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僕の母②  作者: なち
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自由な人

母は自由だったのだ。私はソフトテニス を小学校低学年からしており、平日火、水、木の放課後と休日の日中はほぼ練習に行っていた。他の子供の家族は母親がたいていついてくるのに対し、私の母はほぼ来なかった。休日の朝は毎回父が私たちを起こし、朝ごはんや弁当水筒を準備しているのを横目に母はグースカ寝ていた。自分の気分がのれば、たまに練習に顔を出し、チョロっと口出しして帰っていくのだ。母は他人の子どもの扱いがとてもうまく、母がくると他の子どもたちはみな母のもとに集まり、ワイキャイと他人の子どもを喜ばせていた。私はその光景が少し誇らしくもあり、寂しくもあり、何より不思議であった。

自宅で急に歌い出し、年甲斐もなく女性韓国アイドルのダンスを真似てキャッキャする。私が一緒に楽しみたいと誘ったことは拒否するくせに、一緒に踊ろうと誘い、私が踊らないと不機嫌になる。言うなれば自己中でわがままで、いつまでたっても大人になれなない心が生娘のかなりの自由人だと思っていた。でも私は手のかかるそんな母が憎めず好きだった。自由だったからだ。母は「私たちのため」と言って愛を押し付けてくるタイプの母ではなかった。自分を謳歌していた。自分のことしか考えてなかった。だから、私も自由だった。

だから母はどこにいても自由な人なんだろうと思っていた。

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