事後処理へ
現場は地獄絵図のようであった。
都合五十人ほどのヤクザ連中が、あるいは血を流し、あるいは腸を撒き散らして倒れ伏しているのだ。
真の勝者とも言える親衛隊の面々も、そのことごとくが返り血を浴びているので、血刀を提げた赤鬼そのものである。
周囲の町の衆は逃げ惑い、女たちは悲鳴をあげて、子供たちは泣き出してしまった。
おそらくは東領始まって以来の騒動であっただろう。
その騒ぎに、ようやくおっとり刀で町方捕り方が駆けつけてきた。
「なにごとじゃ! なにを騒いでおるか!」
最初は威勢のよかった町方の旦那も、現場の惨状を見るや顔から血の気が失せる。
そしてその地獄絵図の中に、血刀を提げた赤鬼どもが目を爛々と輝かせて待っていたのだ。
「おう、遅かったな。町方の」
「もっと出てくるのが早けりゃ、こんな惨事にはならなかったろうな」
「いや、お前さんらのせいじゃないよ。東領の統治の方針が悪いのさ」
「なんじゃいなんじゃい、偉そうに上から目線で人のこと見下しよって! お前らなにもんじゃい!」
町方が食ってかかる。
しかし相手が悪い。
ナンブ・リュウゾウはジロリとだけ町方を見た。
「俺か? 俺は北領御預ナンブ男爵が三男坊、ナンブ・リュウゾウという者だ。男爵さまの命により、東領地に巣食うならず者どもの掃除に来た」
ヒッと鳴いて、町方は飛び退った。
相手が雲の上の人、男爵家御身内とは気づかなかったからだ。
もちろんその他の捕り方たちも、すべて後退りし平にと手を着いた。
「さて、軍師どの。出番で御座る」
ようやく私が呼ばれた。
慌てて階段を駆け下り、路上の人となる。
事務的な手続きということだ。
「さて町方、この度の騒動。一般町民を驚かしたこと、まことに相すまなかった。北領御預ナンブ・リュウゾウに代わり詫びを申すぞ」
私が述べると、町方を始めとした一同が深く頭を下げる。
「しかしこの地において、ヤクザならず者どもの跳梁を許し、跋扈するを見逃していたのは理由を聞かねばならん。なにゆえか?」
「はっ、すべてはお上の御指示でした故、平に! 平にお許しを!」
「とのことです、殿」
ふむ、とナンブ・リュウゾウはうなずいた。
「これ町方、ヤクザのはびこるを許すにあたり、マイナイなどを受け取ってはおらぬか?」
ナンブ・リュウゾウが訊くと、町方は必死に頭を振った。
どうやら賄賂を受け取っていた訳ではないようだ。
「そうなるとヤハラどの。この一件は単純に兄上の怠慢。ということになりますかな」




