邪神の欠片
「クソガッ」
何が起こった?頭ぶん回して考えろ。ビーム。だが今までのブレスとは違った。視線をヒュドラに向ける。そこで見たのはヒュドラの中から化け物が出てくるところだった。
宝石の様なものから昆虫の様な脚が三対。更に蛸の触手が八本蠢いている。無茶苦茶な生態だ。昆虫類は節足動物。触手は軟体動物。
無脊椎動物には変わりないが、完全に別種だ。外骨格と外套膜が一緒にあるとかふざけてる。なんだあのワクワク無脊椎動物野郎。ウニの刺とか生えないよな?
『邪神の、欠片。破壊されなかったのか。あれは完全に破壊できる威力だった。そもそももうエネルギーがないはず。何処から・・・・、漂う魂からか。欠片は壊れかけだが・・・おいヒグよ。遠距離から攻撃しろ、近づいたらまずい。あれは危険な品だ』
あぁ、って正規軍?
「目標魔獣、個体識別不能。前方に子供、救出するぞ、突撃!!!!!!」
「やめろオォォォォォォォ!!!!!!」
ズパッ
触手の一振り。それだけで小隊が吹っ飛ばされた。上半身と下半身がオサラバしている奴が殆どだ。後ろの方にいたやつは転がって家屋にぶつかった。
ドパパパパパパッ
問答無用で十二連発。外骨格に弾かれる。破る事さえ叶わない幻想。中央部の紫色の宝石には全く届きはしない。後、触手に掠ったが、血も流れていない。というか血管がない。あれでどうやって動いているんだか。
「あ 主よな逃げろ!あれには勝てない!」
「逃げれるのか?」
車はない。走っても逃げれない。詰みじゃん。英語で言うとチェックメイト。現実逃避しか出来ない。どう倒すんだ。アイリスもこのまま放って置いたら死ぬ。時間も人手も攻撃力も、その他諸々足りない。
『グッ、どうすれば』
ドドドドドドドド
空からブレスが落ちる。それは高温のあまりプラズマのようになっていた。邪神の欠片もブレスで応戦をする。
あの圧倒的な力を持った邪神の欠片がが押されてる。今度はどんな超生物連れてきたんだか。怪獣大決戦とか始まるなよと祈りながらアイリスを回収する。
「全員今のうちに車の残骸まで戻れ!そこのえーっと助けてくれたあんたもついてこい。一旦離れる」
エスタに当たらないように奴を車から引き離して置いたのが幸いして、車の方まで逃げれば何とか巻き込まれずに済みそうだ。
『あれは、神獣。暗黒竜様だ。それに白虎様の気配も感じる良かった、死なずに済むぞ。とりあえず安心してその少女を助けよ』
神獣って伝説の樹皇帝とかの皇帝級の化け物集団か。そんなのが出張ってきてるとかどんだけやばいんだアレ。
「手術する。扇角、風で結界張れ。砂塵とかゴミを通すなよ。ティアは、闇魔法で感覚奪うやつがあった筈だ。アレで痛覚奪えるか?」
「視界なら目とか部分で掛けるから場所が分かってイメージできないと難しい。ヒグの知識でそこのところがわかるか?」
「身体中には末しょう神経がある。糸のように身体全体に巡らされている。そのうち感覚神経と言って肌とかにくっついてる神経があってそれで痛みとか熱とかを感じている。イメージできるか?」
「難しいが、やってみよう」
「牛頭はそこの、」
「ライムでいいよ」
「そうか。ライムと一緒にベットに乗せて傷口の近くを縛って血止めしろ」
羊の腸から作ったガット、昔のテニスラケットに使ってた糸と針を熱とアルコールで消毒する。これを手術で縫うときの糸にする。
「終わったぞ。次はどうする」
「傷口を縫う」
「「「「は?」」」」
「さっさと退け。まずは肺の血を抜く。血が溜まると呼吸ができなくなるからな。蒸気機関式雑掃除機で吸う」
「んでもって縫う。麻酔とか無いからティアに頼んだんだ。アイリス、もうちょっと耐えろ。ティアはこれでアイリスの口に空気突っ込め。ゴムで作った空気入れだ。アイリス、もうちょっとだ。もうちょっとだけ耐えろ」
「ヒグ・・・さま。まずは、御自分の・・・・・身体をゴホッ、ゴホッ」
「馬鹿が、お前の方が死にかけてるだろ。俺のなんかお前に比べたら擦り傷だ。喋るな。口から血が出てるぞ」
「ヒグよ、私だってこんなことは本当はさせたく無い。早く休むべきだ。全身火傷で酷いぞ。早く回復魔法を」
「全部アイリスに回せ」
「でもっ」
「もう、失いたく無いんだよ。頼む」
「ッッゥ、すぐに終わらせるぞ。それが終わったらヒグ、貴方だ。でないと死ぬぞ」
「ありがとう」