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1.SFってなんなの?

 以前「非テンプレなろう」のすすめを書いた者です。


 完結ブーストの恐ろしさを思い知りました。


 何が良かったのかは分からない。だがまあ、興味を持って貰って本編にアクセスしたりポイントを付けて貰ったのは、嬉しい物である。


 ……週間ランキングに入るとは思いもよらなかったが。


 それはともかく、タイトルである。前回のエッセイでは、元々書こうとしていたのだが色々な事情で避けていた。……安易な気持ちで書くには、SF原理主義者が怖い。


 それと「小説家になろう!」では、相性が悪いとも思っている。人気が無いのだ……。


 それもその筈。ジャンルとしてはVRMMOを中心に残ってはいるのだが、狭義の意味でのSFは滅んでいるのだ。


 若い人からしたら「何でSFって四つも分類があるの? ファンタジーでさえ二つなのに?」と思う人も多かろう。かつての栄光の残滓という奴である。


 個人的には、SFと言うジャンルから他のジャンルに浸透した結果ではないかとも思う。


 SFの概念自体が滅んだ訳ではない。ゲームやアニメ、漫画と言った普遍的なジャンルに周知されたのだ。1980年代位には「SFマンガは書くな」とも言われたものだが、今そんな事を言う奴はいない。


 とはいえ、SFは面白くないのかと言えばそうでもない。空想科学文学と言うジャンルは、とても魅力的だと思っている。ただ、接する機会が無いという事だ。


 そもそも「SFとはなんぞや?」と言う話だけで、語るべき事は幾らでもある。


 だが、ファンタジーの概念が広がった一方でSFの概念が変わってしまったのも一因である。


 今回調べてみたところ、「SFとファンタジーの分類は明確に定められていない」という事が分かった。……世間一般の思い描く「SF」について考えてみたい。



 まず、一般人が思い描くSF作品と言えば、『スターウォーズ』か『バック・トゥ・ザ・フューチャー』と言ったところ。詳しい人間でも『2001年宇宙の旅』が出れば御の字である。


 日本の作品なら、と言われれば『シュタインズ・ゲート』が一番しっくりと来る。『戦国自衛隊』とかもSF作品に当てはまる。『ガンダム』がSFかどうかで揉めるのは、良くある話だ……。


 ……要するに作品でしか語れない、と言うのがSFの問題点なのである。


 『SFは、サイエンス・フィクションの略である』という所位しかない。空想科学とはそう言うものだ。つまりロボットやタイムマシン、宇宙や近未来を舞台にした小説といえば、納得できるラインだ。


 現実の科学をベースにした架空の科学技術をテーマにした作品ともいえる。「センス・オブ・ワンダー」という言い方もする。要するに、「もしも~だったら」で物語を進める作品群と言えるだろう。


 ……どうにも歯切れが悪いと思ったそこの貴方、鋭い!


 SFに対する、特定のファンの方に怒られない様に必死なのだ。


 「SFって何なの?」と言う疑問にすら、真っ当に答えが無い……そう言うものなのだ。


 架空の物を小説で語る、と言うのはファンタジー小説である。その一部にSFが含まれると思って欲しい。


 そして、世間一般では「ロボットやワープなどの特定の科学技術」や「宇宙を旅する物語」や「時間旅行やパラレルワールド」を扱った作品、と言うのが定説である。



 ……だが、待って欲しい。SFと言うのは、それほど簡単なジャンルでも無いのだ。


 こういうのは、具体例が一番分かり易いのだろう。SF作家として有名な『小松左京』と言う方がいる。代表作は『日本沈没』だと思う。これをファンタジーと言う人間にお目に掛かった事は無い。


 ……SFを愛する者としては、もっと色々な作品もあって紹介もしたいのだが、具体例として一番ふさわしいと思う。先程挙げたジャンルの特徴には、含まれないからだ。


 『日本沈没』とは『海底の異常現象から未曽有の大地震が重なり合って、日本列島そのものが一年以内に海底に沈むという事実を発見し、政府が日本国民全員を海外に避難させるべく計画を行っていた。そして、その発表と同時に富士山が爆発し……』と言う作品である。


 作者本人の意図として、「日本人がユダヤ民族の様に流浪の歴史を過ごす事になったら……」という物語を行うために架空の自然現象として、日本を消滅させたという経緯がある。


 ……あまりにもその『嘘』が見事だったために、本人の意図とは関係無く広くSF小説として認知された作品でもある。


 「SFというのは、どうやって読者を上手く騙すかに尽きる」とも言える訳だ。


 この『小松左京』と言うSF作家は、それはもう物凄い科学技術の知識があって『預言者』と言われる程に、未来の現実で起こる現象を作品にしているのだ。


 『日本沈没』の内容は、そのまま『東日本大震災』の内容に当てはまるし、コロナによる世界の混乱だって『復活の日』と言う作品で同様の現象が起きている。


 ……創作をする人間にとって、一番難しいのが『近未来』である。


 何が難しいって、たった数十年先の未来を正確に描写するのが困難なのだ。しかも、現実世界だから適当に書けば批評されやすい。


 例えば現実的なロボットやAIといった分野については、SFが主流だった1970年代から50年位。……気が付けば『絵を描く人工知能』や『手軽に買えるロボット』が普通となっている。


 スマホ一つで、人間の価値観がここまで変わると予測するのも難しいだろう。……SFと言うのは、物語の中で未来予測をする、と言う側面もあるのだ。


 

 さて、SFを語るのは難しいが何か自分にも出来る事は無いだろうか? ちょっとした小話位なら何とかなると思う……。


 もう、物語の中で『自分はロボットだ』と言う少女が出てきても、驚く様な事は無いだろう。


 ……だがSF小説として語るのなら、もうひと捻り必要なのだ。これは個人的な意見ではあるのだが『SFとは何か?』と言う問いに対して、具体例を示してみよう。


――――――――――――――――――――――――――――


 目の前に容姿の整った、人形のような少女がいる。彼女は言った。

 

「私ね、ロボットなのよ。信じて貰えるかは分からないけど……」


「へえ、随分と良く出来ているじゃないか。……君は人間の様に振舞っているように見えるけど、その自我は、どうやって作ったんだい?」


「さぁ? 私に自我があるかどうかは知らないわ……。人間って凄いわね、自分に自我が存在する事を証明出来るのよね?」


 ……俺は、最近のロボットは皮肉や冗談まで言えるようになったのかと驚いた。


――――――――――――――――――――――――――――


 どうだろうか? やっぱりSFが好きだとは言っても、上手く話を作るのは難しい。


 とはいえ、普通のファンタジー小説でエルフが出てきて、「何歳?」とは聞いても「いつ死ぬの?」とは聞かない……。そう言うものだ。


 ……目の前のキャラがエルフだとして、いつ死ぬのかを聞くのは物語として不自然なのである。


 だが、SF小説ならやるのだ。……そして、きちんとどうやって生まれてきてどんな条件で死ぬか、詳しく描写する。……同じ架空の物語でも、そこが違う。


 先程の小話なら「食べ物は食べられるの?」と聞く事はあっても、「どうやって造られたか?」なんて、聞かないのが普通の小説だ。


 SFと言うものは、「ロボット」や「タイムマシン」が出てくる事が基準ではない。むしろ、SFは思想であり、概念なのだ……。


 つまり、物語の何処に語りたい事を置くか、が基準となるのだ……。『SF小説』は、そう言う架空の事象に対して、科学的・論理的に考慮する事が主なテーマになる。


 例え、「タイムマシン」が登場する作品であっても、その理論や時間旅行による問題が語られなければ、ただの『ファンタジー小説』である。


 ……これが『SFとファンタジーの分類は明確に定められていない』と言う理由になる。


 要するに、SF小説と言うのは『物語的には、本来不要である筈の現象について、論理的・科学的に語ってしまうような作品』であると言える。


 厳密に言えば、ジャンル分けされるものではない……。「SFは思想であり概念」と言ったのは、こういう理由なのである。


 ……予想はしていたが、これは難しい。


 だが、仮にも「SFが好きだ」と公言している以上、書かなければいけない理由があるのだ。


 ……これが『SFに魂を惹かれた者』が、特別面倒くさい理由なのである。


 まあ、ネタが思いつけば続きを書くかもしれません。感想など、気軽にお書き下さい。

 小松左京先生の作品は、全て持っています。好きなSF作家として誰か一人挙げるなら、間違いなくこの方ですね。


 ……自分が『小説』そのものに触れるきっかけを作ってくれたのです。マンガにしか興味の無かったあの頃……。もし、古本屋で見つけなかったらどうなっていた事か。


 流石に『日本沈没』は古本屋で見つけたものしか持っていませんが……。日本沈没の続編を読む事が出来た、と言うのが本当に嬉しかったものです。


 ……どちらかと言うと、海外のハードSFは苦手です。何と言うか、個人的な趣味の問題。


 何て言うか、日本人特有の「人情物」と組み合わさったSFが良いんです。物語としても面白いくないとね、と言う気持ちかもしれない。


 教養としての「SF」と言うのも分かるんですけどねぇ……。

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