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2話「たつとはJKにタックルする」

 学校の小さな教室、応接室のようなところにたつとはいた。部屋は小さな机とイス4つ、あとはホワイトボードしかない。まだ出来て数年の学校であるため、このような小さな部屋まで管理が行き届いていた。何の権限かこの部屋を忍者部の部室として使っていいらしい。


 僕ことたつとは170センチの細見な身長で、はっきりいってやせ形のなよなよした体型である。そんな僕が忍者部、つまりSASUKEの指導者が勤まるのかと校長先生が不思議そうな顔をしていたが、SASUKEには僕みたいな体型の人も多い。


「……遅いな」


 七時半には顔合わせをすると紙谷先生──僕の幼馴染というかお姉さんなのだが──が言っていたのだが、生徒はもちろん紙谷先生も来ない。暇な大学生という身ではあるが、そんな暇な身だからこそ朝早く起きるのは辛い。


 窓からは登校する生徒たちが見えた。まだ高校して数年しか経ってないのだけど、気付けば女子高生ならだれでも可愛く見えるようになっていた。制服か若さか、何が魅力なのかはわからないが女子高生は凄い。


 そんな女子高生に教えるというのだから、少し体はダルい。勉強とかなら余裕で断っていたのだけど(そもそも学力的にそれは厳しいのだけど)、SASUKEが好きな女子高生というのは興味が出た。今や世界的番組であり女性スターも多くいる、だけどやはり多くは無い。


 だからこそ女子高生に関わる緊張と、どんな子なんだろうという期待がかき回さってそれはもう酷い感情だ。だからこそ早く来てほしい、誰でもいいから早く来てほしい。


──ガチャン


 ドアが開かれると、学校にしては少し明るすぎる女性が入ってきた。茶髪で肩まで伸ばした髪はクネクネしていて、こんなことしてるんだから遅刻するんだろふざけんな可愛いすぎとか思っている。


「お待たせー、たつ待った?」


「いや、今さっき来たばかりですよ」


「ふーんそっか。職員室には三十分くらい前で見たけど今来たばっかか」


 この野郎と思いながらも、この人の扱いは慣れていたのでむしろ変に盛り上げっていた感情が一度落ち着くことが出来た。


 この人は紙谷朱音先生。僕にとっては幼馴染のお姉さんであり将来を誓いあった(略)であるが、今は先生をやっている。子供の相手をするのが昔から好きだったから、先生になったのだと思う。


「それで、部員の子たちは?」


「うーん、たちと言っても一人しかいないけどね。ここに呼んだからまだ来てないね」


「一人で部活が成り立つんですか?」


「ほらうちてまだできたばっかだからそういうところ甘いのよ……しかも話題のスポーツに部員も顧問も美女と断れるわけないよね」


「え、美女なの?」


「何それ、朱音が美女じゃないて言いたいの?」


「ちげーよ……いや違います朱音さんじゃなくて」


「ああ、ひよりちゃん? まあ美女というよりはまだ子供らしい可愛い子だよ」


 この朱音さんも性格見た目ともに美女というよりは子供らしい可愛い子なのだが、自覚あるのだろうか。まあ、そんなところが僕の幼心を掴んでいまだに離さないのだが。


──ガチャン


 再びドアが開くと、二人の少女が立っていた。一人は小柄で肩ぐらいまでの長さであろう髪を横でツインテールにしている少女。もう一人も小柄で短髪なのだけど少しかっこいいというか、顔は幼いのだけどどこか大人びている少女。


「なるほど……美しい! 君が忍者部の一員かよろしく!」


 思春期の複雑な女の子、まずは軽快に褒めて第一印象を良くしておきたい。きょとんとしているがとりあえず手を握って握手してみる。はい、握手。


「はわわわ、美しいなんて言われたの初めてです……」


「……お兄さん、どなたですか?」


 となりのクール系ロリが声をかけてくる。……ロリなんて女子高生に失礼か、クールだけにしておこう。


「そうだね、ひよりちゃんのお友達なら君にも知ってもらいたいな。僕の名前はたつとです。これからひよりちゃんをSASUKEで少しでも活躍できるように、応援していく立場です」


 気づくと、後ろで朱音さんが口元を抑えてうつむいていた。何かがおかしいと直感が告げているものの、おかしいものは何もないはず。話を続けよう。



「しかしひよりちゃんその身長でこの道へ進むとはなかなかチャレンジャーだね。いや僕も身長が小さいからさ、そういうところ共感できるのよ……でも女性にとって身長が小さいことはアドバンテージだと思うしさ、ほらむしろそれでクリアしていくギャップ萌え?」


 普段はこんなに話すタイプではないのだが、今日はよく舌がまわる。……冷や汗が止まらない。


「ところでお兄さん、私の名前はご存知ですか?」


 隣のクールが話しかけてくる。何だこの子もSASUKEに興味があるのか、はたまたこの僕に(略)。


「あーごめん、教えてくれると嬉しいな」


 ニコリとスマイルを決める。我ながらビジネススマイルでキモイとか思われてそうだけど、仏頂面だと怒ってると思われそうだし女子高生にはキモイと思われるほうがちょうどいい。


「ひよりです」


「あー、そっかひよりちゃんか! ひよりちゃんもこれからよろ……あ?」


 ひよりちゃんがひよりちゃんで、隣のクールもひよりちゃん。あるよね、名前が同じで仲良くなる的なやつ。ひよりひよりでクーロリコンビは忍者アイドルとして売れるんじゃないかな僕がとりあえず千枚は買い支えよう。


「たつさ、そろそろ認めようよ、ぷぷ……。ひよりはツインテールじゃない方だよ」


「……えっと、じゃあ僕が今握手してる子は?」


「わこちゃん、晴海和子ちゃん」


「そうです、わこです」


「ふーんそっか、じゃあひよりちゃんこれからよろしくね!」


 わこちゃんから手を離して隣のクールもといひよりちゃんに握手。ぶんぶん、小さいけど手の平がゴツゴツしてる、SASUKEしてるなあ!


「……責任とってください」


 ……ごくり。


「なんでもとるとる! 責任ってなに? 結婚?」


「……二度とこの学校に来ないでください」


「やっほーい、君のおうちで今日から専業主夫だ! 今日のご飯はハンバァアアアアグ!」


 正直帰りたい、女子高生でテンション上がってるからおかしいだけでこんな言動おかしい。わかっているのだけどテンションが収まらない。


「紙谷先生、この人大丈夫じゃないですよね?」


「うーん確かにダイジョブじゃないけど、問題ないない。いい顔合わせになったよ」


「私的には大丈夫じゃないんですけど」


 クールひよりちゃんの顔がますますクールになっているが、わこちゃんはきょとんとしているおかげで、場の空気が中和されていた。ひよりちゃんがクールロリなら、わこちゃんはほんわかロリ。女子高生ロリだからもちろん幼いわけではなく、大人になる一歩前のロリ。

 

「まあ、実力は本当だからね? 今日ひよりのおうちに行って実力を見てあげてくれるかな、私もついていくから」


「……そうですね、実力があればいいですけど」


 ……さて、そんなこんなで午後はひよりちゃんのおうちに行くことになった。大学生だから授業があるのだけど無理でしょ? と言いたいところだけど言えるわけない。何とか失態を取り戻したい。


 しかしこの後、家にあるセットがそりたつ壁だと知って深く絶望することになるのだった……。

大会までまだ一か月! 次回からエリア攻略始まります!

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