初戦闘 <ファーストコンタクト> (チャプター ➖1後編)
前回の続きです もし読んでいないのであれば前回を読んでから見ていただきたいです
開いていただきありがとうございます
今回は上手くできました
響はすっかり大人になった
だがあのサーカスのことは片時に忘れていなかった
みんなが特撮モノのヒーローに憧れるところ
響は団長のミラクルメーカー と名乗る人に憧れた
体操教室に親に頼み込んですぐに入れてもらい
身体能力を磨いた マジックの類にも手を出した
口調や仕草をあの座長の真似をしてみんなにマジックや
サーカスの芸をクラスメートに見せたりして次第にみんなと仲良くなって人見知りも次第に治っていった
大学生になると路上パフォーマンスをし出した
路上パフォーマンスでは人だかりができるほど
人気になりSNSですこし知名度があった
だがどんなに知識をつけても
あのサーカスの座長の瞬間移動と浮遊の魔法とやらはわからずじまいだった
響は両親と大学を出るならサーカス団員になっても良いという約束を守り地元では頭のいいと言われている大学に入って卒業した
サーカスになるための入団試験は成績トップで入団し
練習を積んで行った
ある公演日の後
「みんなよく聞いてー!」
団長がみんなの注目を集める
「今回の公演の順番だ アナログに紙を配る
見ての通り今回の公演は大輝と響の初公演だ
大輝は始めの盛り上げ役だが」
一呼吸
「響にはトリを務めてもらう」
あたりがザワザワ騒がしくなる
「驚く人や不安に思う人もいるだろう 当然だ
初公演でトリなんてなかなかないし しかもメイン
キャストだ」
「だが! 俺の目と響を信じてほしい こいつは必ず成功させる」
(ウッソだろ 役もらえるとは聞いてたけど...)
響の幼少期からの努力により様々な芸を凄まじいスピードでマスターしていき本来1から2年ほどかかる
本公演への出演をわずか半年で許可された
座が始まって以来の快挙としてサーカス団の中で
大きな話題にもなった
だが出る杭は打たれるという言葉がある
響は 実際のところは努力型の人物なのだが周りから見ると凄まじい才能でのし上がったように見える
恨む人も当然いた
そのうちの1人特に響を恨んでいるのが
渡辺 大輝
黒髪を刈り上げたいかつい髪型をしているが優しそうな
目つきをしている 高校を卒業すると親の反対を押し切りこのサーカス団に入ったサーカス団に入りたての頃は金がなくサーカスの裏方として何年もこのサーカス団で働いていた
厳しい練習と自己研鑽を積んだ彼は5年の月日を経て
日々の地道な努力が実り ついに舞台に立つ機会を掴んだ
だが彼のもらった役はいわゆる前座だった自分より何歳も 若い奴が半年で自分より上の立場にいれば
どんな聖人であろうと少しは嫉妬をしてしまうだろう
「やっぱり才能には勝てねぇんだなぁ」
自室のベットで大輝が髪をかきあげため息をつく
大輝はどうしてもやりきれない気持ちでいっぱいだった
(いや ここで腐ってるようじゃ 育ててもらったみんなに申し訳ない! やりきるぞ しっかりしろ俺!)
自分の頬をぱち!と叩き少しして眠りについた
次の日
その日はリハーサルを全員でする日で朝から
作業をした後 集合した
「さあ今からリハに入ります本番のように公演順でやっていきます ミスなく やっていきましょう! 笑顔は忘れずに!」
「はい!」
全員が配置につき まずは場の盛り上げ役
要は前座である大輝がファイヤージャグリングや
風船アートなどの芸をする
それは練習をよく積んだとわかるような美しい手つきで
芸をミス1つもせずにやりきり笑みを客席に振りまいた
流石 と言わんばかりにスタッフと仲間からの
拍手が送られる
他の仲間の芸が終わりついに響の番が来た
まわりがザワザワし始めると空中ブランコにのった
響が次々と芸を決める
締めにブランコから手を離し三重回転を決めキザな笑顔で観客席にお辞儀し 手を振る
その瞬間うるさいくらいの歓声が響く
美しい の一言に尽きる技に
大輝自身も 「おぉ」 と感嘆の声を上げていた
同時に悔しさが押し寄せる
拳を無意識に握りしめる
自分はあいつの何倍もここで修行を積んでいるのに と
心にドス黒い影が侵入してくる
「あいつ まだ入団して半年だってよ!」
「まじで〜!?」
自分の時はなかった驚き混じりの歓声
自分もまだ練習をあまりさせてもらっていないブランコを乗りこなす響へのやりきれない気持ちと
拳を握る力は強くなっていった
4時間後
さまざまな確認が終わり昼休憩に入る
今回は食事は食堂のようなシステムのようで
サーカス団員が机に座って食事をとっている
「響くん 一緒に食べてもいいかな?」
大輝は意外にも響をお昼に誘った
大輝は響のいいとこを見つけて響を好きになろうとしていた
(仲良くなりゃいいんだ 嫉妬なんてくだらないことしなくなるさ)
「はい! もちろんです 大輝さん」
(あ...覚えてたんだ やっぱいいやつかも)
半年前に少し関わっただけなのに自分を覚えている
響に好感度が少し上がる
2人で作られた食事をテーブルに持って行く
「お! 響くん! 頑張ってよ〜」
「ありがとうございます!」
この間も響は声をかけられる
「人気だな〜 やっぱ」
「へへ どうも...」
席につき食事と会話が始まる
「いや〜あのブランコ! 痺れたよ 努力を感じる」
「いえ まだ俺なんて全然他の先輩方に比べたら」
「でも 努力の賜物だろ? あのパフォーマンスは
一朝一夕じゃなせない技だ」
「全然 皆さんに教えてもらったりして
運が良かっただけですよ...」
響の謙遜が傷口に塩を塗り込まれるようにジリジリ
心に傷をつける
(...じゃあ俺はなんなんだよ)
何気ない一言が突き刺さる響にとってはなんでもないのかもしれないが 血の滲む努力をした大輝にとっては
その言葉が重くのしかかる
「そうか...そんな謙遜しなくてもいいと思うよ
自信って外に出した方が周りも勇気をもらえるんだ
もっと 堂々として いいと思ういよ」
力なく笑顔を作る
「確かに...頑張ります!」
「おう 午後練で ぶちかましてやれ!」
平静を装い食事を終え午後練に入る
結局響のことをさらに嫌いになるだけだった
午後も悲しみは消えず
自分では届かない領域にいる響をボーっと見つめていた
そんなことは知らず響は歓声を浴びて練習をしている
「ああ 羨ましい...」
今まで考えようとしなかったことが自然と口から
漏れて 溢れる 心が汚く歪む
それと対比するように響の笑顔はひどく輝いていた
その日の夜
大輝は自室のベットで大輝が髪をかきあげ歯を食いしばる
「いつからこんな恨みがましい考えばっかになったんだろうなぁ」
一粒涙が流れる
「あぁ 俺の方がもっと.....もっと」
ドス黒い霧に心が侵され 沈んでゆく
大輝はゆっくりと深い眠りについた
大輝は夢を見た 静かな夢を
目を開けると暗い部屋の中自分の家のソファにいた
見たことはないが自然とそう感じた
目の前には小さなテレビがあり陽気な音楽が流れている
写っているのは...響だった
美しい芸を披露して拍手喝采をもらう
その芸に その姿にただ何も考えず見惚れる
ふと 横にあるコップに何も入っていないことに気づき
キッチンに行こうと立ち上がる
だが立ち上がれない
疑問に思い足を見ると自分が座っているのは車椅子に
変わっていた
「あ...あぁ」
ふと 全てを思い出す
ブランコの練習中ひどい落ち方をし足を壊してもう
芸はできないと医者に言われた
持っていたコップは手から滑り落ち崩れる
「才能に努力で勝とうとするからさ 出来損ない」
ふと横を見るとフードを深々と被った男がいる
その背丈は185センチはあろうと言う巨漢だった
「...うるせぇ!努力すればエリートを超える奴もいる!」
車椅子の手すりに拳を叩きつける
「本当か? 努力家さんよぉ〜」
男はへらへら笑い足を指差す 大輝は言葉が出なかった
「響はすげぇな 見ろよ! 美しい... お前みたいに
こいつは落ちたりはしないだろうなぁ」
肩に手を回してくる
「黙れ...黙れよ」
怒りがふつふつ湧いてくる
あの響さお前の運命を変えたのは!
テレビがわかりやすい図解のスライドショーに変わる
「ほらお前はヒーローに憧れた! その名も雷音響!
そいつは次々みんなに認められショーに出る!
お前は憧れた まるで漫画の天才主人公だ!
お前は必死に努力した! 誰よりも執念深かった」
指を指しながら大輝と響の人形のキャラが動かされる
「だが♩ ぴゅ〜ん...とお前の夢が打ち砕かれた
その無様な足と一緒にな」
人形の足は粉々になり全身が真っ赤に濡れる
お前は所詮モブキャラだ
「ふざけんな! それにあいつだって血の滲む努力してる! 勝手にあいつを語るんじゃねぇ! 尊敬してんだ!」
必死に 動かない体で喚き立てる
「じゃあ お前はそんままだなサーカス団の渡辺大輝は
死んだままだ その足もな あ〜あ 助かる手段もあったんだがチラチラ」
「な!なんだ! あるのか!ならなんでもする!」
にやりと 男が笑いかける
「簡単さあいつを消せばいい 憧れたからそうなんだ」
悪魔のような提案に大輝は怒りを覚える
「好き勝手言ってんじゃねぇ! そんなことするかよ!」
「そ じゃあお前は一生負け犬な」
そっけなくそう言い放ち男はどこかへ行こうとする
その時大輝の中で何かが変わる
「う...わかった どうすればいい!何すりゃいい!」
「お いい選択だ...ほらやるよお土産だ!」
腕を握られそこが焼けるように熱くなる
「今から未来を変えろ! お前がお前自身のヒーローだ」
「...単純なやつだな扱いやすくて助かるぜ」
本番の日の公演30分前
「よぉ大輝今日の公演頑張ろうな!...っておい!」
大輝は鋭い目つきで公演の舞台裏まで歩いて行く
「大丈夫かよ...まぁ緊張してんのか」
キョロキョロと挙動不審なまま歩き探しているのは
響だった 見つけると駆け寄り声をかける
「よお 響頑張ろうな」
右手を差し出す
「あ! 大輝さんよろしくお願いします!」
手を握り返すと大輝の手から黒い煙が上がるだが誰も
気づかない大輝以外誰にも見えない大輝自身は その煙を出て当然のように感じた
公演時間
大輝は最初の盛り上げ役として役目をまっとうする
観客の拍手や歓声の中 笑顔で大輝は手を振る
だがその笑みはどこか薄気味悪かった
いくつかの公演を終えてついに響の空中ブランコの
時間になる先輩たちにブランコ上で軽く芸を決め
観客のボルテージは最高潮になる
下から仲間と一緒に大輝はその様子を見ていた
だが最後の響の三重回転の4秒前の
勢いをつけているタイミングで大輝は慣れたような手つきで右手を振り上げ煙が出る
響がまさに今飛ぼうとした時
響は右手が ぐん! と上に引っ張られテントの
上の照明にぶつかりそうになる
「なっ!」
響は自分の明らかにミスではない挙動に驚き
観客は驚いた様子を見せる
その時響の視界はスローになった
(ああ 失敗する そんなことあってはならない!
絶対成功させるあの人になる!)
その時上にある照明がまばゆい光を発する
だがそれは大輝と響にしか見えなかった
次の瞬間 響は本来いるはずだった反対側の
ブランコの乗り場にライトで照らされていた
一瞬の沈黙
「イリュ〜ジョン⭐️」
次の瞬間
「わあぁぁぁぁぁ!!!」
練習よりも何倍も大きい歓声が巻き起こる
「嘘...だろ」
大輝は周りが歓声を上げているのにも関わらず
膝をつき太陽のような大輝を見つめていた
「お前は主人公だったんだな 最初っから 俺とは違うんだ...」
ゆっくりと大輝は響に背を背け歩き始める
響の方は瞬時に理解した
(今のはきっと いや絶対あの人と同じ魔法だ! 俺はヒーローになれた...!)
公演後
響はみんなに取り囲まれ 問い詰められた
「おい 響何が起こったんだあれ!?」
「響くん 1人であんなことしたらダメでしょ!
いくら盛り上がるからって! 団員には言いなさいよ
普通!インタビューもいっぱいきたし!」
ほぼ全団員に詰め寄られ響はヘラヘラするしかなかった
だが響は違和感を感じる
(大輝さんがいねぇ?)
「おい! 響ぃ!!!!!!」
団長が目の前に大衆を押しのけ走ってくる
「かってなことしやがって!」
「う...スイマセン」
流石の響もヘラヘラしていられず下を向きあやまる
「心配したぞぉ!」
「......え?」
思いがけない言葉に驚く
「一瞬視界から消えたからな〜 変なとこに落ちて
頭をぶつけて死んでしまうかと思ったぞ!
だがまさか真下のトランポリンではなく
反対の乗り場にいるとはな〜 がはは!」
バシバシと背中を叩かれる
「さぁ! 問い詰めるのは後にして 今はみんなで
飲むぞ〜」
「お〜」
響が固まっているのをよそに宴会が始める団長に
少し呆れながら響はみんなのところに駆け寄った
「待ってくださいよ〜 俺にもビール!」
1年後
響は独立したいという思いのもとサーカス団を卒業し
初心に帰り路上パフォーマンスをしていた
もちろん自分の習得した電気の魔法を使って
「さあさあ よく見ていてくださいね〜⭐️」
ふざけた口調で観客の視線を集めモニターからモニター
へ出入りする
「わあぁぁぁぁぁ!!!」
歓声が巻き起こる
「タネも仕掛けもございませ〜ん⭐️」
10分後
「今回は大盛況だったな〜」
片付けをしていると女が話しかけてくる
「いや〜すごかったですね!まるで奇跡です!」
「あ...どうも」
(なんだ この人急に...)
「ただあのモニターに入る瞬間すっごく眩しかったんですよ〜あれどうなってるんですかね〜?」
女は不敵に笑った
一方大輝はあの公演のあと車に乗り思い出の
遊園地に行った
「俺は自分の夢を叶えるために 自分のヒーローに
なるために家を飛び出したのに...結局悪役と思っていた
親よりも酷いことをしようとした...悪役は俺だった」
独り言を呟きながら遊園地を歩く
「あぁそうだこのホール ここで見たサーカス
かっこよかったなぁ ミラクルメーカーだったっけか
あの浮遊マジック 結局何だったんだか
俺のこの煙のやつとおんなじ 魔法だったのかな...」
右手から原理もわからず念じただけで黒煙が出る
「黒い煙...やっぱ悪役じゃん...はは」
力なく笑いまた歩みを進め観覧車に乗る
「ああこの観覧車もまだ俺がガキで親と仲が良かった時
乗ったなぁ 忘れていたよ...こんな大事な思い出を」
涙を一滴流す
「だが...最後はヒーローになれるみたいで良かった」
観覧車が1番上に来た時大輝は窓を蹴破り
空にダイブする
「悪役はヒーローが倒さなくっちゃな...」
少し笑みを浮かべヒーローは粉々になった
雷音 響
能力名 アメイジングタイムチケット
電流の中を行き来できる
その時に ものや人も同時にいくらでも持ち運べる
出る時は速度も電流以下の速度なら調整できる
名前の由来はミラクルメイカーを名乗るサーカス団の
団長の公演の題名
ミラクルメイカー
能力名 ハーピィの羽吹雪
物体や人を浮かせたり 瞬間移動させたりする
読んでいただきありがとうございます
よければ感想など書いていただけると嬉しいです
xのアカウントを作りました投稿したらこれでわかるようになります
文章構成のダメ出しなどもこちらにもぜひ送っていただきたいです(リプライ dmなど)
https://x.com/tyobimochi




