国王
今日は更新三回目です。まだ見ていない人はそちらからどうぞ。
今日の車づくりのノルマを朝のうちに終わらせておく。国王が来るのは今日の昼過ぎ。それまでにできる限やっておく。礼服は汚れるといけないので、昼の会う寸前に着る。
今の服装は白衣の下にスーツモドキ。後は帽子被ってプラスチック製の安全メガネ。安全メガネは耳に掛けるヤツじゃなくてゴムバンドで留めるタイプのものだ。後は手にゴム手袋をはめている。
今日はひたすらカーボン樹脂を作りまくる。俺は機械俺は機械。なんか前にもこんなことがあったような。まぁいいか。
設計図に描いている車の形は、前は風を流せるように斜めにしている。イメージとしては長方形の前に直角三角形くっつけている感じだ。
「何をやっておるのだ、レオンの息子よ」
「車作ってる。つってもわかんねぇか。馬なくても動く馬車だ」
「それまた面妖な」
何やら誰かが話し掛けてきた、が、忙しいので手を動かしながら応える。レオンの息子という言い方から、恐らくは親父の知り合いだろう。
「ん?しかし誰だ?」
「国王だ」
「ふーん……って、え、はぁ⁉」
まさかの国王様降臨です。いや、おいおい。話が違うだろ。昼過ぎに来るんじゃなかったのかよ。
かなりのため口で話してたけど大丈夫か?不敬罪で首ちょんぱとか話になんない。通り魔に刺されるのも大概だが、絶対に嫌だぞ、そんな死に方。
「アンゴラウス、いたずら好きなのは昔からの悪い癖だぞ」
「すまんな。レオン」
「親父、えらく国王と仲がいいんだな……」
話を聞く限り、仲のいい同級生だったっぽい。わけわからん。
「で、さっきの話はどういう意味だ」
さっきの話?あぁ、車の話か。聞きたいのなら幾らでも語ってあげようではないか。
「水を熱すると蒸気が出る。この水蒸気は水の細かい粒子の間が広くなっていて体積が約千七百倍程にになっている。質量は変わらんけどな。体積が大きくなるとどうなるか。その場所では入りきらなくなって外に出ようとする。その外に繋がる管が細ければ猛烈な勢いで外に出ようとする。その力を使って、この車を動かす。……ゼェ、ゼェ、ゼェ」
「ほぅ、与太話ではなさそうだな。しかし、そこまで早口にならんでもよかろう。そもそも、そんな話を何処で?いや、これ以上の詮索は失礼だな。他者の創作物を奪わんとするとは、老いたものだな。すまん」
まぁいいけど。
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