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本編

1. オープニング


カウントダウン:「死亡時刻まで、12:43:00」


朝のシーン


主人公・望月が昨夜から厄介になっている押入れで寝ている死神(大人の女性)を起こす。


死神「どこの世界に、自分の命を狙う死神を起こすやつがいるんだ」


望月「お前は俺を最後まで見届けるのが仕事じゃないのか?」




2. 日常風景


大学へ向かう


望月は大学へ行き、普通に講義を受ける。


死神は望月にしか見えないため、周囲の人間は気づかない。


講義終了後、まだ席についているグループの1人が落としそうになったコーヒーカップを望月が、空中でキャッチして返す。


死神「へぇー、反応がいいんだな」


望月「別に、これくらい普通だろ」


カウントダウン:「死亡時刻まで、07:23:00」




3. 帰宅・余生の過ごし方


望月は自宅に戻り、録画したアニメを見たり、ゲームをしたり、普段通りくつろぐ。


死神が退屈そうに「こんなので本当にいいのか?」と尋ねる。


望月「何が?」


死神「もっと余生を楽しんだほうがいいだろ?」「お前好きな人とかは?最後に告白したり」


望月「余計なお世話だ」




伏線


死神「そういえば、部屋にこんなのがあったんだけど?」


死神が望月の刀を取り出す。


望月「あぁ、それか。夜使うから置いておいて」




4. 最後の晩餐


台所には、大きな豚肉の塊と、先ほど死神が持っていた刀が置かれている。(料理で使用)


リビングでは、望月が一人ガツガツと肉を食べる。


死神「最後の晩餐がお肉とはな」


死神も「私にもくれ」と言い、二人で仲良く食事をする。




5. 最後の準備


シャワー&準備


望月はシャワーを浴び、ジャージに着替える。


さきほど使った料理で使った刀は鞘にしまい背中で結んでいる。


カウントダウン:「死亡時刻まで01:02:00」




玄関でのやり取り


死神「おーい、あと1時間しかないぞ。どこ行くんだ?」


望月「死に場所くらい、自分で決めさせろ」


死神「ふーん」


死神が望月のあとをついていく。




6. 最後の戦いの舞台


望月が死神を森の奥深くの開けた場所へ連れていく。


移動後、望月がデジタル式の腕時計を確認する。


カウントダウン:「死亡時刻まで00:04:02」




望月が死神に忍者であることを告白する。


望月「実は、俺、忍者なんだ」


望月「忍者たるもの、黙って死神に命をくれてやるのは掟に反するのでな」


死神(鎌を空間から取り出し)「面白い。思う存分抵抗してみるがいい」「じゃあ、始めようか」




7. 望月 vs. 死神


戦闘開始


望月と死神が激しい攻防を繰り広げる。


刀 vs. 鎌の壮絶な戦い。


望月は火遁の術などの忍法を使い、戦いを進める。


最終的に鍔迫り合いのような形になり、望月が優勢になる。




突如、背後からの一撃


望月が別の死神(少女)によって背後から攻撃される。


望月の体から力が抜け、地に伏せる。


望月「一人じゃなかったのかよ…」


死神「まぁな。死神たるもの、どんな手段を取ろうとも対象の命を狩るのが掟だからな」


望月、息絶える。




8. エンディング


もう一人の死神(少女)との会話。


「で、どうするんですか?こいつ?」


死神の決断


「こんな奴はめったにいないからな…」


「上に報告して、こいつを死神にしてもらうよ」




END






【登場人物】




・望月(主人公)


忍者の末裔で、ひっそりと暮らす平凡な大学生。


たまに、忍者として仕事を請け負ったりしている。


あらゆる忍術に精通している。




・死神の女性


黒を基調とした服を着た大人の女性。


非常に怠惰な性格。任務で望月の命を狩りにきた人物。




・死神の少女


死神の仲間。最後まで出てこない。


十代半ばくらいの容姿。


死亡時刻まで、12:43:00――


 その光をまぶたの裏に感じながら、望月は目を覚ました。


 窓の隙間から差し込む朝日が、薄暗い部屋の中をわずかに照らしている。カーテンを閉め忘れたせいか、朝の冷たい光が思いのほか鋭く目に刺さった。


 体を起こし、大きく伸びをする。視界の端に、押し入れが見えた。


「おい、起きろ」


 望月は戸越しに声をかけると、中から反応があった。


 戸を開け、中から顔を出したのは、黒い服を着た寝ぼけた様子の女だった。




「……うるさいぞ。もう少し寝かせろ。」


「いや、お前。俺を最後まで見届けるのが仕事なんだろ?」




 死神は面倒くさそうに目をこすりながら、ゆっくりと出てくる。


 長い黒髪が肩に落ち、白い肌が朝の光に浮かび上がる。


 死神はそのまま布団の上で伸びをして、欠伸をかみ殺した。




「……それにしても」


 死神は、ぼんやりと望月を見つめる。


「何だ?」


「どうせ『死神が見える』とか言って大騒ぎするタイプかと思ってたのに」


「今さらそんなこと言っても仕方ないだろ。カウントダウンまでついてんだから。確か今日の夜九時だっけか。俺がお前に殺されるの」


 そう言いながら、望月は時計を見る。


 死亡時刻まで、12:37:48か……




 望月は、回想する。


 (そう。コイツは昨夜、バイト帰りで家に帰ってきた俺に、死神を名乗った挙句。24時間後に、俺の命をもらうとかなんとかほざいていやがった。頭のイカれた女だ。まぁ、事実死神なんだろうが)


 など、適当に。




「ん?あぁ……まぁ、そうだが。で、こんな朝早くから、どこに行くんだ?」


「どこって、決まってるだろ?大学だよ」


 望月はそう言うと、リュックを手に取る。


「じゃあ、行くぞ」


 死神は肩をすくめながら、ふわりと体を浮かせた。


大学の構内に足を踏み入れると、いつもと変わらない日常が広がっていた。


 すれ違う学生たちの談笑、講義室へと急ぐ足音、カフェテリアから漂うコーヒーの香り。望月は何の変哲もない光景の中を歩いていく。


 しかし、一つだけ違う点がある。




「……やっぱり、お前のことは誰も見えてないんだな」




 望月は死神の隣を歩きながら、周囲の反応を見てつぶやいた。




「あたりまえだろ。私はこう見えても、死神なんだから」


「ふーん。ま、そうなんだけどさ」




 講義室に入ると、すでに半分ほどの席が埋まっていた。


 教授がまだ来ていないせいか、学生たちは自由に雑談をしている。望月はいつもの席に座り、教科書を開いた。


「お前、ちゃんと授業受けるんだな」


 死神は隣の空席に腰掛けると、肘をついて望月を見つめた。


「学生だからな」


「でも、もうすぐ死ぬんだぞ?」


「最後まで普通に過ごす。それが俺のやり方だ」


「へぇ……。ま、好きにしなよ」


 やがて教授が講義室に入ってきた。学生たちはそれぞれ席に着き、授業が始まる。


 死神はつまらなそうにあくびをしながら、机に突っ伏した。


「……退屈」


「だったら寝てろ」


「あぁ、そうする」


 本当に寝るのか、死神は目を閉じる。望月はそれを見て、前を向いた。


 こうして、何気ない時間が過ぎていく。


カウントダウン:「死亡時刻まで、07:23:00」



 授業が終わり、望月は教科書を閉じて立ち上がった。


 周囲の学生たちもノートを片付けながら、友人と談笑しつつ講義室を後にしていく。


「ふぁ~、退屈だった。こんなのでこの国の未来は明るくなるのかね?」


 死神が隣で伸びをする。


「さぁな、知らん。」


 望月は呆れながら講義室を出る。


 そのとき、授業中。望月の後ろの列で授業を受けていた。グループが、まだふざけながら談笑しており、端に座っていた男子学生が置いていたコーヒーカップが肘に押されて宙に浮いた。


 望月はそれを、何も見ないでとっさに手を伸ばし、カップの側面を掴む。


「……ほら」


 学生にカップを返すと、彼は驚きながらも「あ、あぁ。ありがとう。」といい受け取った。




「お前、意外と反応がいんだな」




 すると、死神が興味深そうに覗き込んできた。




「別に、これくらい普通だろ」


「ふーん。そうかなー?」


 死神は何か考えている様子だが、望月は特に気にせず歩き出す。




◇ ◇ ◇




 家のドアを開け、靴を脱ぐ。死神もそのままついてきた。




「ふぅ……」


 望月はリュックを置くと、すぐにソファに倒れ込んだ。




「お前、家ではだらしないな」


「誰も見てないし、いいだろ」


「私が見てるけど?」


「お前はカウントダウン付きのストーカーみたいなもんだろ」


「ひどい言い草だなぁ」




 死神はくすくすと笑いながら、望月の隣に座る。




「で、何するの?」


「録画してたアニメ見る」


「へぇー」




 望月はリモコンを取り、テレビをつける。画面には深夜アニメのオープニングが流れ、明るい音楽が部屋に響く。


 死神は最初こそ興味なさそうにしていたが、次第に画面に引き込まれている様子だった。




「……この主人公、なかなかやるな」


「まぁ、そういうキャラだからな」


「おい、続きはないのか?いいところで終わったぞ」


「いや、来週で最終回だから。今は見れないよ」


「ふーん……」


 しばらくアニメを見た後、望月はゲーム機を手に取り、プレイを始めた。


「……お前、本当に余生これでいいのか?」


「何が?」


「もっとやりたいこととかないのか?」「好きな子に告白したりとか」


「余計なお世話だ。それに今日死ぬような奴に告白されるなんて、その子に迷惑なだけだろ」


 望月はコントローラーを握ったまま、そっけなく答える。


「ふーん……」


 死神はしばらく黙っていたが、やがて立ち上がり、物置部屋へと向かった。そして、何かを手に持って戻ってくる。


「ねぇ、これ」


 彼女が手にしていたのは、一振りの刀だった。


「こんなのがあったんだけど?何に使うの?」


 望月はちらりとそれを見ると、特に驚くこともなく頷く。


「あぁ、それな。夜使うから置いておいて」


「え?夜、もしかして、これで殺されたいの?」


「ちげぇよ……いいから置いとけって」


望月は台所に立ち、大きな牛肉の塊をまな板の上に置いた。冷蔵庫から取り出したそれは、程よく脂が乗っていて、望月が包丁…ではなく刀を入れると滑らかに切れる。


 フライパンを熱し、油を引く。じゅう、と肉が焼ける音が広がる。香ばしい匂いが部屋中に充満し、死神がふらりと台所へやってきた。




「……最後の晩餐が肉とはな」




 死神は腕を組みながら、焼かれている肉を眺める。




「肉が好きだからな」




 望月は無造作に言いながら、肉を皿に盛る。




「でも、もっと特別なものにしようとか思わなかったの?」


「これが俺にとっての特別だよ」




 テーブルに皿を置き、フォークを手に取る。がつがつと肉を頬張る望月の姿を見て、死神は呆れたように笑った。




「ふーん……じゃあ、私にもくれ」




 死神は勝手に向かいの椅子に座ると、皿に手を伸ばす。




「おい、勝手に取るな」


「いいじゃん、少しくらい」


「……ったく」




 望月は仕方なく、もう一枚の皿に肉を盛る。死神はフォークで器用に肉を切り、一口食べると満足げに頷いた。




「……おいしいね」


「そりゃそうだ」




 二人はしばらく黙々と肉を食べ続けた。時折、死神が「この焼き加減が絶妙だ」とか「もう少しスパイスが欲しい」とか、的確なコメントを挟む。


 望月はそれに適当に相槌を打ちながら、最後の肉を口に運んだ。


 食事を終えると、望月は椅子にもたれかかり、深いため息をつく。




「ふぅ……腹いっぱいだ」


「まさか最後の晩餐が死神と、一緒に肉を食べることになるとは思わなかったな」


 死神はフォークを皿に置き、少し微笑む。


「まぁ、悪くない時間だったよ」


「……そうか」



 望月はシャワーを浴び、ジャージ姿に着替える。


 死神はその間、リビングでゴロゴロしながらテレビを見ていた。


 髪をタオルで拭きながらリビングに戻ると、死神が興味深そうにこちらを見た。


「それで、これから何をするつもり?」


「ちょっと外に出る」


 死神はソファから起き上がり、望月の後をついて玄関へ向かう。


「おーい、あと1時間しかないぞ。どこ行くんだ?」


「死に場所くらい、自分で決めさせろ」


 望月はそう言い残し、玄関のドアを開ける。冷たい夜風が吹き込んできた。






◇ ◇ ◇




 夜の静寂が森を包み込んでいる。


 枝葉が風に揺れ、ざわざわと囁くような音を立てていた。月明かりが薄く地面を照らし、足元に影を落としている。


 その開けた場所に、望月と死神の二人が向かい合っていた。


 望月は腕時計をちらりと確認する。


 死亡時刻まで、00:04:02――




「……さて」




 死神が口を開いた。




「お前、こんなところにわざわざ来て、何をするつもりだ?」




 望月は静かに刀を抜いた。月の光が刃に反射し、冷たい輝きを放つ。




「決まってるだろ。最後の抵抗だよ」


「ほう」


「実は俺、忍者なんだ。」


「へぇー。望月、忍者だったんだ」




死神は特に、興味を示したように返事はしなかった。




 彼は刃先を死神に向け、静かに構えた。


「忍者たるもの、黙って死神に命をくれてやるなんて掟に反するからな」


 死神はその言葉を聞いて、ふっと笑った。


「なるほどね」


 彼女は黒いローブを翻しながら、ゆっくりと鎌を肩に担ぐ。


「まあ、何にせよ、面白いことになってきたな」


 死神は楽しそうに笑いながら、鎌を片手でくるりと回した。


「けど、勝算はあるのか?」


「やってみなきゃわからない」


「ふーん……」


 死神はしばらく彼を見つめていたが、やがて小さく呟いた。


「じゃあ、始めようか」


 彼女の黒い瞳が僅かに光を帯びる。


 望月は深く息を吸い、体の力を抜く。


 望月が足を踏みしめると、草がわずかに擦れる音を立てた。


 刀の切っ先が、月の光を受けて鋭く輝く。


 一方の死神は、長い鎌を片手で持ち、ゆったりとした構えをとる。


 二人の間に、静かな間が生まれる。


 次の瞬間——


 望月が跳んだ。


 一直線に駆け、刀を振り下ろす。


 死神は即座に鎌を振るい、鋭い金属音が響いた。


 刀と鎌が交差し、二人の影が夜の森に揺れる。




「なかなかやるじゃないか」




 死神が微笑む。


 望月は応えず、瞬時に後方へ跳躍し間合いを取る。


 死神が間髪入れず鎌を振り抜く。鎌の刃が月光を裂きながら、望月の首を狙う。


 望月は刀を横に構え、それを受け止めた。火花が散る。


 再び距離が開く。




「どうした? 忍者らしい動きが見たいな」


「言われるまでもない」




 望月は深く息を吸い、喉に力を込める。


 次の瞬間——


 口から炎を吐いた。


 爆ぜる火が空気を焦がし、死神の目前に広がる。




「——!?」




 死神が即座に後退する。


 熱波が彼女のローブを掠め、焦げた煙が立ち昇った。




「お前……火を吐けるのか?」




 死神が驚いたように目を細める。


 望月は刀を構えたまま、静かに言い放つ。




「忍者だからな」




 死神が口元を歪める。




「ふふっ……おもしろいな」




 彼女は鎌を肩に担ぎ、今度は自ら間合いを詰める。


 望月も応じるように踏み込む。


 ガキィンッ!


 刀と鎌が再びぶつかり合う。


 望月は瞬時に体を捻り、死神の鎌の軌道を外しながら、横薙ぎの一閃を放つ。


 死神はそれを紙一重で避け、すれ違いざまに鎌を逆手に振り抜く。


 望月はその刃を寸前で刀の柄で受け止め、再び火を吐いた。


 死神は即座にバックステップで距離を取り、笑みを浮かべる。




「……いいな、その技」


「死神に褒められてもな」




 二人はじりじりと円を描くように動く。


 そして——


 望月が一気に踏み込む。


 鍔迫り合い。


 刀と鎌が交差し、互いの顔が至近距離に迫る。


 望月の目には、鋭い闘志が宿っている。


 死神は不敵に笑った。




◇ ◇ ◇




 望月の刀と死神の鎌が激しくぶつかり合う。


 月明かりの下、二人の影が交差するたびに火花が散り、森の静寂が乱されていく。


 ギリギリ……


 鍔迫り合いの形になり、二人の顔が至近距離で睨み合う。


 死神は口元に笑みを浮かべていた。




「なかなか力強いな」


「当然だ」




 望月は低く答えながら、じりじりと力を加えていく。


 最初は拮抗していたが、次第に死神の足がわずかに後退する。




「……ほう」




 死神の表情が変わった。少し、面白くなさそうな顔だ。


 望月はその変化を見逃さなかった。




(押せる……!)




 さらに力を込め、刀を押し込もうとした、その瞬間——


 ズンッ……


 鈍い衝撃が背中に走った。


 それは、鋭い痛みではなく、ゆっくりと、しかし確実に体の力を奪っていく、重く沈むような痛みだった。




「ぐはっ」




 望月は、口から血を吐き、目を見開く。


 体が動かない。


 脚に力を込めようとしても、まるで地面に縫い付けられたように動かない。刀を押し込む力も、すうっと消えていく。


 死神は鎌を振るうのをやめ、ただ彼を見下ろしていた。


 ——何か、おかしい。


 望月は、自分の体が異変を起こしていることを理解するよりも早く、膝が崩れ落ちる感覚を覚えた。


 ガクッ……


 地面が近い。


 草の冷たさが頬に触れる。


 それでも、彼はまだ、何が起こったのか理解しきれずにいた。


 視線だけを動かし、ゆっくりと横目で後ろをうかがう。


 ——そこに、「もう一人の死神」がいた。


 月光の下に、小柄な影が立っている。


 黒いローブ。死神と同じ衣装。しかし、その姿は幼い。


 少女の姿をした、もう一人の死神。




「一人じゃ……なかったのか……?」




 息も絶え絶えに、望月はかすれた声で呟いた。


 少女の死神は、無表情のまま、ただ彼を見下ろしている。




「……まぁな」




 声がしたのは、最初に戦っていた死神のほうだった。


 彼女は、もう鎌を構えていない。ただ、腕を組み、静かに望月を見下ろしていた。




「死神たるもの、どんな手段を使ってでも、対象の命を狩るのが掟だからな」




 その言葉は、まるで淡々とした業務報告のようだった。


 望月は、わずかに笑った。




(……そういうことか……)




 最後の力を振り絞ろうとしたが、もはや腕すら持ち上げられない。


 ゆっくりと、視界が暗くなる。


 森のざわめきが、遠くなっていく。


 ——そして、彼は目を閉じた。






◇ ◇ ◇




 死神の少女が、先ほどまで戦っていた死神に話しかける。




「で、どうするんですか? こいつ」




 倒れた望月を見下ろしながら、少女は訊ねる。




「どうするって……こんな奴は滅多にいないからな」




 死神は少し考え込むように言う。


 望月の顔をじっと見つめたまま、彼女はゆっくりと続けた。




「上に報告して、こいつを死神にしてもらうよ」




 月明かりが静かに降り注ぐ森の中で、死神たちはただ静かに立っていた。


 死のカウントダウンは、もう進まない。




 ——END——







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