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未来への展望

大捕物から一夜明けて、私たちは南領を仕切る兄上のもとへと帰還した。

ことの次第を報告し、報奨をいただくためである。

兄上御目見えは大将、ナンブ・リュウゾウと私の二人だけ。


私が御目見えの場に上がれたのは、事務手続きのためである。

正しくは兄上も大将も『貴族の子』であるので貴族ではない。彼らは爵位を授かってはいないのだ。


だから誰でも声はかけられるし、既知ならば屋敷へ遊びに来るのも自由だ。

しかし、やはりそこは次期男爵さま。

ということで御目見えにも遠慮が必要なのだ。


ナンブ・リュウゾウ、朗々と事の顛末を報告し、兄を兄上と仰いだ上で「差し出がましい真似、申し訳ございません」と詫びで締めた。

そう出られると怠慢の限りを尽くしていた兄上も、苦々しい顔をしながら、「御苦労であった」とねぎらわざるを得ない。


「少ないが取っておけ。今後も兄に力を貸してくれよ」


そのように言うと、従者が三方に革袋を乗せてしずしずと歩いてきた。

報奨の金貨である。

しかし、見るからに少ない。


これは今回の働き、兄上にとって苦いものであったということだ。

当然である。

己の怠慢の尻拭いを、弟が買って出たのだから。


要するに自分の不甲斐なさが今回の捕物を招いているという証拠に他ならないのだ。

これはぜひとも男爵さまに告げねばなるまい。

私も心に決めていた。


なにしろ今回の旅費にも満たないような報奨金だったからだ。

開けてもいないのにそんなことがわかるのか? と読者諸兄は仰せだろう。

しかし三方の上で力無く横たわる小振りな革袋を見てしまえば、私の気持ちがわかっていただけるはずだ。


こんなケチくさい男を男爵に立ててしまったら、男爵さまの領地はどうなることか?

それとなく胸の内に、不吉な予感が立ち込めてきた。

幸いにして男爵さまは未だ健在。


私の知る範囲ではかくしゃくとされていた。

引退、隠居にはまだ時間もあろう。

だがいつまでも、ということもできまい。


それまでの間に、この三男坊を跡継ぎ候補にまで押し上げなくてはならないだろう。

そうでなければ、男爵さまの領地は危ういことになる。

いや、国そのものが危険にさらされかねない。


なにしろ導火線にはすでに火が着いているのだ。

その導火線は、確実に近隣諸国の弾薬庫を吹き飛ばす。

そうなったときに、あの男が男爵では困るのだ。


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