本気?
なんだ、この俺の胸の中がモヤモヤしてる感覚は。部の前で立ち止まった俺は嫌な予感がしつつも扉を少しずつ開けていった。
今、俺はありえない光景を見ている。夢か現実なのかは知らない。とりあえずありえないんだ。
俺が来遊部の扉を開けた途端に写った景色だ。それは驚きの一言だったね。
俺のいつもの席に座っていたのだ。居座ってるの自体がおかしい。
長髪の黒髪で美人でウエスト細くてモデルのあの女が……
何故、来遊部にいるんだ。
俺が扉を開けると、中にはだいきちが定番の席に居座りパソコンを弄りきって、俺の定番の席には例の女が居座っている。
俺はゆっくりとだいきちの側まで行き、耳打ちして問いかけた。
「なんで、あいつがいるんだよ。あいつモデルだろ?」
「美波の事か? 今日から部員となった」
「それが問題なんだよ。なんであんな奴がこの部に入ったんだよ」
「嬉しすぎて鼻血ブーか?」
「違うわ!俺が聞いてるのはそう言うことじゃなくて!」
パソコンのキーをカタカタ鳴らすのを止めずにため息をついた。
「理由はわからない。だが、入ったことには変わりない。仲良くしてやってくれ」
「なんで上から目線なんだよ!」
てな訳で、早速今日の議題となったね。美波はモデルの仕事とかなんかで帰ってしまったから丁度いい。
峯坂を除いた定番の四人が定位置に座った。まずは、俺が持ちかけたこの課題の説明をしよう。
「今日の来遊部の議題はズバリ! 何故突然、モデルさんが来遊部に入ってきたかを議論し合いましょう!」
この高校は割と有名人が多い。モデルやら小説家やら、しかも同年代にだ。
美波は俺のクラスの隣の席に座っているわけで、モデルとは聞いてたけど美人すぎて毎日三十秒は見とれてしまう。俺が好きな少々つり上がった目がその顔に彩られ、桃色に艶やかな唇が見るもの全てを吸収していくオーラがあった。
そんなモデルさんが急にこの不人気の部活に突然入るだなんて、なんかの病気かもしれない。失礼だけど、気が狂ったんじゃないかと思える。
「そんなわけで、だてみち先輩。意見はどうぞ」
「帰ってもいいかな?」
「意見を求めてるんだけど……」
「別に誰が入ってきても構わなくないか? 部費アップの兆しが出てきたわけだし?」
「そうっすけど……」
「しかも、部員八人いないと潰されるってこの前話したろ」
俺たちはあるノルマを抱えて、部活を行っている。この前、生徒会で出てきた部活動の議題で出てきたのが最低部に八人がない部活は潰すとのことで、今月の終わりまでに部員が集まらなければ廃部。しかし、八人いる部は廃部する部の分かさ増しするとのことで、現在、潰れて欲しい部ランキング一位が来遊部にランクインしてしまった。廃部の恐れがある部は来遊部だけではないのだが、その部活たちは地味に人気が上昇しつつあり廃部の恐れが薄れてきている。唯一、廃部する可能性があるのが来遊部だ。
「とりあえず、この議題はおしまいな」
「異論はない」
パソコンを止めずにだいきちはそう言った。
「私もないわ」
白土先輩も、異論なしかよ。
「……わかりました」
「そんな暗い顔することねぇだろ? 結構スタイル良さそうだから俺獲っちゃうぞ~?」
「なんでテンション上がってんの!!」
「じゃあ、解散でいいかしら? 目が疲れたの」
白土先輩が目を抑える。
「なら、本読まないで!」
「俺も目が疲れた。帰らせてくれ」
「じゃあ、パソコン止めちゃえば!」
そんな感じで今日も平和(?)に過ごしたわけだ。
別作で時間が取れずに……てな訳で久々の投稿。そして、これを見てるということは読者様で有りましょうか。廃部にならなくなる可能性が一つ減るのはいいことだけど何か嫌な予感しかしない蒼介の心を読み取れましたかね。描写下手なんで難しいかもですがよろしくです。次話会える事を期待してます。