ばっかり君
俺は夢を終わらせた。なんにも見えないそれでいい。頑張るのも疲れたし、輝いていた将来ももう今や濁って真っ暗だ。
俺は歩く。真っ暗な洞窟の中。音も聞こえない、何も見えないでこぼことした道が延々に繋がっている。石につまずいた。転んで膝を打った。
何で俺ばっかり!
そう怒鳴っても、怒鳴り声は吸い込まれて消えた。会社で俺がどれだけ頑張ったと思ってる!どれだけバカな上司に頭を下げたと思ってる。何度も何度も何度も何度も!暴言吐かれて罵られて、それでも頑張ってきたのにまだ頑張れ!?一体何を頑張れって!?
「ばっかり君ばっかり君。君はどこにいるの?ばっかり君」
突然かわいらしい声が聞こえてきた。振り返ってみると、足を投げ出した俺のすぐ後ろに、ふんわりとしたチンチラが尻尾をふりふりとしながら二本足で立っていた。真っ暗な中、オーラにも似た柔らかな光をまとったそのチンチラは、灰色で、頬に真一文字の深い傷があった。人間界でいうヤクザのイメージピッタリの傷だ。
チンチラは俺の真横までやってきて、そっと隣に座った。
「ばっかり君はどうしてここにいるの?」
「は?知るか。でもいいんだ。ここにいれば仕事に行かなくていいし、クソだるい家族に愚痴言われなくたっていいんだからな」
「ふぅん」
説教じみたことを言うのかと思いきや、チンチラは何にも言わずにただ尻尾を左右にふわふわと揺らしながら座っていた。
なんなんだこのチンチラ。全くわけがわからん。
「なんで俺ってばっかり君なんだよ」
「俺ばっかりのばっかり君。だって僕は君の名前知らないもん」
「へぇ、言うときは言うんだな」
「まぁね」
「誉めてないんだけど」
このチンチラ、俺を批判するようでいて、でも言葉には一切そんなものは含まれていなかった。
「お前、名前は?」
「うーん、ないよ。僕はただのチンチラだもん」
チンチラは俺の方をじっと見た。その目はクリッとしていて、潤んでいて、純粋で、汚れがない綺麗な目をしていた。今の俺はこいつから見たら一体どんな風に見えるだろう。
「何だよ。俺はもう全部諦めたの。どうなろうがいいの。構うな」
「僕は何も言ってないよ」
「ふん!」
横になって肘をついた。無言のまま時間だけが過ぎて、俺はふと壁の方を見た。目が慣れてきたのか、いつの間にか自分がゴツゴツとした洞窟の中にいることがはっきりと分かる。
「ねぇねぇ!僕の探検に付き合ってよ!やること無いんでしょ?」
突然チンチラが声を上げた。もちろん特に断る理由もない。面倒くさいし喋りたくもないが、やることもないので渋々立ち上がった。チンチラは俺の手を握って楽しそうに歩き出すと、洞窟の中にあった小さな穴を指差した。
「こっちだよ!」
「いやいや、俺が入れんわ!何センチだと思ってんだよ!俺の体が入れるわけないだろ!」
「ねじ込めばいけるよ大丈夫!」
ねじこまれるのか俺は。
穴は直径45センチ程。そんな小さな穴に俺が入れるわけがない。
「ほら、ばっかり君出番だよ」
「だーもう!しゃーねーな!優しく押してくれよ!」
洞窟の中に這いつくばって、俺は穴の中に頭を突っ込んだ。俺の膝下よりも小さいチンチラのくせに、押す力は強く、つっかえた肩がギリギリと鳴って痛みで涙が出てきた。
「おいおい!痛すぎるんだよおめーは!!この怪力!ヤクザチンチラ!」
「ほらほら、早くいってよ!僕が通れないでしょ!」
「なら先に行けよ!!」
あーだこーだと言い合いながら、俺はなんとか穴を抜けた。そうして中に入った瞬間飛び込んできたのは、天も地もない不思議な空間だった。
足元はまるでガラス張りになっているように固く、それでいて立っているのか分からなくなるほどに遥か下が見えていた。辺りはそう、満点の星空。
突然宇宙の中に飛ばされたように、俺はまさに星空の中に立っていたのだ。人工的な光などない、正真正銘満点の星空を見上げれば、テレビでしか見たことがなかった巨大な天の川が流れていた。細かい星がより集まって、それはもう俺の語彙力ではあまりに不十分だった。
これを天の川と名付けた人はどれほど感性豊かだったのだろう。チンチラが俺の手を引いた。俺は手を引かれながら上下左右を忙しく見回しながら一緒に走った。
「ほら、ばっかり君、次行こう!」
「え?もう?」
「ほらほら次だよ!」
余韻に浸る間もなく、チンチラは俺を引っ張っていく。その先に見えてきたのは真っ黒な渦。
「それってまさか、ブラックホー」
「行くよー!」
チンチラが吸い込まれ、俺もまた否応なしに黒い渦の中に引き込まれていった。
体が何かに包まれる感覚がして、ふと目を開けるとそこは海の中だった。水の中なのに呼吸もできていて、目の前を次々に小魚の群れが泳いでいく。手を伸ばせば瞬間的に、一矢乱れぬ動きで方向を変えていく。水の中に注ぐ光は温かく、水中でゆらゆらとしていた。
「ばっかり君!見てみて!」
チンチラの声が聞こえてきて、ふとその方を見てみると、額から出た長い角にぶら下がりながら手を振っていた。
「おいおいおい!それってイッカクじゃんか!」
近づけば近づくほどに大きく、想像の何倍も速い。速いなんてもんじゃない。まさに新幹線がトップスピードで俺にぶつかりに来てるような、そんな感じである。
「ほらほら掴まって掴まって!」
腰が引けていた俺は、どうするか悩んだあげく、イッカクの角目掛けて手を伸ばした。角を掴む力が弱すぎて、弾き飛ばされかけた俺を、チンチラの手が強く捕まえてくれた。
「落ちちゃう落ちちゃう!早くー!」
俺はほとんど使ってなかった全身の筋肉をこれでもかと言うくらいに使って、半ば根性で角を掴み、腕を引っかけた。思っている以上に全身に圧がかかり、今にも飛ばされそうになるが、歯を食いしばって目を血走らせながら、それこそ死に物狂いというやつでなんとか食らいつく。
「ふんぐおおおおお!!」
その隣でチンチラは俺を見て大笑いしている。
「顔がすごいね!」
「なんでお前はそんな余裕なんだよ!人造人間か!」
これを言うなら改造チンチラかもしれないが。
「ちっちっち。アメイジングパワーを甘く見ない方がいいよ」
チンチラは人差し指を立て、リズムよく左右に振ると、頬の傷をつり上げるようにしてにんまりと笑った。ふと気がつくと横から巨大な岩が迫ってきている。
「僕ほどにもなると巨大な岩だって指一本でーー」
その瞬間、チンチラの姿が消えた。なんと、岩に指を突き立ててそのまま岩にさらわれているのだ。
「何やってんのお前ぇぇぇ!!」
「アメイジングパワー、ここで屈す……」
「そこは屈するなよ!」
俺はイッカクの角を離して、海の中に投げ出されたチンチラの側まで泳いだ。チンチラは俺に気づくと短い手足をパタパタと動かして俺のそばにやってきてくれた。
「わざわざ助けに来てくれたの?」
「あのな、あの状況で目の前で飛ばされていったら助けるだろ」
「ばっかり君はお人好しだなぁ」
「うっさいよ。で、これからどうすんの?海の中に投げ出されちゃったけどさ」
チンチラがいつの間にか腕の中に収まった状態で、俺は周囲を見回した。イッカクは既に小さく見えるほど遠くに行ってしまったし、周囲に乗せてくれるような生き物の姿もいない。
「ねぇばっかり君。僕の手を掴んで」
「は?何すんの?アメイジングパワーで何かしてくれんの?」
「アメイジングパワーをなめないでいただきたいね」
「さっき岩に屈してたくせに、っておわっ!!」
突然手が強く引っ張られて、一瞬イッカクの角をもう一度掴んだのかと錯覚してしまう。そうではない。目の前でチンチラの尻尾が凄まじい回転をしているのだ。もはや尻尾スクリュー。尻尾ブースター。でもその水が俺の顔に猛烈に吹き付けてくるのはなんとかして欲しい。
「当たってんだよ!お前の出す水全部顔にぶつかってるよ!」
「細かいこと気にしないの!」
細かくない!と突っ込もうとした俺は、急に開けた海の景色に絶句した。遥か下まで続く海は、まるで崖に囲まれた森が水没したように見えた。海の森の中をサメや魚が飛ぶように泳ぎ、俺たちもまたこの海の森のを飛んでいるのだ。
「すげぇ!すげぇよチンチラ!顔はヤクザだけど心は子供だな!」
「何それ誉めてんの?けなしてんの?あ、でも次が最後の場所だからさ」
と、チンチラは突然興味を失ったみたいにそう言った。顔に吹き付ける水をなんとか回避しながら、俺はチンチラを見た。前をいくチンチラの顔は見えず、俺は軽口で探りをいれてみた。
「えー、アメイジングパワー急に冷めちゃった感じ?」
「あー、燃えるのも早くて冷めるのも早いんでね」
「なんだそりゃ!でも楽しかったなぁ!こんなことが現実にもありゃなぁ!」
そう口にした途端、目の前が真っ暗になった。
握っていた手の感覚ももはやない。
そこにチンチラがいたという気配もない。
それは久しぶりに感じる強烈な孤独と、不安だった。
「チンチラ?お、おい、どこ行ったんだよ」
下も、上も、右も、左も、一筋の光さえもない真っ暗な空間に放り出された俺は、自分の声が震えていることに気がついた。
「おい!どこだよ。どこに、いるんだよ!」
すると、遠くから今にも消えそうな小さな声が聞こえてきた。
遥か遠くに見える小さな小さな光。今にも消えそうなろうそくのように、その光は消えかけてはなんとか持ち直してを繰り返していた。
そう、その光は、先程の活気などない、汚れて小さく丸まったチンチラだった。
「お、おい、どうしたんだよ。電池切れかよ。が、頑張りすぎだよバカ。な?ほら、大丈夫。大丈夫」
チンチラに触れると、あまりの冷たさに心臓が凍りつくようだった。目は虚ろで、俺が持ち上げても、小さな手が弱々しく俺の指を握り返す程度だった。
腕の中で、チンチラは今にも閉じてしまいそうな瞼を押し上げながら俺を見上げた。
「ばっかり君は、僕の方なんだ。せっかく君が売れ残ってた僕を飼ってくれたのに、僕はご飯ももらえてたのに、僕は毎日ケージの中。この中でしか生きていけないなんて、何で僕ばっかりってずっと思ってたんだ。砂浴びだってしたかった。野良猫みたいに外を駆け回りたかった。犬みたいに自由に外を散歩したかった。でもできなかった。楽しいことだってあったはずなのに、それを忘れて、どうして僕ばっかりって」
「待てよ。俺はチンチラなんて飼ったことなんてないんだぞ」
「真っ暗な場所でも、見る方向が変わればきっと素敵で幸せだったよね。洞窟にだってあんな素敵な場所があったんだ。それなのに僕、僕……」
「何だよ。何言ってんだよ!お前なんて飼ったことねぇんだよ!」
目が熱くて、弱っていくチンチラがぼやけていった。さっきまで、あんなに元気だったのに。たくさんの物を見せてくれたのに。なんだってんだよ。なんなんだよ。
「ばっかり君、君は、投げ出さないで」
チンチラはゆっくりとその目を閉じていった。俺の指を最後の最後まで弱々しく握ったまま、俺の腕の中で小さく丸まったまま、そっと目を閉じた。まるで眠るように、苦しむこともなく。
「お、おい!おい!」
何度揺すっても、チンチラは目を覚まさなかった。
「おい、アメイジングパワーはどうしたんだよ!見せてくれよ!なぁ、もっとすげーやつ!なぁ!なぁ!」
そうして初めて、俺はボタボタと大人げなく涙を流していることに気がついた。心臓の鼓動も聞こえなくなった小さな体を、強く強く抱き締めた。
「ばっかりって言ってたのは俺だよ。俺の方がばっかり君だよ。仕事でミスしたのは俺だ。反省しなかったのは俺だ。家族に八つ当たりしたのは俺だ。全部全部俺の問題だったんだ。俺がどんどん自分の殻にとじ込もって卑屈になってただけ!変えようと思えば、何度でもやり直せたのに、そうしなかったのは、俺、自身だよ……」
そう言った途端、急に遠くから光が差し込んできた。いつの間にか俺とチンチラは、元いた洞窟に戻ってきていたようで、差し込む光は洞窟の中のでこぼことした壁や地面を照らし出した。光はどんどん強くなり、俺はその光に包まれていった。
目が覚めると、俺は病室のベッドに横になっていた。どうやら俺は仕事に向かう途中単独事故を起こしたらしかった。腕を見ても、そこにあのチンチラの姿はなく、側に面倒くさそうな顔をする妻がいるばかりだった。その隣にはまだ幼い息子がおり、妻の顔色と、俺の様子とを交互に見ながら接し方を必死で模索しているようだった。
「全く、単独事故なんて何してるの?この子もこんなに小さくてこれからってときに、仕事クビになったらどーすんの!?」
妻の辛辣な言葉に、いつもならイラついて、もしかしたら机でもひっくり返してキレていたかもしれない。俺はゆっくりと体を起こして、そっと妻の手を握った。温かい。その感覚が異様にはっきりと感じられて、何故か涙が止まらなくなった。
「ごめん。ごめんな……ごめんな……」
「な、何言ってるのよあんた」
「ごめんな。本当にごめん。ごめんな」
俺は妻の手を離してから、幼い息子を強く抱き締めた。不甲斐ない自分が情けなくて、しばらく涙が止まらなかった。
あれは夢だったのかもしれない。単独事故を起こして意識がしばらく戻らなかった。その間に見たあの夢に出てきたチンチラは、俺に卑屈になってばかりじゃなくて、違う見方で頑張れよと言ってくれたのかもしれない。投げ出さないでとそう言ってくれた。
あれから俺は考え方を見直して、今じゃあ家族とも少しずつ歩み寄っていけてる。会社でも失敗こそあるが、それでも頑張れている。全部、全部あのチンチラのおかげだった。だから俺は、あのヤクザチンチラにだけは、恥ずかしくないように生きていこうと思う。
たくさん素敵な景色を家族と見に行こう。仕事に一生懸命になろう。月曜日からまた思いっきり仕事して、家族と話して、前向きに生きていくんだ。
「なぁ、そうだろう?」
空に投げ掛けたその時、
「お父さん!」
「ちょっとあなた」
息子と妻の声がした。
「なんだー?」
商店街を歩いていた俺は、雑貨店に駆け込んでいく息子と、手招きする妻を見た。
「見てみて!早く早く!」
息子は待ちきれずに俺の手を引いて雑貨店、ではなくその隣の胡散臭そうな店へと引っ張っていった。
「かわいいね!」
「こいつぁ売れ残りなんです。かわいい顔してても、こんな見えるところに傷がありゃ買われやしませんぜ」
その声はほとんど俺の耳には入ってこなかった。
目の前にいたのは、灰色のふわふわとした毛で、頬にヤクザを思わせるような傷の入った、小さなチンチラだった。
覚えている。その傷も、その顔も、その姿も、全部全部覚えている!
「こいつは売れ残り。仕方ねぇからこうやってケージの中に入れて看板動物にしてんだけど、売れ行きもないのにこいつの餌代ばっかりかさんじゃってな」
俺は恐る恐る手を伸ばした。チンチラは動き回れもしない鳥かごのようなケージの中で、俺に歩み寄ってくれた。
「驚いた。こいつが人に興味を持つなんて、こんなの初めてだ」
俺はそっとケージの扉に手をかけた。手が震える。全身が興奮と、言い様のない高ぶりで震えている。
「ちょっと、それ開けたら逃げちゃいますぜ!」
店主の言葉を無視して、俺はケージを開けた。中からチンチラが勢いよく飛び出し、腕の中に潜り込んできた。
温かい。生きている。分かってるんだ。お前はあの時のチンチラなんだろう!そうなんだろう!
抱き締めて触れた場所全部でその想いを伝えた。チンチラもまた俺の腕をしっかりと掴んで、頬を擦り寄せてくれた。
温かい。温かい。トクトクと心臓が動いている。生きている。
それだけで急に心臓が締め付けられるみたいだった。
「な、何この人。動物なんて全然好きじゃなかったのに……」
「俺もこんなに人になつく姿初めて見ました」
「お父さんいいなー!」
「お前だな!お前、なんだよな!」
涙が溢れだしてきて、チンチラは俺をじっと見上げながらキュッと指を掴んだ。まさか、まさかこんなところにいたなんて。まさか、まさかもう一度会えるなんて!
俺は店主の方を見ると、商店街の真ん中など関係なく土下座した。
「こいつを俺に売ってください!お願いします!」
「ちょっ、お客さん!」
「絶対大切にします!絶対こいつに後悔させません!僕ばっかりなんて絶対思わせない!砂浴びもさせる!外にも連れ出します!自由に走り回らせます!絶対に、幸せにするって約束します!」
そう言いながら、俺はボタボタと涙を落としていた。チンチラの弱々しい後悔の言葉が甦ってきて、その度に胸が苦しくなって、店主にではなく、チンチラに言っているようなものだった。
店主と、妻は数秒顔を見合せ、側にはどこか不安そうにすり寄ってくるチンチラがいた。諦められないんだ。こいつは、こいつだけは。
頭のなかに、小さく丸くなったチンチラの姿がちらついた。あの時の荒れてた俺は未来でお前をあんな風にして死なせてしまったんだろうか。だとしたら、絶対にそんなことはさせない。絶対に、絶対に。だから
「どうぞ。そんなに頭下げられちゃこっちも折れますぜ」
その言葉が耳に届いた瞬間、俺はチンチラを見た。チンチラもまた俺を見上げていた。そうして、強く、優しく抱き締めた。
「事故のせいかしら……。変な人」
「でも、お父さん、なんだかすごく嬉しそうだね」
「お、奥さん。なんならどうか店の品を……」
「あー、そうね。あの子と、それとそれも頂くわ」
妻が店主とやり取りをしている間、俺は輝くようなその目を見た。見ているだけで、触れているだけで、俺の人生を変えてくれたそのチンチラの存在に涙が溢れてくる。
「心配かけんなよ!あんな別れ方しやがって!反則だろ!反則だろまじで……。寂しかった。悲しかった。このバカ、ヤロー……」
乱暴に涙を拭ってから、俺はもう一度チンチラを抱き締めた。
「大切にするよ。もうばっかり君なんて言わせない」
チンチラはキュイと嬉しそうに返事をしながら、俺の頬を小さな両手で抱き締めた。