謝罪の意味
この世界に来てから、3年がたった。
現在、妹は魔法の練習と、魔力の制御を学んでいる。何でも、魔力が異常に多すぎるらしい。よく隣で暴発した魔力が音を立ててたもんだ。そのせいでやたらと睡眠の邪魔をされた。
そして俺は、逆に、魔力がない。それも、人間、エルフ、ドワーフ、獣人をあわせてヒト族というのだが、ヒト族の中でも唯一無いらしい。
他の獣なら、そういうこともあるのだが、ヒト族は今の今までなかったらしい。魔力を溜め込む器官がないのだとか。
つまり、どれだけ鍛えようと、一生魔法が使えないという。
しかし魔法かぁ。アイツに言わせれば魔法じゃないみたいなこと言い出しそうだけど。使って見たかったのに…。恐るべしだな、マーフィーの法則。しかしどうなってるのか検証したいな。炎も、水も、風も。ゲームで見たようなものは大概存在する。メラゾーマ! とかやってみたかった…。
「ヒグ、外で剣の稽古でもしてきたら?身を守る為には必要よ」
「えぇ、めんどくさい。第一俺に剣なんて振れるわけないでしょうが」
なぜ剣の稽古が必要か。この世界には魔獣というものがいて、それから身を守る為。
無論、治安が悪いところもある。普通に盗賊がいるからなぁ。斥候とかそういう意味じゃない犯罪的な盗賊。
そして対策とは何かだが、今ヒグが描いているのが、銃の設計図だ。つまり、銃で身を守ろうとしている訳だ。
「でも、少しは体を動かして見るのはいかがですか?」
今しゃべった彼女、名前はアイリス。ヒグについている専属のメイドだ。ちなみに彼女はエルフで、エルフの名前は植物の名前を使う。らしい。
「なら、外に行くか」
※※※※※※
「で、結果がこれですか。呆れてものも言えません。糞尿をいじってどうするんですか。はぁ」
「硝酸とアンモニアを作っているんだ。文句を言うな。というか、なぜ文句が出る。硝酸は火薬作りに必要。アンモニアは色々用途がある」
まぁ、結果を知らないならこういう反応も無理無いか?
「というか、まともに体を動かす気ありますか?旦那様に頼まれているんですから」
「親父は無視しとけば?」
「公爵様を無視なんて普通出来ませんから」
だそうだ。肩書だけはすごいんだなって思いました。優秀そうではあるもんな、ウチの親父は。
※※※※※※
三ヶ月後。
「おっ、出来たな。やっとか」
「今日はこれからコラヌヨ辺境伯家でパーティーですから。服を汚さないでください」
やっぱりこの世界のネーミングセンスが変だと思うのは俺だけか。コラヌヨってなんだよ。違和感すげぇ。価値観の違いか。
「大丈夫だ。速攻で火薬作るから」
3分クッキングの開始と行こうか。
材料
木炭、硝酸カリウム、硫黄、砂糖。
今回作るのはなんの変哲もない黒色火薬だ。もうちょいいい火薬作りたかったが、何分、時間も材料もロクにない現状だからな。仕方ない。
まず、木炭 硝酸カリウム、硫黄を3:2:15の割合で混ぜます。
よく混ぜたら、糖を投入。そしてそれを何か袋に詰めて叩く。割としっかりめにな。
はい完成。
愛はどこにもない。ヒグの提供でお送りしました。
あの某絶対三分で終わらない料理番組風にしてみた。ネタが伝わっていないのがよくわかる。向こうでは世代間ギャップなんてものがあったが、こちらでは世界間ギャップか。桁がちげぇや。
アレ普通にこちらが一日寝かしたものですとか言うし、そもそも放送時間が十五分。CM抜いたら十一分くらいか? 三分に収めるつもりなくて開き直ってるんだよなぁ。
ちなみに愛は食卓にはないと思っている。どうも。
後は薬莢に入れる。ついでに雷酸水銀、水銀とアンモニアと硝酸を混ぜたものを一緒に入れる。銃弾をはめて、拳銃のシリンダーにはめて完成、リボルバー銃。
いやぁ、金貯めた甲斐があったなぁ。という過去の世界すごい。錬金術すごい。設計図用意して職人に投げたら作ってくれるんだもん。マジかよ錬金術。
金を作るって目的はあるけど、技術の殆を物質の形状操作に寄せてるっぽい。元素が違うから無理っていう悲しい現実はあるんだが…。まぁその技術のおかげで金さえあれば小さいものは基本作れる。神かな? それとも仏なの?
まぁ、あとは強度かなぁ。果たして衝撃に耐えうるのかどうか。どっかで試し打ちしたいな。弓道場とかねぇのかな。駐屯地くらいあると思うからそこに行ってみるのもいいか。
なにはともあれ、拳銃二丁と弾十四発完成した。弾倉に7発入る形式だ。ベルギーなんかで使われてた銃に少し似せてる。
ちなみに裏話。彼は二歳の誕生日、いろんな玩具をいらないと切り捨て、金を出せといい、ポーカーフェイスが得意な母の顔をひきつらせたとか。
詳細は不明。
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