車の改良
帰ってきたぜ、我が研究所よ。危ない薬品との日々が俺をまっている。
「紹介しよう。ここが俺の研究所だ。くつろいでくれ。といっても無闇に物に触るなよ。下手したら死ぬかもな」
「「怖っ」」
俺を殺しかけたお前らがそれを言うなよって感じだけど、まぁ最初の反応は大概そんなもんだな。
いやぁ、アイリスの最初の反応が懐かしいな。いまは大分慣れてきたみたいだけどな。
「まぁ慣れてください。いいですか、ヒグ様のこの変な行動や知識に対する一番の対処法は諦観の境地に達する事です」
「そうだのう。今更ツッコミ要員が一人や二人増えたところで無駄だからのう」
「「うわぁ」」
なんか酷いこと言われてる気もするがまぁいい。勝手に言わせておくか。
「さて、今から鍛冶屋と細工屋に行くからついてこい。取り敢えず紹介して次お前らにお使いを頼んだときに顔パスで行けるようにしとくからな」
「鍛冶屋と細工屋はもう常連だからのう。鍛冶屋の常連はなかなかおらんと思うぞ。よっぽど武器を壊す馬鹿ぐらいだと思うがのう」
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「どもー」
「またお前か。今度はなんだ。またなんか作るのか。こないだは車とやらを作っていたが」
「車の改良型だ」
「設計図をだせ」
慣れてくれてるから話が早くて助かるな。
(訳)実際は呆れて諦めているだけである。
「助手さん、ちょっとこっちに来てください。この二人のうちどちらかがきたら顔パスでお願いします」
「失礼、そちらのフードの人の顔を確認しても?」
「あぁ」
あっちはあっちでちゃんとやってくれてるな。優秀なメイドは助かるな。
「ここと、あとここの回転する部分は細工屋の方に頼んでくれ。それから、こないだ王都のお抱え鍛治師が開発した新しい軽量化の術式、今までは丈夫さも失われていたんだが、今度のはそれがないらしくてな、これで試してみてもいいか?」
「こっちとしても軽量化してくれると都合がいい。頼んだ。で、肝心の代金は」
「新技術を使うからな。少し割高にはなる。そうだな、十万でどうだ」
「高い。却下。九万」
「そういうと思ったよ。図太いな。九万八千」
「否。九万五千」
「毎度」
案外金がかかったな。まだ余裕があるとはいえ、何か商売でもするか?もしくはまた冒険者稼業で稼ぐか。金はあるに越したことはない。
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「どもー」
「またお前か。今度はなんだ。またなんか作るのか。こないだは車とやらを作っていたが」
「車の改良型だ。というか細工屋、言ってることが鍛冶屋と一緒だぞ」
「取り敢えずこれ、頼まれてた顕微鏡とやらのパーツと、プラスとマイナスドライバー?だ。これ持ち手はつけなくていいのか?」
「あー、電動にするからあとはこっちでやる。顕微鏡の方がなー。これはトライアンドエラーだな」
「あ、アイリスさん扇角さん。その二人は?」
「新しい人手です。顔パスで」
「分りましたー」
「このパーツだな。八千七百でどうだ」
「八千三百」
「八千五百。八千七百で大分サービスしてるんだ。これ以上は下げられん」
「了解。契約成立」
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疲れたな。昨日寝ずに設計図仕上げたから流石に身体がもたねぇ。あぁ、眠い。
「扇角、乗せてってくれ。眠くて動けねぇ」
「了解。任せよ、眠りが覚めないように送って見せようぞ」




