ジョブチェンジ? sideリン
魔王は怒って出て行ってしまった。
当たり前だ。
私が勇者の仲間だとバラしてしまった。
本当は仲間じゃないんだけどね。
ベッドを降りる。
ふらつくかと思ったけど、案外平気だった。
私も殺されるのかな。
それはないな。
だって子供には優しいから。
でも、嫌われちゃったかな。
もう二度と抱き上げてくれないのかなと思ったら、胸がつーんと痛くなった。
抱き上げて、ほしかったんだな、私。
嫌われても、憎まれても、お仕事してれば役に立ってると思われるかな。
自分の部屋に戻って、着替えようとドアを開けたら、
「何をしている」
魔王がいた。
怖い顔。やっぱり、怒ってる。
「部屋に、戻ろうと、思って」
「なぜ?」
「お、お仕事したくて」
泣きそうなのバレないように、必死に踏ん張っていると、ふわりと身体が浮いた。
抱き上げて、くれた。
「今日は安静にしなさい」
魔王のベッドに寝かされる。
「で、でも」
「お前はどこで働いている?」
「え?」
「この城だな。この城の主は誰だ?」
「魔王、さま?」
「そうだ。では、魔王である私が、お前に仕事をやる」
「は、はい」
「今日からお前は・・・湯たんぽだ!」
「え?!」
「私の湯たんぽになれ」
そう命令すると、魔王は私を抱きしめて、眠りにつこうとする。
湯たんぽ?
そんな仕事あるの?
「昼はメイドの仕事をしていいから」
魔王はそう言うと、寝息を立てはじめた。
疲れているのかな?
私は新たに、湯たんぽという職を得た。




