国境検問所
今日は二回目の更新です
王都まであと三分の一というところで親父たちに追いつき、一瞬で抜かした。三時間のタイムラグも蒸気機関様様にかかればなんてことはない。追い抜かれた時の全員の唖然とした表情は今でも思い出し笑いしてしまう。あの口の開き方。
ブプッ。
危ない危ない。運転中に噴き出すところだった。それで事故ったらやばいからな。気を付けて進まないといけない。
しかし、誰しも馬車を抜かした時同じ反応をするのだから笑うなという方が無理だ。ここは肯定的に捉えよう。笑うということは免疫機能の活性化をさせる効果がある。
つまり体にいいということだ。うん、つまり笑うことは正義だ。
まぁそんな益体のないことを考えていたら王都が見えてきた。ここに来るまで二時間半くらいか。これを馬車だと八時間くらいかけてくる。
ちなみにパーティーと祭りが始まるのが十七時くらい。馬車に乗れと言われた時間は一時間半よゆうを持って六時半。エスタは普段まだ寝ている時間だ。
ここでだんだんとスピードを落とす。蒸気機関なので火の勢いを弱くしたり、あらかじめ穴を開けておいてそこに栓をして置き、その栓を外すことで蒸気の勢いを減らすとかいう原始的な方法だが。
「おい、そろそろ降りる準備しろよ。盗賊どもも、覚悟しとけよ。まぁ引き渡したあとアジトにいるお仲間さんたちもすぐそっちに送る予定だから寂しくはないな。ま、それまでは大人しくしとけよ」
「「「「「「この悪魔がッ」」」」」」
と言われてしまったのでこう返しておく。
「お褒めにあずかり光栄ですよ」
「「「「「「クソガキがーーー」」」」」」
今日はいい天気だ。絶好の祭り日和だな。
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王都検問所南口。今日は王国創立二百年のお祭りがあるせいで朝から人の往来が多くて大忙しだ。そんな俺のところに一台の珍妙な馬車、といっていいのかわからないが、ある物が来た。
不審に思いつつも検問の仕事をする。
「何か身分を証明できるものをご提示いただけますでしょうか」
するとなんと、ガラスの窓が下に沈んだのだ!(昔の車の回したら窓を開けたり閉めたりできるアレ)
「これでいいですか」
中から顔を出したのはまだ四、五歳程度の少年だった。そして渡してきたのはなんと貴族章だった。普通の奴ならここであしらって終わりだっただろう。ただ俺は妙な直感に従って調べてみた。
すると結果は、本物だった。危うく偽物呼ばわりしてしまうところだった。これは神様からのささやかな祝福かもしれない。
今日はいい天気。絶好のお祭り日和だ。




