表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
27/193

構想

戦さの気迫満ち満ちて、私による一軍の編成を待ってから出撃と相成った。

今回もまた、男爵さまへ御挨拶を入れてからの出撃である。


「殿、ニノ兄の気性はいかがなものですか?」


道中、親分に訊いてみる。

じつはその答え、男爵家に仕えていたときから、私は知っていた。

しかし、ナンブ・リュウゾウがそれをどのように見ているか、そこが知りたかった。


「そうさなぁ、男爵家の人間だから食うには困らない。そして相続などという野心も無し。怠け者貴族の典型だろうよ」


ナンブ・リュウゾウは次兄をそのように見ていた。

そしてその見立ては、私の見立てとほぼほぼ一致している。

ボケナスの次男坊なのだ。


だから自分の支配地が荒れていても、まるで気にしないのである。

気骨もへったくれも無い貴族の次男坊。

それが次兄の評価でしかない。

しかしナンブ・リュウゾウという大将は、さらなる難題をふっかけてくる。


「なあ、ヤハラどの。これだけ人の集まる場所だ。なにか商いはできんかな?」


「武家が、商いですか?」


「そう、戦さというのはロハでは叶わぬ。なれば筋目の通った金銭が湯水のごとく湧きい出てくるような、そんな美味い話は無いものかな?」


ウチの大将は、男爵さまの懐具合を気にかけている。

南領の遠征も、実質男爵家の財布から褒美がでていた。

防衛戦、すなわち利益の出ない戦いでありながらだ。


そしてこの男、経済を薄っすらながら気にとめている。

三男坊とはいえ、貴族。

その身であるが故に。


ナンブ・リュウゾウは一人で旨い飯を食らい、旨い酒を飲む男ではないのだ。

貧しいならば民とともに貧しい飯を食らい、富めるならば民に旨い飯が行き渡ってから美食を楽しむ。

男一匹親分の道しか歩めない男なのだ。


だから褒美の金子きんすは惜しみなく兵に与え、算盤方の私ごときにジロリと睨まれる。

馬鹿と笑うならば笑え。

これが俺の惚れた親分、ナンブ・リュウゾウなのだ。


これが任侠道、これが親分たる者の生き方なのだ!

このヤハラ、だからこそこの親分に仕える。

そしてもしこの男が、子分の飢えるを見ながら美食に舌鼓を打つならば、私は必殺の刺客団を編成し、かくじつに葬るだろう。

そのときはヤハラの死。


ともに腹を斬って行く先の道案内をしましょう。

いや、殿は極楽、私は地獄行き。

行く先を照らすことはできませんなぁ。


いや、俺と大将の将来の話ではない。

金儲けの話だ。


「でしたら殿、娯楽都市を作ってはいかがでしょう?」


「娯楽都市?」


「そう、遊興の三本柱とはなんでしたかな?」


「飲む、買う、打つ」


「左様、ならば東領地のあらたな姿は、享楽都市。酒と女と博打で興すべきでしょう」


「上手くいくかね?」


「殿は酒はお嫌いですかな?」


「いますぐ『酒ヲ愛ス』という詩を吟じれるほどだ」


「でしたら女は?」


「恥ずかしながら、輝夜の世話になっている」


「古今東西に誇る美形ですな。では命をベットした戦さはお好きですか?」


「俺が死ぬ訳ないだろう。賭けにもならん」


「ですが戦さは常に死ぬか生きるか、五分と五分にござる」


「その五分を確実な勝ちに持ち越すため、俺はヤハラという男を呼んだのだ。親父どのに無理を言ってな」


「可能な限り尽くします」


「ならば答えよう。俺は戦さが好きだ。命懸けだから面白い。勝ち戦さが確定してればなおさらだ」


「結局、殿も飲む、買う、打つが大好きなのでしょう。民草莽の男子、すべからく殿と心はひとつです。ですから遊興都市カジノを作りましょう!」


評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ