馴染
部員はあと二名必要だ。その候補の一名が俺の幼馴染なんだよな。廃部の件より前から入って欲しいと思ってたし一石二鳥かもな。
「そうくーん。テスト何点だったー?」
「俺が人生で三番目に聞かれたくない話題を持ちかけるな」
俺は麻由美とどうでもいい話をしていた。
田中麻由美は俺の小っさい頃からの幼馴染で、学校に登校する際、一緒に行っている。こいつといると安心するというか居心地がいいというか、なんか来遊部に入ってほしいなーという気持ちにさせられる。変なオーラ、それにショートカットの髪を照れるとすぐに触る癖がある。ちなみにコイツの目は好きではないが、安心させられるちょいタレ目だ。
「で、結局何点なの?」
「国語だけ教えてやろう。五十七点だ」
「おー。そうくんにしては上出来だね」
「けっ、どうせ俺はバカだからな」
地味に馬鹿にしてくるのはやめてほしい……
「なぁ、麻由美」
「なに?」
「来遊部入んねぇか?」
「え~? そんな可愛いだなんて……照れるなぁ」
「誰も言ってねぇよ。人気はねぇけどさ、実際入ってみると楽しいゾ」
別に部員集めの為に誘っているわけではない。(部員が欲しいとは思うが)生徒会の連中どもが決めた廃部の件より前から入って欲しいと思っていた。
このタイミングで言うと、部員が欲しいだけに聞こえてしまうが……そこは一石二鳥ってことで考えりゃいいかもな。
「うーんとぉ……」
大分悩んでいるようだ。学校行く前にこんなに悩んでる人見たことないなぁ……
長く長く考えて学校の手前で足を止めて横目でこちらを見てきた。
「……ちょっと時間ちょうだい」
「……お、おう」
「放課後部室寄るね」
「了解ッス」
いろいろといけそうな予感だなぁ、おい。まぁ、部活入ってない理由もないわけだしな。毎日毎日朝に、部活のこと聞いてくるし興味はあったんだろう。誘ってよかったと思うよ。ホントに。
まだ、入るかわからないのにいろいろ仮定してしまった。妙な期待はしないでおこう……
そう決めて今日は過ごそうと思う。
放課後。部室へ行くと、五名の定番メンバーと麻由美が俺の椅子に座って……って
「俺の椅子なんですけど!?」
「井盛くんにここに座ってって言われたよ?」
「だろうな! 名前書いてるとこに普通座らないよな!」
だいきちの野郎ぉ……! 俺は井盛をキツく睨んでやった。
なんだなんだ……その顔は! なんで無表情なんだよ。ちょっとは笑うなりしろや。
仕方なく空いてる席に座ってやった。麻由美と俺の距離が異様に遠いな。となりでだてみち先輩がニヤニヤこっちを見てくる。
「なんすか? なんかいいことでもあったんですか?」
「女連れてくるとこじゃないぞ、ここは」
「何考えてんの! 幼馴染な関係だけですって」
怖い怖い。何考えてんだこの人は。
「ほんとうに?」
白土先輩、こういう時だけ話に混ざるよね。
「とりあえず、今日は見学者がいるんで変なことしないようにお願いします」
「なんでだ」
「なんでっておかしいでしょ。今日はおとなしくしてろよ、だいきち」
特に今日も変わったことはなかった。なかったけど、麻由美が来てくれたことには感謝してる。
そのまま、入ってくれたらいいなぁ……と思っていた。
そんな時に追われるのが時間だったわけだ。ゆっくりしてもいられない。
もう一名。候補ができたらいいと思うんだが……
て、なんで俺だけで悩んでんだ??
委員会の部分を生徒会に訂正しました。
以後よろしくです。次回も会えたら嬉しいです