ロゴスとの授業・その1
“念話”に引き続き、ロゴスの授業は続く。
『念話が使えるようになったことだし、これから色々と教えていくが、分からないことがあったらすぐに聞け。何が分からないのかも分からないだろうが……知らん単語があったり、難しくて意味が分からなかったりとか……まぁ色々だ』
『分かりました。ご教授、よろしくお願いします』
もふもふの前足を口元に当て、ルーチェは笑いたいのを堪えながら頭を下げる。ロゴスは素っ気ないように見えたが、不器用なだけなのかもしれない。
『では早速ですが、質問よろしいですか?』
『何だ』
『ここは一体どこなのでしょうか?』
『ふむ。もっともな質問だな。ここはトルソネルという街の外にある森の中だ。この場所は比較的引っ込んだところだ』
ロゴスは落ちていた木の棒で、ガリガリと地面に『こんな感じだ』と大まかな図を書いてくれる。
『わたくしも行くことはできるのでしょうか……』
ルーチェの頭の中は今、大好きなスイーツのことでいっぱいだった。異世界のスイーツも美味しいのだろうな、などと思っている。ルーチェは前世でも、スイーツだけを食べて生きていきたいと思うほどのスイーツ大好き人間だ。今はホワイトライオンだが。
ちなみにその情報もロゴスに伝わっている。なぜ街に行きたいのか、会ったばかりのロゴスでも予想がついた。
『スイーツとやらが食べたいのだろう。しかし、それは人間の姿をとれるようになってからだ。まずはその身体に慣れろ』
『……かしこまりました』
見るからに落ち込み、体格に見合わない小さな耳がシュンと倒れている。
『お前は”聖獣”なのだから、時間は腐るほどある。いつでも行けるようになるだろう』
“聖獣”。
知らない単語が出てきたため、ルーチェは前足を上げた。
「ロゴス様、質問です。聖獣とは何ですか?」
その質問にロゴスは『え、何で知らないの?』とでも言いたげに顔を顰める。猫なので分かりづらいが。
次回は3/31に投稿します。