ホワイトライオンもどきに転生
タイトルを変更しました。
『元暗殺者ですが、異世界でホワイトライオンもどきに転生しました。』
から
『異世界でホワイトライオンもどきに転生しました。』
に変更です。
暗殺者要素が少ないように思えたので、『元暗殺者ですが、』を消しました。
何かが頬をくすぐる感触がして、ルーチェは目を覚ました。
どうやら眠ってしまっていたらしい。頬をくすぐっていたのは草花だった。
辺りを見渡せば木漏れ日溢れる森の中だということが分かった。
前足を持ち上げると、真っ白な毛並みにピンク色の肉球がついていた。どうやら、本当にホワイトライオンになれたようだ。疑っていたわけではないが、実際に見ると実感が湧く。
少し先の方に視線をやると湖がある。ひとまずは自分の姿の全体像を確認してみようと、身体を起こしてみる。身体に力を入れる――が、立てない。もう一度やってみる――が、やはり立てない。
な、何ということでしょう……。
と言ったつもりが、「ガウガウ」という声しか出なかった。本当に何ということだ。
ホワイトライオンなのだ、声は仕方がない。言霊は人間の姿にならないと使えないようだが、そういうものだと思っておこう。しかし、立てないのでは話にならない。
二足歩行ではなく、四足歩行なのだ。
ルーチェは思い出す、母親にボロボロになるまで稽古をつけられた時、四つん這いになって立ち上がったあの日のことを……。
右前足にまずは力を入れ、次に左前足に力を入れていく。そしてお尻を起こし、後ろ足に力を入れてみる――と、立てた。やっと立つことができた。四つ足で立つのには違和感を覚えるが、何とか第一段階クリアと言える。
おそらくルーチェは真面目すぎるというか、頭が固いのだろう。何でも難しく考えすぎてしまうのかもしれない。
何はともあれ、一歩ずつ地面を踏みしめる。今までが二足歩行だったからか、四足歩行は歩きにくいが、そのうち慣れる日がくるだろう。
よろよろと慣れないながらも懸命に湖まで歩く。水面を覗き込むと、そこに映ったのは白。厳密には一点だけ瑠璃色っぽいがあとは真っ白だった。まさしくホワイトライオン。
横を向いてみて、しっかり背中に翼があるのも確認する。ルーチェの要望通りだ。
姿を確認できたので、次はこの身体に慣れることだと意気込んだルーチェは森の中を散策することにした。散策ついでの今日の寝床を探すことも忘れない。
しばらく歩いてみたら、寝床によさそうな穴を発見。石壁に横穴が空いたトンネルのようなところ。前にも後ろにも動けるのポイントが高い。
トンネルに潜ると、向こう側は澄んだ湖だった。
ここを一時的な仮家にしましょう。
声を出してみても、やはり「ガウガウ」しか出ない。
日も暮れてきたことだし、ルーチェは散策をここまでにして、明日に備えることにした。
――ルーチェ、29歳。元暗殺者ですが、この度ホワイトライオン(翼付き)に転生しました……。
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次回は3/24に投稿します。