まずは酒と飯
一同宿に入る。
「しかし軍師どの、南領地に入るなりこの対応では先が思いやられますぞ」
シロガネ・カグヤが私に訴える。
先程までは「手柄は独り占め」と息巻いていたのだが、後衛というか兵站がこの有り様では、不安を感じるのも当然である。
「となると殿、ここは兄上にお目通りし、山賊討伐を正式なものとするのが上策かと」
「うむ」
本来ならば頭首である男爵さまからの依頼なので、山賊討伐には正当性がある。
しかしやはりこの領地を支配しているのは兄上であり、私たちは客分にすぎない。
暴れるのであれば兄上の了承と現地の後援を受けるべきである。
「ではヤハラどの、今宵はこれで酒と飯だな」
「よろしいかと」
兄領では赤い火酒が出た。
トウモロコシから作るウィスキーという酒だ。
北領では水のように澄んだ酒である。
こちらは米から作られた酒だ。
そして北領では川魚がメインの惣菜だが、こちらでは肉が出た。
ウィスキーに肉である。
食文化に違いはあったが、みなよく飲んでよく食った。
あまるくらいに力をつける。
「アヤコ、おるか」
大将が私付きのシノビを呼んだ。
「ヤハラどのの相手をたのむ」
アヤコは私の酌をしてくれた。
そして大将の傍らにはシロガネ・カグヤがあった。
夜も更けて、親衛隊たちは一人、またひとりと自室へ帰る。
私もアヤコに手を引かれて部屋へ戻った。
ベッドに腰をおろすと、アヤコは衣を解きはじめた。
シノビの味わいというものは、なかなかに上質なもので、あふれるほどたまった私の元気も程よく抜いてもらえた。
今回はちょっと短い更新です




