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7.それは「ファンタジー」じゃない。 ただの妄想だ!

 エッセイと言うジャンルは玉石混合だと、つくづく思い知らされる。


 なんでそんな事をいきなり、と言う方には説明せねばならない。「ファンタジー」の定義とその解釈について、こんなエッセイを見つけたからだ。


「剣と魔法とモンスターが出ればファンタジー」

「自称本格派ファンタジーは本をベースに、なろう系ファンタジーはRPG作品をベースに」

「本格派ファンタジーとの違いは主人公の設定だけ」


 まあ何とも……これがまかり通っているならば、どれだけ「なろう系」が歪なのかが良く分かる。



 根本的な事が何も分かっていない。一言でバッサリと言い切るのならば、こういう事である。


「本格派ファンタジーは、不思議な出来事は起こるが決して主人公サイドに都合の良い事は起こらない。むしろ、その出来事が問題となって解決方法を探し、主人公達は成長する」


「なろう系ファンタジーは、ありとあらゆる不思議な出来事は主人公サイドに都合が良いように起きて、主人公は巻き込まれる形で解決し、周囲から称賛される」


 どうだろうか? 乱暴ではあるが、一応「なろう系」の定義の方向性と言うものが、見えてこないだろうか。


 これから書く事は、そう言った方々を敵に回すかもしれない。暴論である事は重々承知だ。


 とはいえ、語らなければ片手落ちであろう。


 ファンタジーとは、『空想小説』である。「なろう系ファンタジー」と言われる作品の本質は『空想ではなくて、作者の妄想』であり、小説ですらなくただの文字や出来事の羅列でしかない。


 決してただのジャンル分けではない。ファンタジー作品と言うのは、そういった「道具立て」や「世界設定」を指している物ではない。


 剣も魔法もモンスターが出なくてもファンタジー作品はある。『不思議の国のアリス』はファンタジーではないのか? 『星の王子様』はファンタジーではないのか?


 いわゆる「指輪物語」を始めとして、そう言ったファンタジー作品を指して言っているのかもしれない。生きてきて今まで「なろう系」しか読んでいない人間の創作論など、片腹痛い。


 ……「嫌なら読まなければいいじゃない」と言う、好みの問題では無いのだ。


 その程度しか認識の無い奴が、作品を投稿して「これがファンタジーでしょ?」とのたまう事こそ、問題なのだ。



 早晩「なろう系」は衰退するだろう。前作でも書いたが、そう言った物語性の特異さや読者層のあまりにも世間一般からのずれと言うものが顕著になるだろう、と。


 実際、多くの酷評がコミカライズされた作品やアニメ化の考察で行われている。


 つまり、「なろう系」が矛盾も何も考えず、作者の欲望と妄想の垂れ流しでそれを一部の読者が頭空っぽでポイント評価している事自体が危惧する現象なのだ。


 ……評価ポイントの考え方が、個人で違い過ぎる。「小説家になろう!」と言うWebサイトの仕様に合わせた物語作りと言うものが、いかに異端であるか無自覚である。


 何が言いたいかと言えば、流行の追従や盗作が大っぴらに行われるのが横行し、とにかく内容もまともに見ずに評価ボタンを連打する事。そして、それをランキングとして公表する事の是非。


 ……それら全てが、真っ当な創作物の妨げになっていると言わざるを得ない。



 せめて、評価ポイントの価値を統一するか、「マイナス評価」の概念を導入しないとどうにもならないであろう。


 評価ポイントの価値を統一するとは、「一ユーザーが一日に評価できるポイント数に制限を設ける」事である。


①今日読んだ作品が30あった。全部面白かったので、10ポイント付けよう。→一人で300ポイント使った事になる。

 

②俺は、この作品が完結するまで一切評価ポイントを付けない。 →一人で使ったポイント無し。


 この二人のポイントの価値が同じ、という所が問題である。特定の読者層の嗜好がランキングに反映されやすいのだ。


 マイナス評価については、「俺はこの作品は最低だと思う。だから、マイナス10ポイント付けよう」と言う仕様である。


 そうすれば、物語的に矛盾やおかしな展開について、作者にそれを伝える事が出来ると思うのだ。


 何故、マイナスの評価をする事が出来ない? ☆1評価ですら文句を言う人間だ。そんな機能があったら、炎上するとでも言うのだろうか?



 むしろ、評価ポイントと言う一つの物差しでしか判断されない状況の方がおかしいのだ。


 評価ポイントを気にして、作品の内容をそれに合わせるなどと言う創作は間違っている!


 「なろう系」と言う業は、特定のヘビーユーザーの趣味嗜好に合わせて本来小説として必要な何かを歪めた結果なのだ。


 だから、一般人が理解出来ない理由になる。小説として最低限必要な「何か」を切り捨てているからだ。


 まあ、極端な意見だとは思う。だが、書籍化までされた作家が語っていた内容を見ていると理解出来る。アイツら特定の読者層を「評価ポイントボタンを押すだけのbot」としか思っていない。


 キツイ物言いだが、個人的に「小説家になろう!」が好きなのだ。


 中には小説と言うものに初めて触れる人も居るのだろう。そう言った人達が、真っ当な文学作品を読むことなく、異常な価値観に染められる様を見せられるのは、とても辛いものだ。


 創作物と言うものは、すべからく作者が伝えたいテーマがあり、その結末迄しっかりと読者に伝え導くものだ。


 決して、ランキングや評価ポイントの為に存在する物ではない……。


 面白くも無い話ではあるが、私は「ファンタジー小説」の醍醐味を伝えたいだけなのだ……。


 それほどおかしな話では無いと思う。


 「剣と魔法とモンスター」ナーロッパと言うものは、それ自体が「ファンタジー要素」ではない。


 きちんと整合性のとれた、「不思議な現象」としてしっかりと考えるものなのだ。


 大事な事なのでもう一度言おう。『Web小説サイトの仕様や流行に流されて、創作の在り方を変える行為こそが、異端であり「なろう系」の本質なのだ』


 そりゃ「テンプレなろう」は、簡単に作品が作れるシステムである。その一方で、必要な「何か」を考えずに作品を垂れ流す原因でもあるのだ。


 たかが「ジャンル」と言うなかれ。


 世間には、確かな考えを持った普通の人々がいる。……なろう愛読者は、自分と世間一般との乖離を少し省みた方が良いのではないだろうか。

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