来遊部と俺 ~プロローグ~
俺は今、椅子に座っている。
手の動きを止めずに周りの風景を見渡している。勉強している風に見せながら、周りを見渡すのがなんとなく好きだ。
俺の正面には井盛大吉がパソコンのキーをカタカタと動かしている。ぐるぐるメガネが特徴で、頭はとても良いが、オタクを極めている。身長が百六十cmと小柄で体重も六十キロを下回っている。俺と同級生で、高2。ニックネームはだいきち。
井盛のお隣は伊達勝道。どこの誰が見てもイケメンと呼ぶに相応しい面をしているが、この部に入っている事に驚きを隠せない女どもが周りに多いんだとか。毎日告白されるらしい。優しそうな目がついていて、朝に髪をセットして髪が念入りに整えられている。高3の先輩。ニックネームはだてみち
俺のとなりは白土未華子が小説に入り込んでいる。黒と茶の混合髪で、これまた美人。俺が好きな目だ。少々つり上がった目が俺の好みである。男としてなんだが……胸が中々でかい。信じれないのだが、彼氏がいないというのだとか。先輩であり、ニックネームはない。
もう一名。ここにはいない引きこもりで幽霊部員の峯坂徹輔。高2で一度も顔を合わせたことがない。……の四名と俺とで来遊部は成り立っている。
「おい、だいきち」
「なんだ、松阪」
「いつも、パソコンいじってるけどそんなやることあるか?」
「在りすぎる。在りすぎて時間が惜しいぐらいだぞ」
「どんなことがあるんだ?」
「恥ずかしいから言えない」
「めちゃくちゃ気になるんだけど。時間が惜しいぐらいのことってなんなんだ?」
「恥ずかしい……って言ってるだろ」
「何かお前って女っぽいとこあるよな。正直、ドン引きだぞ」
っと、まぁ来遊部は何をするかっていうとそれぞれ何をしてもいいんだ。人と一緒にいながらするから面白いこともある、という来遊部独自の教えでこの部は日々精進しているのだ。
「仕方ない……特別に見せてやろう」
パソコン画面を見せてもらうとその画面には、
「オンラインゲームかよ!何が恥ずかしいんだよ!」
「……恥ずかしい。見せるんじゃなかった」
「ひどいな。蒼介」
会話に入り込んできたのはだてみち先輩だった。
「先輩には関係ないじゃないすか」
「人の嫌がることをやったら嫌われるぞ」
「何が嫌なのか説明してくれ、だいきち」
「お前の顔面に似たキャラを見られてしまった」
「それ、俺が恥ずかしいから!」
来遊部は今日も平和で過ごせるだろう。
『別世界から』を書いております中村宏です。前作とは違った学園ラブコメとなっているのでこちらもまた楽しんでください。
1話で会えることを期待しております。