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東領地到着

しかしなぁ、と他人にアイデアを求めておきながらウチの親分は渋い顔をする。


「博打というヤツでは、スッカラカンになるまで遊ぶ輩がいる。そうなると『またお越しくださいませ』とはならんだろう。次の利益には繋がらんぞ」


なるほど確かにその通りだ。

例えスッカラカンになるまで博打ごときにうつつを抜かす輩であっても、二度三度と遊びに来てくれた方が利益につながる。


「それでは貴族遊びの疑似体験というか、貴族遊びそのものを楽しんでもらってはいかがでしょう?」


「貴族遊びかね?」


「はい、池にボートを浮かべての魚釣り。山に入っての鹿狩り。貴族の遊びを存分に体験してもらうのです」


「それは面白そうだな」


大将は乗り気なようだ。

そしてこの男、狩りには滅法目が無い方である。


「そうした遊びを各地の商家などに告知して回れば、金持ちの道楽として繁盛することでしょう」


そしてそういった連中と、太いパイプを結ぶのである。


「さすればナンブ領の農産物を商ってもらえる機会も増えることでしょう」


「なるほど、ウハウハだな」


しかし問題は、どのようにして各地の商家に告げて回るかだ。

各領地では、それこそ商家を抱え込むことには必死である。

ナンブ領もまた、よその領地に商家を奪われたくはない。


「ヤハラどの、どこかに商家は転がっておらんもんかなぁ?」


「申し訳ありません、殿。ヤハラもナンブ領しか知りませぬ故……」


大将も私も、大きな商いをする者を知らない。

というか、そうした者をこれから育てようというところなのに。

事態は一刻も許さない速度で進展してゆく。


そうこう言っている間に、東領へ到着してしまった。

まずは私が走って宿を当たる。

幸いにして、全員が泊まれる宿をみつけることができた。

その宿で情報を集める。


シノビを放った成果が出て、すでに現地では戦さが始まっていた。

アヤコが知らせてくれた。

ただし戦さと言ってもヤクザの戦さだ。

規模は知れてる。


こっちの用心棒先生が強い。

いや俺の方が強い。

その程度の背比べでしかない。


そこへ本物の剣客たちが現れたらどうなることか?

任侠渡世の輩が一番最初に死ぬことになるだろう。

それを侠客の死とするか、道端で野良犬がケンカして無駄に死んだと見るか。

私としては断然後者である。


ヤクザ者とはいえ用心棒先生になるには、それなりの腕前が必要だ。

その腕前を領地や国家のためではなく、ヤクザの出入りごときに浪費するのだ。

軍師としては勿体無いとしか言えないだろう。


しかしよくよく考えてみれば、戦さの場でしか腕の奮いようのないヤクザだ。

開幕と同時に真っ先に駆け出して無駄に命を落とすかもしれない。

やはりその筋に身を落とす者など、ものの数ではない。

惜しい命とは思うことができないのだ。


ならば東領の大掃除だ。

むしろここで変な死人やケガ人を出すことが惜しい。

しっかりと策を講じて皆殺しにしなくてはならない。

東領に平和と秩序を取り戻すのだ


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