四獣の勇者の話〜白虎の逸話〜
現実の四獣は一切関係ありません。
暇つぶし程度にどうぞ。
四獣の勇者とは4人の強き悪と戦うヒーロー!
といってもただの一般人が勇気を胸に四獣と共に戦うというもの。
この世界では闇が漂い、凶暴化した魔物が跋扈していた。
四獣のうち癒しの聖獣は、白虎己の内に秘めた魔力を皆に分け与える事で4人のヒーローと聖獣を癒やす事ができた。
しかし、潰えることの無い戦いに日に日に傷が増え白虎一匹では補うことが出来なくなる。
白虎のパートナーのヒーローの女性も癒しの魔法の使い手であったが、前線に向かい仲間と戦う為もはやパーティーはボロボロだった―――
四獣の中の一匹である朱雀は、先の戦闘で前線に向かいヒーロー達を庇い死にかける―――
朱雀を纏う炎は弱々しくなりながらも少しずつだが白虎は治した。
「なぁ………嘴がこんなにボロボロなんだぁ…格好いい装甲だったのに…コレ治るかなぁ………」
傷は魔法で治りはすれども魔物の攻撃には遅効性の呪いがあり、血管に入り込み悪さをする…治った箇所の血管はやがてボコボコと青黒く浮き出て白虎の前足で巧く抑えつけ、血流の呪いを感知し癒すことが出来ないと再び血管から裂け傷が戻ってしまう。
戦いは激化し、日々死へと近づく・・・もはや時間の問題だった。
ただ癒やすことしか出来ない白虎は友を死地に送り出し何度も何度も生きているのかどうか分からぬ状態の友を抱きしめ癒した。
そして、ふと思い付く・・・
私の血肉を食べさせればいいのだと。
白虎の血肉全てに魔力が宿っており、血は特に血管に入り込んだ呪いに即効性があった。
白虎は喜び、肉を剥ぎ取り戦闘前の飯に、血を抜き取り皆の為に作った薬と偽り分け与えー
やがて白虎は死んだ。
白虎の計画は完璧かと思えた、傷は自らを癒やす事ができたから。
仲間は白虎のした事を何も知らなかった、ただ白虎のした事で戦いは鎮静化しつつあった。
白虎が残した手記には友を待つ者の哀しみと命を掛けて戦う友の為に命を捧げる意志、そして自らの死の予感が記されていた―――
――私を食べて全てを終わらせて。私も友と共に死地へ向かいたい――と。
亡き白虎に四獣の勇者と三獣は涙を流し、友の言葉を受け入れ亡骸にナイフを挿し込んだ。
白虎の皮は盾となり勇者を護り、牙は剣となり後に聖剣として語り継がれる。
そして血はポーションとなり今は伝説級の代物として何処かに眠っている。
もしポーションやら装備にレジェンダリーとかある異世界ならこんな感じなのかなというストーリーにしました。