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はじめての恋 side魔王

魔王はリンを可愛いとしか言いません。最早、へんた・・・ゴボッ。

これが恋というものなのだな。

生まれてきて、500年。

はじめての感覚に戸惑い、喜ぶ。

名前も知らない兎を元居た場所に帰してから、水晶でその様子を見守る。

ストーカーとかいうものではないぞ! 魔王だ。


兎が私を怖がるのではないかと心配したが、次の日も私の元へとやって来た。

これは愛か!

すぐ迎えに行こうとしたが、どうやら兎はここで働きたいらしい。

願いを叶えよう。


兎はめでたく我が城で働くこととなった。

またしても私を殺そうと窓から身を乗り出して怒られている。

可愛いが、私も心配なので止めてほしい。


いつ私の所に来るかなと楽しみにしていると、

夜になってから、部屋を抜け出して、庭で座っている。

心配になり、迎えに行くと、愛しさが込み上げきた。

何もかもはじめての気持ちだ。

「寝所に来るか?」

誘うと、変な顔をする。

今まで断られたことはない。

しかし、兎は断りたいようだ。人間だからか?

新鮮で可愛い。


一度部屋に帰したが、我慢できなくなり、呼び戻す。

すぴすぴ寝息を立てている兎。

やましい気持ち120パーセントだが、さすがに寝ている女に手を出すほど飢えてはいない。

愛らしい寝顔を一晩中見ていた。幸せだ。


朝。目覚めた兎は、可愛らしい叫び声をあげた。

使用人が入ってくる。

私の寝所にいる兎も、もちろん丁重に扱われてしかるべきだ。

しかし兎は逃げ出した。使用人も戸惑っている。

「気にするな。自然にさせてやれ」

兎は環境の変化に弱そうだしな。


私のお気に入り、というか、むしろ愛されているのだが、そういう存在になっても、兎は律儀に働くらしい。

ちょっかいを出すと、怒る。

あまりに鈍いので、

「お前の仕事は私を喜ばすことでは?」

事実、この世に生きているものも死んでいるものも、全てがその為に存在しているので、少し本気で言ってみれば、兎はぽかんと私を見つめる。

良い。お前は好きなように存在して、良い。

私は降参した。

これが恋であり、愛であり、つまり私はリンには跪くしかないのだ。

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