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先生、そばに居させて  作者: 遠宮 彩
1/1

出会い


多分、初めて会った時から恋に落ちてた。


編入先を決めるために見学してる時案内をしてくれた、あの時から、私は貴方に惹かれ始めていたのかもしれない。


私立の女子校。そこそこの進学校。

公立と違って異動がない私学の教員にとって不祥事がどれほど迷惑なことか理解してたからこそ苦しい。言えない。






職員室のドアに手をかけた。


カランコロン


「失礼します。」


あまりの緊張で顔があげられず、俯いたまま挨拶をする。

「3年D組の宮間みやまです。イギリスから帰国しました。」


「よろしく。担任のあずまです。」


そう言って差し出された手を握り返す。お洒落な雰囲気の若い男性の先生だった。


「あずませんせーー!!!!!遅刻するよーーーー!!!!そこにいる子も!!!!」


廊下から叫び声と走る足音が聞こえる。 



「もうそんな時間か、教室まで一緒に行こう。」


そう言って歩き出す東先生の後を着いていく。

大人な雰囲気と感じの良い担任の先生に少し胸を高鳴らせながら、新しい教室と新生活が楽しみだった。


初めて着るセーラー服がガラスに映ってるのを見て

大袈裟にスカートを揺らしてみる。

投稿中に見かけた周りの女の子のスカートが短いのを見て2回折ってあげた膝よりちょい上くらいのスカートの裾が揺れる。

高3からの編入と新しい教室に少し緊張しながらも、インスタで見ていた日本の女子高生の可愛さに教室を開けるのが楽しみで仕方がない。







「東せんせー!!転校生来るって本当ですかーー???」


私の話が聞こえてきて耳を澄ます。そろそろ挨拶をすると思うと少し緊張する。


「話早いな。本当だよ。宮間、おいで。」


そう言ってドアを開けてもらい、教室に入る。


「え!めっちゃ可愛い!ハーフ?金髪!!!!地毛?超可愛い、やばい!!」


注目が集まったのと褒められたことで恥ずかしくなり、隣に目を向ける。



だ、い、じ、ょ、う、ぶ

口ぱくでそう言ってくれた。


少し勇気が出る。

「宮間 花凛です。日本の大学に入るためにイギリスから帰国しました。宜しくお願いします。」


そう言って頭を下げる。

「「宜しく!!」」

と、挨拶してくれたクラスメイトに微笑んで、予め教えられていた席につく。


「ねぇねぇ、ハーフなの?」

「なんでイギリス住んでたの?」

「日本国籍?」

「英語ペラペラ?」


休み時間になると一気に質問攻めだった。

こんなに囲まれたのは初めてで気さくに応える。




「ねぇ、東先生かっこいいよね!!」

と隣の子に話しかけられる。凛子りんこちゃんって言うらしい。


ちょっとかっこいいななんて思って見ていたのがバレたのかと思って焦る。

「エスパー?」


「なわけ!でも雰囲気イケメンな割にポンコツで、残念だけどね!」


「ポンコツなんだ」

なんでもスマートにこなしてしまいそうな先生がおっちょこちょいな姿をイメージして、笑いが溢れる。


「まじ可愛いね?ハーフ?」


「ううん、クウォーターだよ。母がハーフ!」


「そーなんだ!目の色綺麗すぎる」


「ありがとう!容姿褒められるの慣れてなくて恥ずかしい」

照れた感じに笑った。


「嘘でしょ?やばい、天然記念物じゃん」

物凄くノリが良くて話しやすい。ここに来て良かったって改めて思った。


その日1日は凛子ちゃんが何から何まで教えてくれて、楽しい初日だった。

東先生も転校生の私が馴染めてるのを見て、

「友達出来て良かったな。」と言ってくれた。

ぽんっと去り際に置かれた手に少しドキッとした。










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