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飛来

 焼きそばパン飛来事件が国語の時間に起きた。

 三時間目の授業中に事件は起きた。俺の机にどこからか焼きそばパンが投げ込まれてきたのだ。俺は無罪にも関わらず、国語教師の野郎は「こ、こ、こ、こらっ!! ま、ま、ま、まだお昼じゃないぞっ!!」と俺を叱り、俺は授業中ずっと立たされたるハメとなった。ひでぇ話だろ?

 この事件が起こるまでの過程がこれからの本題なのだ――



「そ、そ、そ、それじゃあ、御宮(おみや)さん。きょ、きょ、教科書百十一ページの三行目から読みなさい」

「はい。春の日差しが――」

 授業が始まってすぐに教科書の朗読をさせやがる。教師によってそれぞれやり方が違うのはわかるさ。けどさ、俺はこの髪の毛一本だけ残ったおっさんが特別、大嫌いなわけよ。特にこのやり方が。

 ひどい時となれば、その日にやる範囲と無関係のとこを読ませたりする。しかも、おっさんの成績のつけ方もテキトーだ。授業態度はおっさんの好きな子(おっさんとよく話す生徒とか)を最高点にしたりする。だから、そんなに授業態度はテキトーでオーケーとなる。まぁ、授業中に立ち歩いてたりしてたらそれはそれだけどな。

「よ、よし。今からノートを書くからな」

 黒板を使い始めたのが開始から二十分後。同じところを別のやつに読ませたりしたりで結構時間がかかる。今回は俺はセーフだったぜ。

 そんな感じで、黒板に字を書いて少ししたら教科書を読ませる。比率で言えば、読7、書3といったもん。これで授業終了のパターンだ。進む範囲は、一年でうまいことぴったりと終わるんだろうが、ノートに書く事が異常に少ない。ふざけたじじぃだぜ、まったく。

 焼きそばパンが投げ込まれる時間となる五分前になる。黒板に字を書いている。こいつは黒板に字を書き終えるまで振り返ることはない。この間、生徒たちはお喋りタイムが発動する。俺は当然、後ろにいるだいきちに話しかける。

 だいきちは今、パソコンを開いた。そして、腕を回したり、骨を鳴らしたり、柔軟体操を軽く行った。

「よしっ」

 そう言って、パソコンのキーをカタカタと打ち始めた。

「お、おい!!」

 パソコンを俺は取り上げる。だいきちのやつ……いつもこうしないとパソコン弄りだしやがる。しかも、この表情! 何、泣きそうになってんの? 俺が悪いの、これ??

「ひどいよ」

「俺が正しいと思うんだけどね」

「ひどいよ」

「二回言うな!」

「……」

「よしよし、反省したな? これなら返してやっても……」

「ひどいよ」

「しつこいな!」

「うちのママに言いつけてやるぞ」

「おまえはおぼっちゃまか!」

「何言ってんの? 身に危険を感じたぞ」

「ああ、もういいや。パソコン返すよ」

 パソコンを渡してやる。

「当然だな」

「やっぱ返さないぞ?」

「それ冗談だろ?」

「別にそんな驚くことでもないだろ」

「ひどいよ」

「もういいわ! 返すわ、もう!」

 もうそろそろ読書タイムに突入するだろう。周りが少しずつ静かになってきた。

 と、前を向いた瞬間だ。俺の真上を飛び越えてきて机の上に何かが飛来してきた。何かが机に落ちた時はポンっと効果音が出るかと思ったぜ。

 俺はその何かを持ち上げた。

「……焼きそばパン」

 俺は誰が飛ばしたか、察するべく後ろに振り向き怪しいやつを探した。

 なんだ……こいつら、皆寝てんじゃねぇか。だいきちはパソコン片付けてるしよ!!

「チッ。まぁいいか。ただでくれたと思えばいいもんだしな」

 前に向き直った時には、目の前に教師らしき服を着た物体が。

「こ、こ、こ、こらっ!! ま、ま、ま、まだお昼じゃないぞっ!!」

「この焼きそばパンが俺の机に投げ込まれてきたんですよ」

 おっさんがどれだけ嫌いでも敬語だけはつかうのが礼儀。

「そ、そ、そ、そんなことあるか!! 授業が終わるまで立っときなさい!!」

 ちなみに、おっさんは俺のことが大嫌いである。


 この事件の犯人が一体誰だったのかは誰も知らないだろう。迷宮入りとなってしまうのは辛いが認めるに仕方がない。

 ただ、焼きそばパンの百円分が俺の財布から飛ばなかった日であったことには感謝しなければいけない。

 サブストでした。本編には深く関係ないですが……次は結構あるかも??

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