義眼
「おお、寝てた間にできて……シャルル、お前配線弄ったろ」
「無駄だったから。はい、余ったパーツ」
箱にじゃらじゃらと入れられたネジやボルト。レールや電磁石まで取っ替えひっかえの大改造がされている。
「お前なぁ……喧嘩売ってんのか」
無駄だとか要らないとか、製作者にとって一番言われたくないであろうことをつらつらと述べやがるシャルル。殴りたいわ。でも絶対喧嘩しても勝てないわ。そこが一番苛々する。
「……帰るか。もうこれで充分だろ」
「待て待て待て。プライドへし折られたからといって帰ろうとするな。まだ大事な用があるだろう。我の巣に寄るのであろう‼」
あー、完全忘れてた。てへっ♪
男がやっても気持ち悪いだけだな。うん。心の中で思うだけに留めてて良かったわ。口に出してたら不味かった。主に雰囲気が気不味くなったこと間違いなし。
まぁ、実際のところ、記憶の彼方に忘却していた。当然怒ってらっしゃるグレアさん。普段は寂しく口を空けている眼窩に蒼炎が灯り、ジト目の視線攻撃が犇々と体に突き刺さる。
「んじゃまあ、寄りますか。借金返済に使えそうな金銀財宝も有るかもしれないしな」
「いや、自分で使えばどうかのう?」
「私財をそこまで擲ってまであの領地を救う価値があるのか?」
「いや、俺を助けるために自分の眼球犠牲にしたお前が言うなよ。……まぁ、お前たちの気持ちは何て言うか、まぁ嬉しいけどな。それはそれ。これはこれ。今は借金返済。そんで、借金の担保に売った土地を買い戻す。最終的には利益を出すつもりだ」
そう、思っていた。このときまでは。
※※※※※※
「ついたぞ?」
「ここか。っておお。この神殿?みたいなの護ってる植物魔獣、これお前の背中に寄生してビーム撃ってきた奴じゃね?」
「同タイプだな。アレの強化版と言ったところだ。侵攻にいたアレは移動できる代わりに砲撃能力は下がっている。が、これは防衛戦線としての役割が強いため、砲撃に特化し、移動等のリソースを全て攻撃に注ぎ込んでいる」
欲しいな。領地の防衛に。現状バリスタすら数が少ないからな。出来れば大砲を量産したいな。近づく前に敵を一網打尽、って感じで圧倒できる。
「欲望が駄々漏れよ?強欲なニンゲンは嫌いではないけれど」
「普通は逆じゃないか、それ」
「そうかしら。強欲で傲慢で地上の支配者を気取る大うつけにして星と神秘の開拓破壊者。それが古来よりのニンゲンの在り方でしょう。どこぞのお宝大好きな半神の王とか、大英雄の乗った船の船長とか」
……思い当たる人物はいるが、どちらも神話の人物。いや、前者の方は確か実在する可能性が高いとされていたか。そんな大英雄たちと並べられると俺は劣るが……
「やべえ。傲慢とか強欲とか、確かに思い当たる節がありまくるから全然反論できない。正論過ぎるんですけど」
THE正論。ド正論。吸血鬼や悪魔、ドラゴンとかの超常生物がいることを知らない人類種は確かに生態系の頂点に君臨していると、思い上がっていたのかもしれない。
思えば親父や国王は、トップの人間にしては異様に謙虚だ。いや、あの二人が特別なだけかもしれないのだが。
もしかしたら、万象の支配者にして究明者であると自分達を定義せず、弱者であると言う認識をいまだ尚、紀元というべき世界的宗教の発生から二千年以上経った今でさえ持っているからこそ、謙虚なのかもしれない。
無論、勝手な空想であり妄想であり、とても推理推論などと言えないものだが。
大門につく。石造りの重厚な大扉だ。が、セキュリティには不安が感じられる。
「爆破したら中入れるだろこれ」
「発想が完全に泥棒な件~」
「問題ない。魔法でロックと強化がかかっている」
ロックって、鍵穴は見えないが、生体認証でもあるのだろうか?こう、魔力とかで遺伝子スキャン、みたいな。顔認証とか指紋認証だったら終わったな。姿形丸ごと変わってるし。せめて声紋認証だったらいいのだが……。
《パスワードを、入力してください》
「パスワード式かよ。っていうか、一気に現代っぽくなったなおい」
「宝物殿の自動防衛機構だ。珠玉の宝を手元で愛でるのは良いが、盗まれるのは我慢ならんのでな。………我としては実に先鋭的で独創的なシステムだと思っていたのだが、地球人の方が早かったことが驚きだ」
少し悔しそうに、獰猛で凶悪な牙を歯軋りさせる。というかそんなに独創的か?いたって平凡普通なシステムだと思うのだが……。
でもポチポチと弄っているディスプレイがSF映画に出てくる空中に浮かぶディスプレイって感じで格好いいな。浪漫溢れてて最高だな。洞窟という宝物殿の立地も合わさって宇宙開発の秘密基地みたいだ。
「何で俺はカメラ、いや、ビデオカメラを作っておかなかった!」
「男の子は好きね。こういうの」
「自らとしても、かなり格好よくて先鋭的だと思うがのう」
「でも割りと魔力リソースを景観制御に使っていて燃費が悪そうだな」
「ティア、無粋‼」
思わず扇角と二人で拳を握りしめる。それを俯瞰して見るシャルルと別観点から見るティア。いるよな。こういうときに金の話持ち出したりする無粋極まるやつ。
その点、素直に興奮し、その小鼻から息を荒く吹き出している扇角なんかはポイント高い。ユニコーンの時の伶俐で鋭い目違って目はくりくりと大きくなっているが、逆に鼻なんかは小さくなっていたりする。
シャルルはもうね。なんか感想がおかんって感じ。完全に母親とか姉貴目線の言い方。まぁ、実際のところ最年長なんだけど。
「さあ、これが我に挑んだ愚者が落とした宝と、我に献上された財宝の数々だ。先の事件は我の不手際。存分に持っていくとよい」
「んじゃまぁ、お言葉に甘えて全部もらうわ」
「全部!?ちょっとくらい遠慮はしないのか!?」
そこにあったのは金銀財宝に加え、古今東西の宝物と武器、魔道具。ティアが何か言ってるが
「我は別に構わんぞ?持っていけ。吸血鬼、貴様は例外だがな」
「分かってるわよ。その事件のこと全く知らないし。それにこの程度なら、まぁ、欲しいものが無いとは言わないけど、向こうの世界で集めようとすれば何とかなるでしょ。今直ぐ欲しい、必要、というものはないから、そこまで興味は無いわね」
そんな感想が出てくるとは、流石大富豪。忘れてたけど、こいつ普通に金持ちなんだよな。
身なりも装飾の拵え一つ一つが、ここにある最高級の装飾具と同じレベル。家に行ったときも調度品の一つ一つが天上の品。神々の住まう楽園の宝物。
だが、真に驚愕に値するのは、それで尚、装飾具にその存在を主張せずに、予定調和のように佇ませるだけの美貌。
平静は傍若無人にして傲岸不遜の輩だが、黙っていれば正に天女。月からの使者のごとく映える月下美人。
「もったいないな」
「あら、何かしら。悪口を言われた気配がするわよ?」
笑顔の圧力。目が完全に笑っていない状態の笑顔で詰め寄られる。無言の重圧が、肩にのし掛かる。何も喋らない。されど、いや、だからこそ、その瞳は、仕草は、雄弁に不満を朗々と歌い上げていた。
「イエ、ナニモナイデス。No problem」
こう答えるしかない。怖ぇよ。あと怖ぇえ。冗談抜きでマジ怖ぇえ。超怖ぇえ。馬鹿怖ぇえ。言語能力が崩壊して語彙力が壊滅するくらいには恐怖。
吸血鬼と高々ニンゲン。そこにある純然たる生物としての格の差。比我の差は、大気圏を突破する勢いで開いている。
……使いどころが無駄すぎる。今じゃない。せめてもっといいところでその格の差を見せつけてくれと切に思う。
「おい、目当てのものがあったぞ」
小さな、古臭い洋館に置いてありそうな、金を拵えた木箱を抱えながら
「恐らく、性能の劣化も無い」
木箱の蓋を慎重に開け、中を拝謁する。
「お、マジか。って、結構年代物っぽいな。でも、精緻で流麗。いいじゃねえか。……古そうだし一応、殺菌消毒だけしとくか」
中にあるのは白い球体。もちろん、ただのボールなんかではない。
「湯沸かして、あと無水エタノールでもぶっかけるか」
消毒済みのゴム手袋を填めたあと、煮沸とアルコール消毒をし、清潔な布で拭く。うん、艶が出ている。光沢にも見えるが、材質は金属なのか?魔法文明はいまいちよく分からん。
進んでるな、文明。地球とは違った形だけど。こっちの奴等からすれば俺たちの方が何も文明を知らない原始人だな。ナーシェルからもこの程度も知らないのかと呆れられるしな。
やっぱりアイリスにもっと魔法について教えて貰うべきだったか。科学の基盤固めに忙しいからってこちらの世界を学ぶことを疎かにしすぎたな。アイリスとナーシェルに特別授業を開講してもらうとしよう。
まあ、それは後でいい。
しっかし、これサイズ調整は……お、横側にツマミがあるのか。ということは、
コンコン
叩いてみれば硬質な音が響く。これ、やっぱり中が空洞なのか。じゃないと機構が成り立たないと思うしな。入った光を中で受け取るってところだろう。多分普通のと構造事態は同じなんだろうな。
そういや、ライムはどうやって入れたんだろうか。サイズ調整を最小にして横向きに入れてからツマミを弄って適正サイズに調整、それから回して正面に向けるってとこか。
んじゃまぁ、一応マスクと帽子もしておいて、完全防備、とは行かないが、なるべく防護しておくとしよう。
「ティア。ちょっと来てくれ」
「何だ、何か移動させるのか?それならばグレア殿で事足りる筈だが」
来たティアの腕を引っ張り、膝をつかせて俺と目線を合わせ、顎を持つ。
「いいか?」
「え、何。……そういうことなら、私は拒まないが……」
ティアが何か覚悟したかのように瞼をを強く閉じる。いや、閉じられても困るんだが……。恐怖でもあるのかね。まぁあるわな、そりゃ。
でもま、許可が取れたので一瞬で髪をおばんどすえ。右目の部分を隠していた前髪を暖簾のように上げると、眼帯を素早く外し、瞼を開く。
「……ん?右目に何を……
「はい、ちょっと失礼」
ビーカーに入れていたそれをピンセットで摘まんで早業で捩じ込む。直ぐにツマミを回し、サイズを調整。そして正面に向ける。真っ白だったそれに美しい紫が浮かぶ。
ナーシェルのそれが薄く淡い紫に朱の絵の具を一滴垂らし、薄く紅が侵食したかのような儚く美しい赤紫だとすれば、ティアのそれは確りと紫と濃紺を混ぜ、練り合わせたかのような重厚感と高級感のある青紫。
「ほい、施術完了。なるべく菌とか毛が入らないように消毒、マスク、帽子で防護してたから大丈夫だと思う。手も消毒した上でゴム手袋嵌めてるしな。感染症のリスクはゼロではないが、極限まで抑えたつもりだ」
「問題ないわ。防塵防菌空間を創っておいたわ」
「って、マジか。……よく見ればさっきまで舞ってた砂埃が消えてる。時々お前って便利すぎて引くわ。まぁ、Thank You。さてティア、目の前、見えるか?」
戸惑いが未だ褪めない様子のティアだが、徐々にそのことを認識する。
「……見える。───右目が見える‼」
「後回しにしてすまんな。義眼だ」
目尻が陽光を反射し、キラリと輝く。少しづつ溜まったそれは、少しのきっかけで一気に均衡を瓦解させ、決壊する。
「ここに封印されていた邪神の欠片がまだ地上にのさばっていた時代、とある盲目の剣士が親友であり、当代随一の錬金術師だった男にに大枚を叩いて創らせた品。見たもののサイズや構造を把握する能力つきの一級品だ」
「盲目の剣士で邪神の欠片に挑めるだけの人物?暗黒の剣鬼か!」
暗黒の剣鬼、数あるヒトの伝説の一つ。暗黒とは決してその者が悪だとか卑屈だとかいう訳ではない。目が見えなかったのだ。生まれつき。
その者にとっては世界は一辺の光もない暗黒。それでも尚、恐るべき剣を振るい、矢を避け、戦場を疾駆したという。故に、暗黒の剣鬼。その二つ名はその偉業を称えている。
「そうも言われておったな。その戦いで死んだが。素晴らしい剣士であった」
「そんな神話伝説のチーターすら殺す邪神の欠片ねえ。本気でヤバイ品じゃねえか」
「今更ながらよく生きてたのう」
伝播する恐怖。やはり思い出す本能に根差した警鐘。そして死の感覚が全身を駆け巡る。
でもシャルルの方が怖いと思うのだが……気のせいか?
「はいはい。それがどんなのかは……大体想像が着くけど、私は知らないわ。取り合えず、話題が逸れてるから修正修正」
「そうだな。ティア。調子はどうだ?近視、遠視とかはないか?」
「鮮明。むしろ前よりも調子がいいくらい。でも、構造が頭に入ってくるのがどうにも慣れないかな」
「便利そうだがな。どんな感じだ?」
「見たもの全部の設計図が表示されてる感じ」
便利そうに見えて以外とめんどくさいかもな。一々設計図とか要らない時もあるし。
「というかそれ、両目セットじゃないかのう?」
「一応、片眼だけでも使えるようだな。我の見立てでは、恐らく視点変更でもう片方の目線も見える筈だが」
「あ、出来た。問題なく見える」
「でもこれどうする?二個も要らないだろ。もし良いなら興味深いし解体してもいいか?構造を調べたい」
神経に直接繋がることができる次世代的な義眼。錬金術の代物だとしても、構造解明、そして大量生産、コストカットの実現。そうすれば、目が見えない、目が悪い、といった事象をこの世から末梢出来る。
「うーん。……出来ればそのまま、持っておいて欲しい。直ぐに視点移動出来るから、なんというかヒグとの繋がりが出来ると、嬉しい」
超絶美少女の照れ顔の笑みの破壊力はそこらの核兵器よりも威力を出す。なんなら生物兵器とかそういうレベルである。
「あー、何だ?まぁ、本人の意思に任せるわ。これはお前にやるって言ったしな。これそのまま持っとくってのも芸がないし、加工するか。ネックレス辺りか?」
「ネックレスはもう着けてるがのう」
そう、小さな三角フラスコのネックレスを既にもう着けている。科学と言えばまず思い付くのが実験で馴染み深いフラスコだろう。ビーカーに比べて形状的にネックレスにしやすいし。
「そういえば、その三角フラスコのネックレス、地球でも着けてたわね。向こうで着けてたのは、もう少し加工技術が低かったように思うけれど」
「大事なものなんだ」
……エミリーが、作ってくれた。
旅行でエミリーがガラス細工体験をしたときにお土産に作ってくれた品だった。小学生が作ったものだから、少し歪んでて、今のものほど綺麗ではないが、それでも思い入れは断然、地球で着けていたものの方が深い。
「あるわよ。そのネックレス」
「え、あるの!?」
「というか、ここに来る前にちょーっと貴方の親族の精神操作して貴方が着ていた服と装飾品を貰って、機械類と高級機具を同じものを買って来たわ」
「本当に気が回りすぎだろ。Thank You。でもちょっと怖ぇえよ。……というか精神操作とか言わんかったアアアァァァ!?」
「人生に影響はないわよ。……多分」
「多分じゃ困るんやけどォォォォ!」
「日本語だし。というか、関西弁、出てるわよ」
こいつ、有り難いがしれっと他人の家族になにやってくれてんだ。というか関西弁は今論点じゃねえし。
「日本語、関西弁?」
「日本語は言語、関西弁は方言の一種らしいぞ」
「興味深いのう。発達した言語形態なら、念話の暗号になるのではないかのう?誰も知らない言語は最強の暗号じゃからのぅ」
「マスターするのは至難の技だ。悪いことは言わない。せめて最初は英語かフランス語にしておけ」
「「グレア殿でもそこまで!?」」
日本語は……発音は簡単なんだが文法と細かい使い分けがな。てにをはとか?そもそも、平仮名、片仮名、漢字の三種類の文字覚えなきゃいけないし。初めて学ぶ人に教えるのは難しいんだよな。
「はい、これね」
「マジか。……あー、やべ。目から汗が」
「涙でしょう……それ」
「泣くのを見られたくないとか、人並みのしょうもないプライドっつーか男の意地的なものは持ってるんだよ」
「はいはい。貴方、この中じゃ最年少、ガキも餓鬼よ?弱小種族の子供が泣かないで誰がなくのよ」
「いや、成人しとるんやけど」
「で、貴方が生きてきた年数、私の何千万分の一?」
「「「「単位がおかしい!?」」」」
※※※※※※
次の日
「戻ったぞ、ナーシェル、エドワード」
すると、設計図を挟んだクリップボード片手にナーシェルが優雅に歩いてくる。
こうしてみると女王の王冠にドレス、クリップボードという絵面は領主の俺よりも為政者らしい。よく似合っている。地味にクリップボードのデザインを独自のものにして、黒を基調に花の絵をあしらい、ドレスに合うように仕立てている。
「ククク、頼まれていた製鉄炉、取り合えず五十基ほど完成したぞ」
「何かその笑い声も久し振りな気が……って、俺そんなに頼んでないよな!五基ほどでいいって言ったよな!?」
「見事なノリツッコミじゃな。それでこそ、驚かせ甲斐があるというもの。なに、今後の事業展開と製鉄炉の輸出に向けて、な?何事も先回りは良いことじゃぞ?」
おいこら、こいつは独断でなにやってくれてんだ。
いや、いずれする予定だったことだ。問題はないのだが。優秀な奴が多いというのも問題だな。各々が突出しすぎていて手綱が握れない。暴走馬車だ。
「先ずは俺に一報入れてくれ」
「お帰りなさいませ、ヒグ様。旦那様から借金の減済と融資の約束を取り付けて参りました」
「アイリス、俺って融資の約束まで言ったっけ」
「出来ればして欲しい、というのがニュアンスから滲み出ていたので」
「優秀すぎない?」
「八年ほど、ずっとヒグ様を御世話させて頂いていますので」
やっぱり優秀すぎる。人間とは根本的にスペックが違う。体力面、物理戦闘能力を除いた全てにおいて人間はエルフに敗北している。薄汚さなら、勝てるかもしれないが。
「創、頼まれていた仕事は全て片付けた。今は職員に少しだが休暇を取らせている。ノルマは達成したからな」
「この頼んだことを頼んだレベルで、それ以上でも以下でもなくきっちりやってくれる安心感。でも、本来もっと時間がかかる仕事量の筈なんだけどな。やっぱりエドワードも優秀だわ」
もうこいつらに全部やらしといたら俺要らないのでは?要らない子?実際のところ仕事スペックは機械使わないと一般職員未満だからな。子供だから仕方ない。
うん。逆にそう思わないと俺のあまりの不出来さに死にたくなるからそう思うことにしよう。
「で、そろそろ例の薬屋の件だが」
「それがあったな。謀反決行はいつ頃だ?」
「六日後の総会の時だ」
「了解。んじゃまぁ、それまでに製鉄、仕上げるぞ。ナーシェルの造った製鉄炉、フル回転だ」




