を持った。世界が違うと色々と違うものなのか、と。
「でも魔法が無かったら不便じゃないのかい?」
フーゴが最もな事を聞く。
「あ〜それ召喚された時も聞かれたけど、魔法が無い代わりに科学が発展してるんだよ」
「かがく?」
「そう。この世界にも機械はあるだろ?」
「ああ、あるな。魔石とかを使って動かしてる」
「その機械がこの世界よりも優れてるんだよ」
「例えば?」
「そうだな〜。俺の世界じゃ、でっかい鉄の塊が人を乗せて空を飛ぶんだぜ。もちろん、魔法を使わずに」
「魔法を使わずに?それは凄いな」
リアムは少し科学に憧れた。ぜひ見てみたい。
「って、ああ!」
と、急にコウキが叫んだ。
「どうしたんだ?」
「それ、携帯じゃん!」
そう言うと、コウキはリアムが腰から下げている銀色の箱を指差した。
「けーたい?」
「そう!携帯!ちょっと古いやつだけど、それガラケーだよな!?」
「これか?これは父さんの形見なんだが……」
「あ、それは悪い……。ちょっと見せてもらってもいいか?」
「まぁいいけど」
リアムは箱をコウキに渡した。すると、コウキは迷いない動きで箱を割ろうとした。
「おっ、おい!……あれ?」
リアムはコウキが壊そうとしているのかと思ったが、それは自然な動きで開いた。
「やっぱりガラケーだ。もうバッテリーも切れてるけど」
コウキはブツブツと呟いている。リアムは横からコウキの手元を覗き込んだ。
父の形見である箱の中は、上にガラスのような物が嵌め込まれており、下にはボタンが並んでいた。そのボタンにも見慣れない文字のようなものが書かれている。
「なぁコウキ。この文字は読めるか?」
「ああ、これは俺達の世界の文字と数字だ」
コウキはそう言うと箱を元に戻してリアムに返す。
「リアムのお父さんってなんでこれを持ってたんだ?」
「さぁ?俺も知らない」
かつての父もこの箱を腰からぶら下げており、幼いリアムが欲しがった時に貰ったのだ。
「それは俺達の世界にある携帯ってやつでな、離れた人と会話が出来るんだよ」
「離れた人と会話……念話みたいなもんか。これは今でも使えるのか?」
「いや、バッテリーが無いし、そもそもここは電波も無いから使えない」
「ばってりー?でんぱ?」
聞き慣れない単語が続く。
試しに自分でも開いてみた。普通に開く。
「これ10年ぐらい持ってるけど、開くなんて思わなかった」
リアムは少し感動した。形見の正体が分かったのだ。父が何故持っていたかは分からないが。
〜〜〜〜〜
「なぁ、コウキは戦闘経験無いだろ?」
「分かるのか?」
「日常の動き方でもそういうのは分かるもんだ。多分、ミサキは剣術をかじってただろうな」
「ちょっとだけ剣道やってたましたよ」
「2人ともそれで勇者として大丈夫なのか?」
「ああ、この世界に召喚された時に何故か凄い力が与えられたんだ」
「ふーん……。まぁ、あまり戦いを舐めない方がいいぞ」
「大丈夫さ。俺は勇者だしな」
コウキは当たり前のように答えたが、その態度にリアムは少し危うさを感じた。
対してミサキは少しだけ不安そうな顔をしている。
「そう言えば、夏休み明けには実地訓練があるわよ。リアム君は免除されてるけど、コウキ君とミサキさんには同行してもらうわね」
クレアが思い出したように言う。
「分かりました!」
「……はい」
やはりミサキはどこか不安そうだ。リアムは少しだけ気になった。
「えー!リアム来ないの!?」
「あれ?ティアには言ってなかったっけ?なんか俺が行くと訓練にならないからだって」
「へぇ、リアムってそんなに強いのか?」
「まぁな。少なくとも魔物相手なら目を瞑ってても勝てる」
「そんなに!?」
リアムが当たり前のように答えるとミサキが驚く。だが、リアムからしたら誇張でも何でも無い。むしろ、魔物程度なら目を瞑って手足を縛っても余裕で勝てる。
こうして2人の勇者はすぐにクラスに溶け込んだのだった。
まだしばらくほのぼのです。
その割にほのぼの書くの難しいです。




