力士隊の死に装束
誰にも理解してもらえない封建制度の崩壊に憂いを馳せていると、またもやみちのく屋が荷を届けてきた。
堂々たる甲冑だった。
それもデカい。
さらには厚手の何重にもなっている革手袋。
ナックルの部分に何が入っているのか、やたらと重たい。
おそらく十八オンスでは済まないであろう。
「おう、届いたか」
稽古の汗を拭いながら、ナンブ・リュウゾウが執務室に入ってきた。
この男の注文なのだろうか? と訝しむ。
我らが大将は荷をほどいた。
次々出てくる立派な甲冑。
そして重たい革手袋。
私も品の良し悪しをジックリと見た。
重厚な鉄製の鎧である。
ほぼナンブ・リュウゾウクラスの貴人が着用するような拵えであった。
つまり、バカ高い値段である。
「ヤハラどの、どうかねこの鉄の鍛えは?」
「はぁ……素人意見で申し訳ありませんが、相当に鍛えられた鉄と見ます。それこそナンブ・イズモに伝わるカタナに負けるな追い越せという意気込みを感じる鍛えと察します」
「さすがヤハラどの。慧眼であるな。いかにもこの甲冑の鍛えはただではない。なに、この戦さで勝つことができれば、お釣りくるような金額である」
勝手なことをぬかしやがる。
しかし下級貴族たちの教えは、まず戦さに負けないこと、なので仕方ないと言えば仕方がない。
そして甲冑を眺めながら使用人に力士たちを呼びに行かせた。
ほどなくして、全身汗と砂にまみれた大男どもが現れた。
ナンブ・リュウゾウは言う。
「力士隊専用の甲冑だ、サイズを確かめてみよ。もしも数が足りなければまた注文する」
力士隊? はて、いつの間にそのようなモノが組織されたやら。
まあこの大男どもだけで相撲の稽古をしているのだから、そのような編成があってもおかしくはない。
とにかく大男連中は甲冑その他を担いで、大広間へと降りて行った。
仕掛け人であるナンブ・リュウゾウも降りてゆくので、私もそれに従った。
力士兵たちは汗を拭い砂を落として、甲冑を身に着けている最中だった。
その姿が異様というか……。
広間に入ってきたクサナギ先生も、すげぇ甲冑だな。と言ったほどである。
肩口や背中に防御が振り分けられた、亀のような姿なのだ。
「なるほど、力士兵らしい死に装束だな。リュウの字、お前の考案か?」
「はい、敵陣へ飛び込むにあたり槍で突かれぬよう肩口と背中の守りキビシく。諸手を突きては刀剣に斬られぬよう革手袋をはめさせまする」
ん? いまなんと? まるでそれでは力士隊、刀槍の群れに無手で突っ込むような物言いではないか。
やるな、十二時間勤務! なかなか書く時間がとれねーぜ! ということで予告なしに更新が止まることがあるかもしれません。ですが一日置けば更新されるとおもいますので御了承を。とか言っていたら夜勤十二時間のあと日勤を命じられました。更新の目処が立ちません。再開まで少々日数をいただきます。




