そして猫は繰り返す
猫の命は九つあるという諺を使った物語です。
夢から覚めた気分だ。
或いは、狐につまれたという気分という物か。
これは、オカシイ。あれは、夢だったの?
いや、絶対に違う。あんなに生々しい感覚は夢なんてものじゃない。
…という事は死んだの?いや、でも生きてるし。周りはまったく変わらないいつも通りの日常。
あんな事があったなんて、思えない。
やっぱりあれは、リアルな夢だったの?
だって、失われてもいないし、
怪我もしてない。
ましてや、あの感覚だと助かる見込みは無かったと思う。
ああ、でも。
今、生きていて楽しい生活が送れている。
それで、いいじゃないか。
なんて軽々しく終わってしまって。残りの寿命を楽しく過ごして。
楽しい人生だった?
そんなわけない!!どうして、思い出せなかったの!?
あの、まとわりつかれるような既視感を感じていたのに。
私の中で、呼び掛けていたのに!!
知っていたのに!分かっていたのに!!
もう戻れないと、物語は巻き戻せないと!!
…もう、何回目?
私のチャンスは、あと何回残っている?
プロローグを飛び越し、
ストーリーはもうクライマックス。
"私"の物語の終わりは、
バッドエンド?ハッピーエンド?
もしかしたら、別の"私"の物語は、"本当の意味"で終わってしまったかもしれない。
どれほどの後悔をしたって戻れない。
命続く限り、進むしかない。
そんな"私"の、"私達"の、モノガタリ。