出撃準備
そして早いことは早いものである。
その夜のうちにアヤコから山賊に関する情報が入ったのだ。
となりの子爵領地から王室へと、献上の品々が運ばれるそうだ。
そしてこれを山賊どもが狙っているという。
これが奪われれば男爵さまは窮地に立たされることになるだろう。
なにしろ王室への献上品。
なにしろ男爵領の山賊がしでかすこと。
アヤコに荷運びの日時を確かめると、三日後には南領に入るという。
すわ、一大事。
速やかに大将、ナンブ・リュウゾウの元へ駆けつけ、事の次第をせつめいした。
「北領親衛隊、出撃準備!」
自ら立ち上がりまずはテーブルのビスケットを口にして、水を飲む。
それからナンブ領特有の平服に袖を通し、戦さ仕立てを整える。
私はすでにシロガネ・カグヤ、クサナギ先生に出撃の意志を伝えて回っていた。
私も部屋に戻り戦さ仕立てを整える。
アヤコが手伝ってくれた。
殿の部屋に戻ったときには、すでに親衛隊であふれかえっていた。
「まずはみなさん、落ち着いてください。拵えた戦さ装束も、一度解いていただきましょう」
私も焦っていたようだ。
山賊が働くのは三日後のこと。
今からこんな格好でポルコを囲んでも、賊に逃げられるだけだ。
「明日の朝一番で荷馬車を調達してまいります。鎖の着込みや刀剣はそれで運びましょう」
「丸腰で敵陣に乗り込むのかね?」
親衛隊から声が上がった。
私はその通り、とうなずく。
「可能な限り農民、町民という風情で敵地へ入っていただきます。目立たぬようにね」
そしてポルコの近隣に番所があった。そこで落ち合うことにする。
「そちらで改めて戦さ拵えをしていただき、頃合いを見計らって討ち入りします」
「結局、兄上の助成は得られぬか……」
顔を潰すことになるなぁ、と殿は憂いを見せたが、そこは私が励ます。
「男爵さま直下の御沙汰ですので、殿に咎はひとつもありませぬ。存分に働いて手柄を立ててください」
うむ、と上げた顔はすでに戦さ人の顔であった。
「それではこれより軍師ヤハラどのの指示に従い、合戦の準備を整える」




