東領中央へ
翌朝、東領中央部に向かって出発する。
正直に言えば、大将と親衛隊の面々、ならびにクサナギ先生の自重がまったく期待できない出発であった。
そんな酷い状況でありながら、出撃しなければならないのには理由があった。
二戦目を
観戦したかったのだ。
もちろん下見という目的もある。
しかしそれ以上に、決着の瞬間を逃したくなかったのだ。
ヤクザ連中が戦いに決着をつける。
緊張感がゆるむ。
その時間はひと晩置くかもしれない。
その油断しきったところを襲うのだ。
皆殺しの大虐殺である。
しかし親衛隊に、臆するところは無かろう。
むしろ喜んで仕事をしてくれるはずだ。
問題は先走りである。
ヤクザ同士の出入りが終わると同時に、無断で参戦する隊士が出かねないほどの士気の高さなのだ。
というかケンカ好き、戦さ好きである。
そんなことをされてはせっかく油断した素人が、警戒心を高めてしまう。
それでも負けるような親衛隊ではないが、簡単に終わらせられる仕事は、簡単に終わらせるべきであろう。
無駄な負傷者は出すべきではない。
だから自重を促すのだ。
夕刻。
中央部近隣に到着。
宿を借りて例のごとく丸腰の町民に扮する。
今回はコッソリと東領に入るので、最初から機密性は守られている。
今度は合流していたアヤコが走って、宿を確保する。
アヤコが言うには、両軍の激突予定位置にかぶりつき砂かぶりの宿が確保できたそうだ。
宿で荷を解いてさっそく夜の街へ出発。
もちろん血桜同盟と鬼神党の拠点も眺めて回る。
今回の血桜同盟は人数を揃えていた。
ただ、どの顔ぶれも農民町人の次男坊三男坊といった、ボケた顔ぶれであった。
対する鬼神党は人数が少ない。
いずれも血気の雄といった風貌であったが、所詮用心棒先生頼み。
しかも負傷者ばかりであった。
いかにも侠気で集まった連中、という陣営である。
泥仕合だな。
私は思った。
そしてその泥仕合、双方疲弊しての決着こそが私の望む展開であった。




