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大木は想いに耽る
エルフという種族は体力こそないものの、魔力が高く、賢かった。
あらゆる研究に明け暮れ、その長い人生を研究に捧げる。
だからここが好きだった。
しかし、褒められ、高い地位を手にすると豹変した。
次第に文明の進歩は足を止め、自分たちの得意な魔法しか、研究されなくなった。
あの誰でも使える道具が、生まれた時の資質に依存しない時代が懐かしい。
それも廃れた。きっともう戻らないのだろう。人族は皆、魔力に甘んじてしまった。
悪い事ではない。己の勝手な欲望だ。
不変不変不変不変不変不変不変不変不変不変不変不変退化不変不変不変不変不変。
それでも儂は、
もう一度、
あの頃の景色が見たい。




