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2.SF考証について

 皆さん、アニメやゲームを見ていてスタッフロールをご覧になった事が無いだろうか?


 その中に時々『SF考証』と言うスタッフがいる。SFに限らず、時代劇なら『時代考証』医療系のドラマなら『医療考証』と言った具合である。


 ……他にも軍事系の創作物なら『自衛隊監修』と言うのもある。


 具体的にどんな事をしているの? と聞かれれば、専門知識を有するメンバーで物語に矛盾や正しくない事が描かれていないか、チェックする役割である。


 例えば、時代劇で唐突に機関銃を出してくる奴がいると、滅茶苦茶になってしまう訳だ。


 だから、創作物を作る時には、そう言った専門家による確認を行うのが重要になってくる。


 制作側が一定の質を担保する、という事。……つまりは、作者と読者の約束事である。


 だが、小説と言うものは基本的に編集者がその役割を果たすのだが……機能していない場合もある。


 ……それに「小説家になろう!」では、編集者も居ないので自分でやらないといけない訳だ。


 前回「SFとは思想であり、概念である」と言ったが、創作の場では「SF」が、専門知識として扱われる。物語の中で論理的に説明がつく現象を説明する事で、矛盾やストーリーの破綻を防いでいる役割となる。



 要するに、ただのファンタジー小説なら「不思議な出来事」で済ませる事が出来ても、SF小説なら科学的もしくは論理的に正しくないといけない。


 ……それがSFの存在意義である。それが出来ないとどうなるか?


 読者側としては「SF小説」を読んでいるのだから、論理的な矛盾が発生すると物凄いストレスになる訳だ。……それはもう「ヘイト管理」と言うレベルではない。


 すぐさまブラウザバックして、感想欄に考え付く限りの罵倒を行う位の『読者への裏切り行為』である。


 もちろん物事には例外もあって、後の話で読者が納得出来るだけの説明やカタルシスを与える事が出来れば、ある程度は緩和されるだろう。


 ……とはいえ「空想科学」を謳い文句にして小説を投稿している立場としては、タイトル詐欺やジャンル違いなどとは比べ物にならない程に読者を軽視している事になる。


 それがアマチュアの作品なら評価ポイントが下がったり、感想欄が荒れる程度で済むだろう。


 だが、仮にも商業作品として書籍化やアニメ化されている作品でそんな事があれば、即炎上である……。創作物を作る立場としては、決して忘れてはいけない事なのだ。



 とまあ、デメリットの面から説明したが『SF』のメリットもきちんと説明する必要があるだろう。まず、絶対に断言出来るのは作品の質が向上する事だ。


 「科学的に正しいから面白くなるか」と言えばそういう訳でも無いが、ともかく細かく考えて整合性を取る行為自体は素晴らしい事だ。


 ……良く『プロットを練ろ』と言われるのには、そう言う一面もある。


 また、作者側が一番やってはいけない筆頭が「自分が決めたルールを勝手に破る」行為である。


 ……なろう系なら良くある事、と思ってはいけない。読者の中には「面白ければ、関係無いぜ!」という、特殊な訓練を受けた人間もいるだろうが、一般人にそれを向けてはいけない。


 「小説家になろう!」と言うサイトは、物凄くその辺りがルーズなのだ。いわゆる「テンプレなろう」を利用した作品作りをお勧めしない理由でもある。


 普段から何も考えずに創作していると、その辺りの感覚が鈍る。「評価ポイントは伸びているから」とか「感想欄でも良い反応だった」と言うのは、既にヤバい兆候である……。


 閉じた環境でそんな事が癖になってしまい、考えなしに物語を作り続けると、いざ書籍化と言う段階で指摘されて困るといった事態にもなる。


 とにかく、歪な癖が残ってしまうと致命傷である。あまり「テンプレなろう」を過信しない事だ。


 ……何よりも重要なのは、作品にきちんと向き合って、よく考えて悩む事だ。


 特に商業作品として何か形に残したいという方は、覚えておいた方が良いだろう。


 その病の特効薬として、効き目が強いのが『SF考証』である。効能としては、設定を良く考えて物語に整合性を持たせる事で、作品の『リアリティ』を高める事が出来る。


 ……プロット段階での見直しが限りなく少なくなるのだ。



 ふと思いついた事と言うのは、得てして何処かに矛盾を生じる可能性がある。例えば、特殊な『スキル』を考え付いた事があったとしよう。


 いざ、文章にしてみると思ったほどの凄さが無く、ただ自分の決めたルールを破っただけ、なんて事も良くある。


 そういう事態を事前に防ぎ、物語にバックグラウンドを持たせる事で説得力を増やすのが『SF』の力なのだ。……実際、論理的な裏付けを取るというのは一つの解決策である。


 そう言った特殊な能力の「魅せ方」と言うものは、物語り前後での強弱が大切である。……事前にリアリティ側を強調する事で、いざと言う場面で「かっこ良く魅せる」事も出来るのではなかろうか。


 そういう意味では「SF」と言うのも、実は数ある「テンプレ」の一種でもある。ワンパターンにならない様に考慮すべき点もあるが、使いこなせれば心強い。


 ……ともあれ、独りよがりになりがちな「なろう系」で、唯一客観的に見直しが出来るという一点で有効性はあるかな? と言う感じだ。


 良く練られた作品と言うのは、地道に描写を続けながら少しづつリアリティを積み上げていくものだ。いきなり強大な魔王が現れて……と言う展開にがっかりとするのは、この辺りが原因だろう。


 普段から細かく設定を小出しにして、科学的な根拠や論理的な整合性を意識する事が大事なのである。唐突な設定語り、と言うのにもウンザリするものなのだ……。


 出来れば、お勧めのSFなんてものに手を出すのも、良い勉強になるのではなかろうか。

 いざ「SF」の有用性を語れ、と考えると意外に思いつかないものである。


 設定のリアリティをしっかりと印象付けるのに、有用である事は間違いない。


 だが具体例は? と聞かれると困ってしまう。……難しいものである。

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