輸血
これで一章終わりと言った所です。その為、今回は繋ぎ回です。
人工呼吸器もどき(動力は魔力)が届いた。設計図も渡してなかったから不安だったが、願いを聞いた魔獣が心象風景を絵に写すと言う能力を持った奴で、それの応用を使ったらしい。
あとは輸血出来れば完璧なんだが・・・
バタッ
「アイリスが危ないって本当!?!!!!!」
アザレア、ナイスタイミングだな。まぁ親友の危篤なら普通に来るわな。献血と輸血にについて少し話してみるか。どんな反応するか。
「あー、昔そんな実験をしたって言う記録が残ってたわね。血液は同じ型ならそのままだけど、違う型なら固まるとか。あとエルフは全員同じ型とか」
「おぉ、まさかまさかの全員O型国家か。こりゃありがたい」
O型の人間だけで構成された国家がある。O型とO型の間にはO型しか生まれない。また、他の型との子供でもO型率が高いので閉鎖的な国は全員O型で構成されているところもある。
他種族との婚姻をあまりしない。結婚しても外に行く事が多いエルフは特にそれが顕著なのだろう。今はそれがありがたい。
もしくは種族的なものかもしれない。ゴリラとか全員B型だしな。正式学名はゴリラ・ゴリラ。中にはゴリラ・ゴリラ・ゴリラが正式学名のゴリラもいる。誰が名付けたんだよ……。
「でもあれって飲ませても効果無い的な事を聞いたわよ。あと型の違う血を飲ませても問題ないとか。ただし、吸血鬼と間違えられたり喉で固まるといけないから気軽に血は飲むなって」
後者はともかく、前者はこの世界独特だな。いや、地球でも吸血鬼を騙るやつはいたな。というか実際に吸われたんだよな、血液。イギリスのロンドンの霊園で。
確かに人間の女性とは思えない身体能力だったが……
「それそもそもやり方間違ってるぞ。飲ますんじゃ無くて直で血管に入れるんだよ。因みにその場合型が違う血を入れると外敵だと思ってその血を間違って攻撃してしまう。だから固まるんだけどそれでまぁヤバイ事になる人もいるからな。もしやるんだったら充分に気をつけろよ」
「さらっと怖いこと言ったわね。そもそもそんな事やらないわよ」
さっそくアザレアから血を貰うが、これだけだと足りない。あとアテは……そうだな、ライムから貰うか。
冒険者ギルドに急いで走り、ライムに来てもらう。事情を説明して血を貰う。量的に心許ないがこれで頑張ってもらうしかないな。
「そうだ、なんか薬草のある場所知ってるか?なんでもいいから教えてくれ」
現代の病院の設備もない今のこの設備だともう異世界産の未知に頼るしかない。賭けに等しい。それ以外に方法がないと言う事に悔しさを感じる。
「あぁ、ひとつだけアテがあるぞ。死者の迷宮。アンデット渦巻くその場所には良質な薬草が揃っている。そこならもしかしたら、希望があるかも知れないな」
よし、一刻を争う。明日出発するか。ライムには感謝だな。準備を揃えて、急ピッチで銃弾作るか。急ぐぞ、あと何時間ある?
「乗り掛かった船だ。協力してやる。何回か潜った事があるから案内くらいはできると思うぞ」
ありがたいな。未知の迷宮で経験者の案内を得られるのはかなり貴重だな。ありがたい。
「助かる。頼んでいいか」
こうやって人の協力を得れるだけで、かなり恵まれてるな。だからこそ、絶対助けて、治して見せなければならない。
待ってろよ。アイリス。




