初めてのイイネ
次の日の朝、まだ半分寝ている目を擦りながらスマートフォンを開き、アプリを確認してみる。
えぇ!?昨日登録したばかりで、イイネがもう12件もついてる。
すごい!私もまだまだ捨てたもんじゃないわね!
と1件1件にイイネ、を返しておく。
イイネ、を返すとマッチングしました!と画面に表示されるのを見て、なるほどお互いがイイネするとマッチングされた事になってメールが出来る事に気付いた。
とりあえずイイネくれた人には返しておいて、また通勤中にでも確認する事にした。
さ、朝食を食べて仕事の準備だー!
琴美の家から職場までは電車で20分。
満員時の電車は辛いが、もう慣れている。
メッセージは来てるかな、とアプリを開いてみると、何人かから、マッチングありがとうございます。と届いていた。
こちらこそありがとうございます。っと。
これ、色んな人と同時にやり取りしなきゃいけないの、大変かも。
ついでにメッセージをくれた相手のプロフィールも見てみた。
えっと、Sさん…34歳。あ!この人年収書いてる…400万〜650万…
400万と650万は結構違うと思うけどねぇ。
写真はまぁ、なんていうか普通。爽やかなタイプね。
職業は不動産…結婚の有無、いい人がいたらね。わかるわかる。
こっちのKさんはどうだろう。経営コンサルタント?年収1000万超え、これ本当なのかなぁ?
初回デート費用、割り勘?えー?稼いでるのにぃ?
と色々と物色しているといつの間にか職場のある駅に到着していた。
人のプロフィール見ているだけでかなりの暇つぶしになる。
ざっとしか見たところ、年収を書いてる男の人が多い。
○○コンサルタントって書いてある職種の多いこと多いこと。
コンサルタント書けばかっこよく見えるからとかじゃないでしょうね?
なーんて1人でぶつくさ思いながらスマートフォンをポケットにしまった。
「おはようございます、川上さん」
「おはよう沙耶ちゃん、早速登録してみたよ。でもまだ始めたばかりでよくわからないの、休憩中にでもまた教えて貰える?」
沙耶は綺麗に施してあるマスカラをパチパチと上下させて驚きの顔をした。
「川上さん、始めてくれたんですね!もちろんです!この金森沙耶が全責任をもってレクチャーさせていただきます!川上さんの婚活応援部隊代表として!」
「しーっ!恥ずかしいでしょ…しかも部隊代表って1人しかいないじゃない、その部隊絶対増やさないでよね。」
なーんてやり取りをしつつ、昼休憩のタイミングを合わせてアプリの使い方を教えてもらうことにした。
お昼休憩、いつのも食堂に来て先に休憩に出た沙耶の姿を探す。
あれ、沙耶ちゃん1人じゃないわね。まさか…
「川上さん!こっちですこっちこっち!」
呼ばれたテーブルに向かうとそこには同じフロアで働く別ブランドの美容部員さんの姿が。
「川上さん、お疲れ様です。」
「お疲れ様です、桐谷さんも休憩ですか。」
別ブランドなので仕事上そこまで接点がある訳では無いが、もちろん挨拶もするし名前も知っている。
しかしこのタイミングでここにいるという事は…
「応援部隊第2号、ゲットしちゃいましたぁ!」
増やさないでって言ったばかりなのになぁ…ふぅ…っと聞こえないくらいの溜息をついて席に着いた。
「桐谷さんもマッチングアプリ、されてたらしいんですよ!私よりも詳しいので色々教えてもらおうかと思って!」
「あら、そうなんですか?私も沙耶ちゃんにすすめられて昨日始めた所なんです。良ければ色々教えて下さい。」
桐谷さんもアプリを活用していると聞いて、琴美は少し安心した。
いい歳して出会い系なんて…と陰口でも叩かれたらどうしよう、なんて少しでも思ってしまってごめんなさい。と心の中で謝った。
「はい、私は1年くらいやってましたね。いい出会いがありまして今お付き合いしている方ともアプリで出会いましたよ。今はFacebookやInstagramくらい活用している人も多いんじゃないかしら。」
最初は出会い系なんて!と思ってたけど、これだけ身近に活用している人が多いなら、割と普通の事なのかも…もっと早く試してみれば良かった。
「そうなんですね!私もいい出会いがあればいいのだけど…今朝アプリを見たら12人の人からイイネをされていました。一応全てのイイネは返しましたが、こんな人には注意とか、気をつけなければならない事があれば教えて下さい。」
琴美がそう言った所で、沙耶と桐谷は2人同時にえぇ!?っと驚いた表情でこっちを見ている。
え、なに?私、早速何かやらかしてしまったの?
29歳、マッチングアプリ初心者の幸先は不安である。
お読みくださりありがとうございます。
引き続き頑張ります。