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俺と先輩

作者: 東京男

「お金を上げるから付き合って。なんでもするわ」

ある日の放課後、学校の中庭のベンチで猫の事を考えていたらそんな事言われた。憧れの先輩に。この際、先輩の言動や精神状況についてはツっコまないでおこう。一つだけツッコませてくれ。何で先輩血まみれなんだ!怖えぇぇよ!まさかの先輩ヤンデレなのか・・?

「先輩・・なんで血まみれ・・」「鼻血よ」

「多いよ鼻血!」

「気のせいよ」

「気のせいじゃないよ!」

「とりあえず付き合って、設定だけでもいいから」

「設定でいいなら・・」

「よかった」

内心かなりうれしかったけどなんか言い出せなかった。そのうち本当の気持ちを伝えるぞ!でもその前に・・

「先輩、血を拭いてください」

「わかったわ」

先輩は持っていたハンカチで顔の血をふき取った。

「急にこんなこと言ってごめんなさいね」

「いえ、でもどうしたんです?急に」

「昨日の話よ、私のお母様と夕食を食べていたときに将来の話になってね、婿はどうするのって。でも私あまり興味なかったから犬のことを考えてたのよ」

この人犬派か

「それでお母様が婿候補はいるの?って聞いたときに私犬のことを考えていたからうんって言っちゃったのよ、そしたらお母様こう言ったのよ」

先輩の表情が変わった。

「明日家に連れて来て・・・・ってね」

なるほど、それでこんな急に・・・ん?待てよ?昨日明日連れてくるように言われたって事は・・・・

「今から私の家に来て」

「早速ですか!!」

「早速よ」

結局、俺はなんとか言いくるめられて先輩と先輩の家に向かうことになった。途中で先輩の制服に付着した血のせいか、何回も人に二度見されたがなんとか家にたどり着いた。

なんだ、結構俺の家から近いな。

「ただいま」

「お邪魔します」

ドアを開け、挨拶をする。でもなんだろうこの変な感じ、あ、トーテムポールだ。このトーテムポールのせいだ。

「お母様、昨日話した婿候補の方を連れてきたわ」

一体どんな人なんだろう。緊張するなぁ

「やあ、よく来たね」

そこにはキリッとした顔立ちの美女がいた。

「いやー、話は聞いてるよ、成績がいつもトップで運動神経もよく、バスケットボール部のキャプテンらしいね、いやー関心関心」

はい?俺そんな高スペックじゃないよ!?先輩に聞いてないよ!と訴える、目で。

・・・だめだ、先輩こっち向いてねぇや・・

「で、今日君を呼んだのはね・・・うちの婿に来い!」

「まさかの命令文!お母さんが!」

「おお!もうお母さんと呼んでくれるのか!」

「違う!」

「なんだ、違うのか」

さすが先輩のお母さん、ボケるぜ。

「急に言われても困るんですよ、俺まだ高校二年生の17歳真っ最中ですし、結婚するにしてもできませんよ?」

「問題はそんなところじゃない!愛だよ!一重に!」

「違う、法律だ!」

「君もしぶといねー・・・」

「当たり前です」

しばらくの沈黙の後、お母さんは言う。

「今日は帰りたまえ、詳しいことは追って伝える」

「・・・・了解、です」

「じゃあ私が送っていくわ」

ここに来てから全然しゃべんなかったな、先輩。

「おっと待ちな、付き合いのほうはまだ続けてくれよ、プレイボーイ」

だれがプレイボーイだ、むかつく。帰る。


 翌日、校門をくぐった俺にみんなの目線を引き寄せる魔法の言葉を先輩が唱えてきた。

「おはよーダーリン、先行っちゃうなんてひどーい」

棒読みだった。

「先輩何言ってるんですか?」

「何って、挨拶」

「もっとノーマルなやつをお願いします!」

「グッモーニン」

「アメリカン!」

それからというものの、学校にいる間はすかさず先輩は俺に付きまとってきた。

 そして放課後。

「先輩、今日はどうしたんです?様子おかしすぎですよ」

「全然おかしくないわよ。ダーリン」

なんだ・・ダーリンのイントネーションだけ意図的に間違っている。おかしい、やっぱりおかしい!

「やっぱりおかし・・・」

「おかしくないわ、ダーリン」

むぅ・・・早い、すごく早い。何か隠しているのを隠す事が。

「ダーリン、公園に行きましょう」

「なんで?」

「トイレに行きたいのよ」

「学校にあるじゃないですか」

「行くわよダーリン」

そう言って先輩は俺の手をつかみ公園へと走り出した。公園についてすぐ先輩が言う。

「ねぇ、トイレについてきてくれる?お願い」

え?

「行くわよダーリン」

「ちょちょちょい!先輩ィィィィ」

意外と力あるなこの人!だめだ、もう入ってしまう!

。。。。。

入っちゃいました。しかも個室。

「これで二人きりになれたわね」

「ちょ、先輩これはどういう・・・」

待て待て待て!思春期男子高校生にこの刺激はまずい!すごくまずいぞ!何だこの展開、これなんてエロゲ?

「実はね・・・」

「・・・・ゴクン・・・・」

「私達、監視されてるの」

・・・・・・・・・・あぁ、はいそうですか。

この時俺は、監視されてたことによるショックよりも強制イベントキャンセルによるショックにより軽く放心していた。

「だから学校でもあのような話し方で接してしまって、申し訳ないわ」

「いや、それはいいんですけど、監視って誰にですか?」

「決まってるじゃない、お母様よ、だからずっと監視下にあるときは演技をしなきゃいけないの」

「先輩恋人ってどんなものかわかってますか?」

「わからないわ」

即答かよ。

「でも昨日お母様にちょっとだけ教えてもらったわ、恋人のことはダーリンって呼ぶのよね」

なんて中途半端な知識を教えやがったんだあの人は。

「というわけでこれからよろしくね、」

先輩は初めて俺に微笑んでくれた。

休日に特にすることもなくひまだったので書いてみました。もし誰かからコメントがきたら続編書いてみようと思います。

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