My true sister
俺のもうひとりの妹の物語――
俺はとても目覚めの悪い朝を迎えた。
時計が壊れていて学校に遅刻するとか、夜ふかしをして超絶眠いとかそんな甘ったらしいもんじゃない。
あおむけに寝ている俺の腹の上に何かがまたがっているのだ。
「そうにいちゃん!!そうにいちゃん!!! 起きて起きて起きてーーー!!!」
そう、これが目覚めの悪い朝を迎えさせた原因、俺の妹であるももかだ。
たまに朝にこうやって俺を起こしに来る。たしかに起こしにきてくれるのはありがたいんだけどな……ただめちゃくちゃうっとおしいのが俺の腹の上にまたがって揺らしてくることだ。いつも少し酔うんだよな。朝から酔うとかきついって!
ももかは尻尾のようなポニーテールをぶらさげて俺に微笑みかける。
いつも通りうっとおしい朝だけど、まぁ悪くないかな。妹が俺になついてくれてるだけで嬉しい。
「はぁ……おまえはいい加減その毎回変わる髪型はなんとかならないの? いつも気になるんだけど」
「えー? そうにいちゃんの好きなタイプの髪型にしてるんだけどなー」
「いつ俺が言った? ねぇ、いつ言った?」
そんなこと妹に言うクソ兄貴なのかよ俺は!!
「えっとねー、さっき」
「え?」
「さっき寝言で言ってたよ」
「どんだけ俺は飢えてんの!!」
「それ聞いてね、最初ツインテールにしてきたんだけどポニーテールに変えてきた」
「用意周到だな!」
その後、俺は「とにかく」と続ける。
「学校だから俺は行くぞ。入学してまだ友達作れてないからはやく登校してつくらないとな」
「えー、学校行くのー」
「ももかは今日はどうする?」
「いかなーい」
「そっか」
俺はももかをどかしてカバンを持って部屋の扉を開ける。ももかは布団の上で正座を少し崩した状態でいる。
「そうにいちゃん」
後ろから俺の名前を呼ばれ咄嗟に振り返る。
「どうした?」
ももかは少しもぞもぞしていたが何かを決めたかのように小さく頷き俺に微笑みかける。
「いってらっしゃい」
「おう」
これがこのときの俺の日課のようなもんだった。どこにでもいそうな兄妹のやりとり。
これだけで本当は幸せだった。
俺は授業が終わって学校から帰った。別に部活に入ってもいないし、友達も全然できてないから毎日がそんなに楽しくなかった。帰ってやることも別にないし退屈だ。
「ただいまー」
俺はけだるい声をだして家に入った。
でもこのけだるい声に反応してくれる妹がいつも俺の帰宅を出迎えてくれる。いつも俺の声を聞くと階段を猛スピードで下りてきて玄関のところへきてくれた。俺の妹は妻かっての。
「そうにいちゃん、おかえり!」
「毎度毎度すごいな」
「ん? なにが?」
おまえのその反応速度だよ!
「いや……なんでもないよ」
俺は家にあがり手洗いなりなんなり用を済ました。その移動のたびになんか後ろについてくるんだけど……まぁ、それはほっておこう。
俺は用を済ましたあと疲れたのでリビングへと向かった。
あー死にそう。死にそうすぎてめまいがする。
俺はリビングの扉を開けてソファへとダイブした。
「ぷはぁあああ……」
なんて心地の良い空間なんだ。母もいないし、素晴らしすぎる。
さすがリビング。中高生の味方だ。いや、家族みんなの味方かな。
今の俺は依然として友達を作れていない。まだ入学して一週間もたっていないのだが、自然と焦りがでてくる。
俺の中学校入学に合わして春休みにここに引っ越してきたことによって、小学校時代にたくさんいた友達はまったくいない。つまりいま通ってる中学校ではこの辺の小学校からそのままやってきた友達つながりがある程度できているわけだ。非常に友達をつくりにくい環境だ。
当然俺はいまの席の周りに少しずつ話しかける努力をしている。が、ちょっとした距離感は縮まらない。なかなか困難をきわめている。
「そうにいちゃんそうにいちゃん」
そんなことを考えている俺のもとへももかがソファの後ろから俺を覗き込むようにして話しかけてきた。
「どうした?」
「遊ぼ」
「ちょっとまって」
「待てない! 朝からずっと待ってたんだから!!」
「そりゃ俺は学校いってるからね! おまえもそろそろ学校行けよ」
「絶対いや! 引っ越してきてから一回も学校いけてないんだもん! こわいよ……」
そう、ももかはここに引っ越してきてこの辺の小学校に入ったわけだが、インフルエンザやいろいろ重なって学校に行けていなかった。クラスでの顔合わせもしていない。そのきっかけからどんどん学校に行きづらくなっていまのこの状況。
たしかに、転入生がきますって言われたのに全然学校にこないってなっていたらなぁ。女子の考えはよくわかんないけど、俗に言う「うざいよねあいつ~」「マジキモいんですけど」……を引き起こしているかもしれないな。
今更学校にいっても周りは既に仲良しグループを形成していて、しかも自分を敵視される、と考えたらいまの俺よりも状況は悪いな。……でもまだ一週間しかたってないぞ。反撃できるんじゃないか?
「そもそも前の学校でも不登校してたじゃないか」
そもそもの問題がそこである。たった一週間ぐらいでそこまで考えてしまうのはそれが原因だな。
「いいもん。家で勉強してるし」
それを聞いた俺は近くにあった雑誌を手に持ち、簡単な漢字を指さした。
「注目なんて読む?」
「そそぎめ」
「『ぎ』はどっからきたの!!」
この有様だし。
「明日は学校いけよ?」
「えー」
「注目読めなかった時点で俺はおまえの将来が心配でたまらんぞ」
「えー、昨日お母さんが買ってくれた漢字ノートで覚えたのになー」
「親も親だな!! まず学校いかせろよ!!」
もう救いようないかもしれないんだけど。
「じゃあ、いますぐ遊んでくれたら明日いくよ」
「……それ昨日も聞いたんだけど?」
「昨日は『いま遊んでくれたら』って言ったんだよ」
「ニュアンス変わんないよ!!」
そこらへんのとんちは効かしてくるんだよな。その知恵を勉強にまわしてくれよまじで。
「遊んで!!」
「……わかったよ」
唯一、俺の日常で楽しいと思える時間だ。妹と遊ぶというのは……俺はシスコンではないけどかなり楽しい時間だと思ってる。いい妹を持ったと心底思ったよ。
そんな時間は学校生活に慣れてくると少なくなってきた。というよりはなくなってきた。
あれからよく考えてみると、「学級代表になれば変わるんじゃね?」 と思い始めて。
学級委員になってみたらクラスのやつらに話しかけたり話しかけられたりする機会が増えて、今ではクラス中の人気者状態になっていた。とても嬉しい、心底嬉しい。
家に帰ってもすぐに外へ遊びに行ったりして、妹と遊ぶ機会はほぼなくなったわけだ。
これが普通の学校生活っていうものなんだが、ももかは未だに学校に行かずに家に引きこもりっぱなしであいつは友達もいないし、俺しか遊ぶ相手がいない。
だから、俺が帰ってきたらあんなに嬉しそうに出迎えてくれてんだよね。
俺はそういうことを考える余裕がこの時にはなかった。
ほんと――――最低な兄だと思う。
ある日のことだ。俺は学校の友達をつれて学校から家に帰ってきた。
「ただいまー」
「「「おじゃましまーす」」」
俺含め4人の中人数だ。学校でよくつるんでいる仲良しグループ。
「おかえりー、そうにいちゃーん」
いつも通りももかが二階から階段をどたどたと下りてきた。
しかし、階段降りる途中で俺の周りを見るや否や少し顔を引きつらせた。
「おにいちゃん……だれ?」
明らかに怒っている。それもそうだ。朝、俺が学校へ行く前に俺が帰ったらももかと遊ぶ約束をしていたからな。
「学校の友達だ。リビング……だれもいないよな?」
「……うん」
ご機嫌ななめの様子。まぁ、そうだろうな。
ご機嫌ななめのももかの横を通ってリビングに入る。
リビングには本当にだれもいなかった。リビングに入ってすぐ右手には液晶テレビ、ソファ、ミニテーブルがあり、左手にはいつも飯を食べているテーブルとイス。キッチンがすぐそばにあって飯を食べ終わったらすぐに流しに置ける。リビングにはやはり人がいないとどこか物寂しい気分になる。
「なぁなぁ!! テレビゲームやろうぜぇ」
友達の一人がテレビの前に置いてあるゲームのリモコンを見つけやがった。まぁ、友達をリビングに呼ぶときにはお決まりなことだけど。
「お菓子用意するからちょっと待ってて」
俺がお菓子などを用意しているときに友達は勝手にテレビをつけたりゲームをつけたりしていた。妙に手馴れてやがる。
俺はお菓子の用意をし終えてリモコンを掲げて友達の中に座った。
友達と遊ぶときは決まって格ゲーである。
「俺このキャラでいいや」
「こいつ俺の相棒だぜ。絶対勝つ!」
「あー! 俺がそいつ使おうと思ってたのにー!!」
「うるさいぞお前ら!!」
母さんがいたらたぶん追い出されてるな……。
ステージを決めてさぁ、出陣だ。
開幕早々俺はボムを使った。俺の友達はいきなり使うとは思っていなく、回避できていなかった。
割と高ダメージ。いい感じだぜ!
それから10分くらいがたち、勝負が終盤戦に差し掛かった。
今の状況は俺と隣にいるやつとのタイマン戦になっていた。ほかの二人はさっきまでの間に俺が片付けておいてやった。横目でちらと顔を伺うと非常にヒマそうである。
「おらっ! うっ……そこぉ! ああl!! よしっ!!」
「しね!!! くそ!!! こいつしぶといっ!!」
なかなか激しい戦い。攻撃とガードをお互いに繰り返し、残りHPにそこまで大差が付いていなかった。
そんなときに、友達が一瞬、ボタン操作を誤った。
「あっ……やべっ」
俺はその一瞬を見逃さなかった。
俺はその隙をつくべく一気に間合いをつめ……
「ここだ!!!!」
と必殺技をくりだそうとした。
と、そのときだ。
「そうにいちゃん!! 私にもやらせて!!!」
俺の後ろから急にリモコンをバッ、ととられた。
「……!!!」
俺は急なこと過ぎて反応ができなかった。
ただ画面中に映る俺のキャラが間合いをつめただけで何もせずにとまり、友達は体勢を立て直して俺のキャラに反撃をしてきていた。
そして鳴り響くフィニッシュのサイレン。
「いえーい、俺の勝ち~」
俺はただ呆然と見てるしかなかった。そしてふつふつと湧き上がってる……この……感情。
負けたことででてきた感情ではない。友達との遊びを邪魔されたことへのいらだちだ。
俺はざっと立ち上がり、後ろを振り返った。
そこにあったのはももかの「やってしまった」、「悪いことをした」、そういう顔ではない。
――どうしてこんなにも笑顔なんだ。
「ももか……いい加減にしてくれ」
「……そうにいちゃん?」
なんで怒っているのかわかっていない様子。それが俺をさらに感情を抑えきれなくした。
「俺はいま友達と遊んでるんだ!! なんで邪魔するんだよ!!?」
急に怒鳴られて、ももかは少し怯んでいた。
「え……だって……だって……」
ももかの顔色なんてこのときどうでもよかった。本当はよくないのに。よくないはずなのに。このとき俺は妹の気持ちなんかどうでもよかったと思っていたのかもしれない。さらに俺の攻撃はエスカレートを増していく。
「おまえは……学校行ってないからわかんないだろうけどな。なぁ……ほんとに……もういい加減に……」
「だって!!!!」
俺の次の言葉を言う前にももかの声が放たれた。
そして少しの沈黙。
それを見かねた俺の友達の一人が、俺に静止を呼びかける。
「……な、なぁそうすけ? 一回くらい負けたっていいじゃんかよ。次! 次やろうぜ。な?」
こいつらなりの配慮だろう。もう次の試合の準備が画面を見る限り整っていた。
「……うん、そうだな。ごめんな、待たせちゃって」
この「ごめん」という言葉をももかには言わなかった。
「ももか、もういいから。自分の部屋に戻ってろ」
俺はももかの手からリモコンをさっと取り、ももかを横目で流し見ながらそう言った。
「……くれるって……言ってたのに……」
「ん?」
座りかけの状態で俺は顔だけで振り返る。
「今日帰ったら遊んでくれるって言ったのに!!!!」
「…………」
その通りだ。ほんとは俺が悪いのに……。俺は目をそらしながら妹に向けて放ったのが、
「…………帰ってすぐに、とは言ってない」
ただの言い訳だった。
逸らしていた目を俺はももかにもう一度向ける。その表情をみたとき俺は、心臓が跳ね上がるような感覚を覚えた。だって、ももかは今まで俺に見せたことのない歪ませた表情で俺を見ていたから。
「そうにいちゃん……どうして……ひどいよ……!!」
「……ももか」
俺は返す言葉が全然見当たらなかった。さっきまでの勢いは俺にはもうなかった。
「……嘘つき」
また、心がちくっとした気がした。
「そうにいちゃんなんか……大っ嫌い!!!」
そう言い放って、ももかは部屋を飛び出していって、玄関の扉がバタンと開いて閉まる音も聞こえた。
「……お、おい。そうすけ、追いかけなくていいのか?」
友達はそう心配していたが、俺は意地を張ってでも謝る気はないとそう自分に言い聞かせた。
「ん……ああ、全然いける!! いつものことだ。さ、ゲームの続きでもするか!」
この後、なぜか俺はすべての試合で負けた。
友達が帰ってすぐに家に電話がかかってきた。
ももかが交通事故を起こして大型トラックにひかれて即死した、という悪魔の宣告だった。
二週間後、俺はももかの部屋の片付けをすることになった。
することになった、というよりは自分からしたいと言って母さんに頼み込んだ。
固く閉じられた扉の前にたつ。
そしてももかの部屋の扉を開け放つ。自分の部屋よりも重く感じた。
今まで入ったことのないももかの部屋。
いなくなってから気づくその人の存在感。
今でも聞こえてきそうなあの声。
後悔しても何もかも遅い。神なんてほんといないんじゃないかってくらい、誰も信用できない。
ゲームなんてほんと、ほんの一瞬のことだったのに。友達との関係が崩れるのが怖くて。たった一度の敗北もすべてを失うようなそんな感覚でいたんだろうな。そんなんで友達の関係なんて壊れないのにな。
ももかの部屋の中は俺の部屋より二畳くらい広い。なぜ俺の部屋より広いのかはまったくわからないけど。
俺はゆっくりと部屋の電気をつける。
電気をつけた瞬間、俺は視界に映るものを見て一瞬ぞくっとした。
霊的感覚ではない。
俺の視界に入ってきたのは、壁に貼られていた大量の紙だった。
その紙はA4サイズの白い紙でその上に大きい文字が書かれていた。
「……あいつ……」
その紙の一枚には大きく、『注目』と書かれていた。ふりがな付きで。
『注目』という文字だけじゃない。今まで俺がももかに出してやった問題がすべて壁に貼り出されている。
あいつは……ももかは……ずっとずっと俺の言うことを聞いてくれていた、ちゃんとした妹だったんだ。
それに俺が気付けなかっただけだ。
机の上にある漢字ノートの束を見てもわかる。ペラペラとページをめくると字がぎっしりと埋まっていた。
――ももかは俺のいない間にずっと勉強をしていて、俺が帰ってきたら兄と遊んでくれる。
なのに俺は、俺は、俺は……。
ももかの今までやってきたことを思うと自然と目から涙が溢れていた。
兄である俺と遊ぶことで、気晴らしにもなれるし問題を出してもらえれば勉強の成果もわかることができた。
そんなことも考えずにあんなことを言ってしまった。
学校なんて行かなくたっていい。ただ生きててくれれば、勉強なんてどこでだってできた。
人間関係なんてのもこの際どうでもいいんだ。
もう取り返しはつかない。後悔しかない。
この後悔を受け入れていくしかない。
それからしばらくして、俺は最後まで片付けをやり終えた。ひとりでできるところまでしかできていないが、かなり片付いたと思う。
絨毯を押し入れに直したり、壁に貼られた紙をすべて剥がしたりした。
この部屋にはもう勉強机とベッドしか残っていない。けど寂しさを感じることはなかった。
だって俺は部屋の片付けだけではなく、ほかの違った大切ななにかも片付けたからだ。
だから俺は、心のモヤモヤがすこしすっきりした気分を覚えた。
それからひと月がたち、新しい家族が増えることになった。
犬、猫、などではない。そんな動物という家族ではない。
――俺の新しい妹になる女の子だ。
けど、俺は複雑な心境だった。
ももかが亡くなってから、そんなに月日も立っていない。
どう接したらいいのかもわからない。
罪滅ぼしをするような感じに接してしまうかもしれない。
「俺は……どうしたら……」
あと少しで母さんが新しい妹をつれて帰ってくる。
どんな妹が帰ってくるのだろうとかも気になっていたが、くっ……どうしよう。
一人でリビングで必死に悩みに悩んだが全然答えは出てこない。
まず、口調はどうする? 「やぁ、これからよろしくねっ」とイケメンボイスで返すか? 絶対もたねぇよ……。
あぁぁ、パニクってきた! とりあえず落ち着け! 落ち着くんだ……。そうだ、平然を装え。それが安定だろうきっと。
………………。
……………………ふぅ。
悩んでも仕方ないよな。
そうだ。俺はもう心を整理したんだ。母さんは俺のことを心配してくれて、新しい妹を家族にしようと言ってくれたんだ。
母さんがしてくれたことを無駄にするわけにはいかない。
そんなことを考えていると、玄関の扉が開く音がした。
母さんが、帰ってきた。
――新しい妹をつれて。
俺はゆっくりとリビングの扉を開けて、玄関にいる二人を見つけた。
母さんはほんと……ほんとうにいい人だ。
その隣にいた女の子はももかとは似ても似つかない顔をしているのに、身長や雰囲気は似たところがある。
でも、その子の顔を見ても、ももかを思い出させるようなことはなかった。
また新たな気持ちで接することができる。そして、妹だけは大切にすると心に決めた。
この子をいじめるやつは男女問わず関係ない。守る。絶対にこの子だけは守る。
「そうすけ」
母さんが俺を一瞥して名前を呼んだ。
「うん。わかってる」
新しい妹になるこの子は母さんの後ろに隠れて顔だけこちらに覗かせていた。
「こんにちは。俺の名前はそうすけ。君の名前は?」
「…………明梨」
これが俺と明梨との最初の会話。
一生忘れない、忘れられない初めての会話。
俺はももかのことは絶対に忘れない。けど、ずっと心の中心にあったらいつか俺は耐えられなくなる。そして明梨にあたってしまう。
それだけはダメだ。
だから、俺はこのときからももかのことは心の奥底へと封印した。
これからは――明梨にすべてを尽くす。
そう決めた。
「明梨……いい名前だな」
「……うん」
いきなり呼び捨てで呼ばれて少し驚いていた。
けど、それが普通だと思った。
これから家族になるんだから、そして俺の妹になるんだから。
「明梨、これからよろしくな」
俺は精一杯の笑顔をぶつけてやった。
もうひとりの妹の話、ということで8000文字を超える長い長い話となりました笑
次の話も読んでいただけると嬉しいです。




