神獣と聖獣
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ブラフマから説明がなかったのかとロゴスに聞かれ、なかったと答える。すると、ロゴスはがっくりと肩を落とした。
『まったく、ブラフマ様。そこはきちんと伝えておくことでしょうに……』
どうやら“聖獣”とルーチェは関係があるようだ。
『えー、何から説明するか……。こほん。まずはルーチェ。結論から言うと、お前は“聖獣”だ。そして、我は“神獣”。聖獣は、そうだな……その名の通り聖なる、もしくは神聖な獣のことで、人間より神に近い。次に神獣は、獣の姿をした神や神々の使いのことを指す。どう違うのかと問われれば、格が違うのだ』
ロゴスは再び近くに落ちていた棒で文字や記号を書き、分かりやすく説明してくれた。
【神獣>聖獣>霊獣>魔物】
『……なるほど。理解しました。つまりわたくしは聖獣で、神獣であるロゴス様の部下ということですね』
『あー、部下ではないが……まぁ、いいか。ルーチェ、人前で自分が聖獣であることは口にするなよ。我ら神獣も、お前達聖獣も、伝説の中でしか存在しないと思われている』
『それは、なぜ伝説の中だけの存在になってしまったんですか?』
『……もうずいぶんと昔の話だが、欲に目が眩んだ者達に大量に乱獲されてしまったからだ』
ロゴスの話では、百年も二百年も前の話のことらしい。だが、長寿である神獣や聖獣、霊獣は今でも昨日のことのように覚えているとのことだ。未だに心の傷は癒えておらず、彼らは人里に近寄ることなく、ほとんどの者が森の奥で暮らしているのが現状だと説明してくれた。
『……そうだったんですね。分かりました。わたくしが聖獣だということはロゴス様以外には伏せておくようにします』
『それがよかろう。だが、お前が話したいと思った相手ができれば、その時は話すといい』
『……はい』
――この時のルーチェは、そんな者は現われないだろうと高を括っていた。が、このこと世に広く知られるようになるのは、まだ先の話――。
次回は4/4に投稿します。