表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
100/193

ナンブ一家の貧乏一直線!

ナンブ・リュウゾウの練兵はすぐに始まった。

まずは徹底して剣術。

さらには柔術。


そして体格のよい者は相撲と、とにかく稽古に継ぐ稽古。

北区画はいきなり汗臭くなった。

そして私は兵を募集する。


急の募集ではあったが、モミジたちがよく人を集めてくれた。

これら臨時の新規兵には槍を持たせて走らせて突き。

藁人形に向かっての突き。


そして全員そろって右、左、右と部隊活動を徹底させた。

北区画親衛隊三十、みちのく屋が百からいて、そこに募集の兵がニ百も集まってしまった。

総勢三三〇という、男爵家三男坊とは思えない大部隊となってしまった。


男爵家三男坊程度ならば、兵を一〇〇も有していれば御の字というところなのだが、北区画から各家の次男坊三男坊がいなくなるのではないかという勢いである。

武器をかき集めた。刀はなんとかなる。


しかし甲冑は高価すぎた。

仕方なく撃剣の胴とキャップ型の鉄鉢を集める。

さらには鎖の着込みだ。


「ヤハラどの、木盾でよいから兵に持たせてやってくれ」


財布のことを考えていないナンブ・リュウゾウは、簡単に言ってくれた。

募集の一般兵は弓矢と鉄砲の扱いを仕込み、一斉に矢を射掛けることを教え込んだ。

北区画にも十ほどだが旧式の鉄砲がある。


これら飛び道具をどれだけ回転よく使うか?

そこが勝敗の鍵といえた。

おそらくドルボンドは、その辺り稽古十分で挑んでくるはずである。


まず十名程度の鉄砲隊は軍全体に取り上げられるはずだ。

軍とは、通例ならばワイマール王国兵全体を三つの部隊に分けて編成される中の一軍である。


ワイマールの常在兵は一万名として、これを三つの軍に分けるので、通常三三〇〇〜三四〇〇名の軍である。

一軍は王室公爵の軍であり、これを率いるのは国王、もしくは第一王子、あるいは国王プラス第二王子。

二軍は伯爵たちを主力とした軍勢で第二王子または第三王子がこれを率いる。


三軍というのは子爵男爵といった足軽貴族が主で、第四王子が率いることが決まっている。

そして三軍の面白いところは、イズモ伯爵が編成されていることである。

イズモ家というのはナンブ同様、異民族でありながら武功により爵位を授かった家柄なので、最前線が義務づけられているのだ。


なお、辺境伯というものも存在しているが、これは基本二軍に属しているが、そうもいっていられない役割である。

なにしろ敵の侵略を真っ先に受け止めなければならず、ここの勝敗が国の命運を握っていると言っても差し支えないからだ。


そしてそれぞれの部隊には性格というものがある。

一軍というのは基本的に戦利品のことしか考えていない。

戦争に勝ったら一番に戦利品をガバチョとさらっていく連中だ。

それ故にほとんど戦場には現れない。


二軍というのは決戦部隊。

三軍が屍の山を築いて開いた突破口から突撃して、トドメを刺す部隊だ。

その性格上手柄が大好きで、手柄によって褒美の量が決まるのである。


三軍足軽貴族たちは、褒美が出ても兵に駄賃を与えれば、ほとんど備蓄に回せない損な役割だった。

しかし幼少時より「男爵子爵たる者、王室に忠誠を尽くすもの」と教育されているため、利益の少なさに唇を噛みしめつつ戦場へおもむくのである。


いま少し、三軍の話をしよう。

男爵子爵ごときでは王室から直接褒美を頂戴はできない。

本来できない訳ではないが、伯爵連中の揃った二軍にやっかまれることがある。


よってイズモ伯爵が三軍全体への褒美を受け取り、そこからねぎらいの言葉と褒美を与えていた。

今回は急な戦さ支度であったので、正直北区画の財布はキビシイ。

そして戦さに出たとしても、ナンブ家もしくは北区画の財政がうるおうことは無さそうだ。

しかし「戦さに負けて国が滅んではどうにもならないのだ」という一念で、三軍の兵は剣を執るのである。


そして男爵さまから文があったのだろう。

南のコシダ・ゲンジロウから兵士を募集して良いかという問い合わせがあった。

しまった。

あちらも区画長が変わって以来、民の士気は高まっている。


あそこからも兵士が二百もあつまったり、東からも兵が集まると男爵さまは千人近い兵を有することになる。

そうなると伯爵以上侯爵未満というような大部隊となってしまう。

なにしろ南区画でも東区画でも、ナンブ・リュウゾウの人気は高い。


あれよあれよと人が集まり、ナンブ家の財政を圧迫してしまうだろう。

どうする私!

どうするヤハラ!


しかしそういったことには敏いナンブ・リュウゾウが口を挟んで来やがった。

鼻歌交じりの気楽さでだ。


「おう、ヤハラどの。雇ってやらんか。みな尽忠報国の士だろ」


このときばかりはそばにあった花瓶で殴ってやろうかと思ったくらいだ。


いつの間にやら、アラ百話♪

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ