決闘
エルフこそが至高の種族。短命で魔力の少ない下等種族の人間の、ましてやガキに、この俺が、俺が!負ける筈が無かったのだ。
なのに、なのにぃっっっっ。
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「武器を持て。構えて、木の葉が落ちたらスタートだ」
超ド定番。バトル漫画かよ。何、ライバルと競い合って強くなるの?って感じだ。笑える。
無風の環境下と仮定すると、たぶんあの葉だとあと五秒後か。
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「勝てると思うかの?」
「恐らく」
「我が愚息は、愚かだが、魔法だけは中々じゃぞ。あの年齢で勝てるとは思えん」
「詠唱する前に終わるかと」
「ほぅ、どう言うことかの?」
「それは見てのお楽しみで」
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勝負は一瞬で終わった。
木の葉が落ちた。いや、実際に落ちたかどうかは馬鹿正直に注視してた訳じゃないから知らないけど。引き金を引く。
───ドパッ
その音が鳴ったが最後、奴は崩れ落ちた。音速を越えた弾丸。音が届くよりも弾が届く方が僅かに速い。言わずとも俺の勝ちだ。
決闘用神代魔法具死なずの間。神代から伝わるにも関わらず、世界に150個以上もあるポピュラーな魔道具。
だが、有名でありながら、その仕組みは詳しく分かっていない。効果はこの空間で死ぬレベルのダメージを受けると排出される。一個につき八十人しか入れない制限つきだ。
よくそんな原理不明で不確定、科学的根拠がない物に命を預ける気になるなと思うが、信用される程昔から使われて続けている証拠だろう。
実際に、燃えることが酸化だと分かっていなくて、燃えることで何かが失われると考えられていた時代、いや、その遥か前、原理など究明しようとすら思われなかった時代から、炎は使われてきた。
当然だ。有用なら使う、ただそれだけ。この魔法具もそのパターンだろう。
「ヒグ・フォン・ベルレイズの勝利」
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