貴族パーティクソ食らえ
「アァ、面倒くさー。ていうかいる意味ある?世襲報告だろ」
「長男長女は出る決まりなの。文句は言わない、姿勢は正す。丁寧な言葉使いをする。くれぐれも失礼のないように。妹より兄のほうがだらしないのはなぜかしらねぇ」
「フッ、性格」
ドヤ顔で何言ってんだこいつという視線が突き刺さる。実際、興味の赴くままにという性格をしている。勉強はたまたま、興味があっただけだ。科学が好きでなければただの偏屈な無駄に合理主義な変な奴だ。
正直ウザイだろう。
貴族に媚売ってヘラヘラ笑うのは嫌いなタイプの人間なのだ。そして好きなことが出来ないのが大嫌い
一番貴族に向いていないパターンだ。
馬車でただただやられるだけ。となりの領地だったからいいものの、1日2日かかることなど、この時代にはザラにあることなのだ。
転移形の魔道具もあるが、遠くまで届くもので生物を送るのは、燃費が悪すぎて話にならない。もちろん、例外もあるが、生物と転移魔法は相性が悪いらしい。
「もうすぐだぞ。街が見えてきたぞ。ほら、あれが他の領地だ。よく見て勉強するんだぞ」
「へーい」
「はーい」
言わなくても分かるだろうが、前者がヒグ、後者がエスタだ。
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正直、観光地にきた感覚だとヒグは思った。イギリスの有名な観光地という感じだ。何処でそう考えてしまうのは、日本の現代人の性だろうそこは仕方ない。
しかし、旅行に行くどころか、実家の京都から出ることが無かったヒグには、最近になって外に出だしてから、全てが新鮮なので満更でもないが。もちろん、県内だけで、普通に旅行スポットの宝庫だから文句は昔からあまりなかったし、家でいろいろしていたら十分だという人間だが。
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「この度は・・・えっと、お招きいただき・・・ありがとうございます。・・・エスタ・フォン・ベルレイズです」
「ヒグ・フォン・ベルレイズだ。以下同文」
「こ、こらもう少し丁寧に!すいません、うちの息子が」
「いえいえ元気ですなぁ。気になさらないでよろしいですよ。レオン殿」
この腹の中の探り合いが気にいらない。そう思いつつ話しを聞く。というか、親父の名前はわりと。まともなんだよなぁ、などとどうでもいいことを考える。
「火炎」
「すげぇ。どうやるの?どうやるの?ねぇ」
「落ち付け。どんなに少なくても、魔力壱で出来るから、みんなも出来るようになるさ」
「ほら、あのように子供は元気なものです。そう言えば、2人の魔力はいくらぐらいですか。奥様は高いですし、レオン殿もなかなかの物です。それは高いのでは?」
実際魔力は遺伝する。だが、話しを聞いていると、胸のあたりがズキズキする。まさかヒト族初の魔力零だとは思っていないだろう。この情報は差別対象にならないように秘匿情報として扱っている。
「いやぁ、魔道具で娘を測ると子供用だったもので、容量オーバーでして魔道具が壊れてしまいまして、まだどちらも性格な数値はまだ分かっていないのです」
前半は事実だ。エスタのは壊れてしまったが、俺は測れている。まぁ驚きのあまり、魔道具が壊れているのではと、疑ったらしいが。
「よければどうですか?大人用もありますが」
「いえいえ、そこまで世話になるわけにはいきません。届き次第、こちらでやりますので」
「いえいえ、遠慮なさらず。どうぞどうぞ」
いえいえラッシュ。インドア派かよ。
「いえ、そういう訳には」
「それとも何か不都合が?」
親父はなるべくポーカーフェイスを保っているが、このままだと分が悪い。ここは一芝居打つか。
「お父様、少々人混みに当てられたので、馬車で休んできます。私は休んできますが、エスタはお言葉に甘えて測ってもらったらどうですか」
自分でやっててもクソ気持ち悪いが、まぁ我慢。実際問題この環境は気持ち悪い。
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馬車の中。
「まさかヒグ様にあんな言葉使いが出来たとは。ずっとそうなさっていればいいですのに」
「無理だ無理。自分でやっててもキミ悪りぃ。反吐がでる」
向こうでもり盛り上がっているが知らん。どうせ子供でここまでとは、とか言ってるんだろ。
貴族パーティクソ食らえ。
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