Memory ~カケラ探し~ -プロトストーリー-
この作品は、現在執筆中の作品、「Memory ~カケラ探し~」の元となったものです。もともとは「無題」という形でしていたものですが、-プロトストーリー-というタイトルをつけ、今回投稿ということになりました。なにぶんプロトストーリー、展開が早かったりしてますが、どうか暖かい目で見てやってください(笑)
ある日、空から少女が降ってきた。
少女は、記憶を失っていた。
少女が覚えていたのは、自分の名前と、散らばった自分の”記憶のカケラ”を
探し出すという事だけだった。
少女は、僕に懇願した。
『わたしの”記憶”を探してほしい』と。
僕は、しばし考えた。
そして、僕は少女とともに”記憶のカケラ”を探す事に決めた。
僕らの旅が始まった。
”カケラ”は順調に見つかっていった。
しかし、”カケラ”を取り戻すたび、少女はいろいろな事を思い出した。
楽しい記憶、嬉しい記憶、嫌な記憶、怖い記憶、辛い記憶……
少女は戻ってくる”記憶”に嘆き、悲しみ、苦悩した。
だが少女は、決して”記憶のカケラ”探しを止めはしなかった。
なぜなら少女は、自分の”生まれてきた意味”を知りたかったからだ。
少女は、
やがて、全ての”カケラ”が揃った時、
少女は、気づく。
自分の”生まれてきた意味”に、そして、自分に課せられた”使命”に。
少女は、”全て”を思い出した。
自分に課せられた”使命”を。
少女は、”世界の観測者”だったのだ。
生まれてから、ずっと、ずっと、観測し続けてきた。
僕が生まれるずっと前から、この世界が生まれるずっとずっと前から。
少女は観測し続けていた。
世界の始まりを。
世界の移り変わりを。
”使命”を思い出した少女は、やがて自分のあるべき”場所”へと帰っていっ
た。
僕は、最後に少女に尋ねた。
『この”世界”は楽しかったのか』と。
少女は、答えた。
『楽しかった』と。
少女を見送りながら、僕は思った。
少女は、これからも”観測”を続けていくだろう。
ずっと、ずっと、
世界の終わりが来るまで。
だが、少女はずっとその”記憶”に刻み込むことになるだろう。
楽しかった、この”世界”の事を。
ずっと、ずっと……
― 完 ―