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久しぶりの古事記となりました。


前回から間が空きましたのでおさらいはこちらでここです。


さて、前回は天皇が天皇である根拠に話は向かうと申しましたね。


しかし、まだ国譲りは終わってません。


神々総出の話し合い


神勅「地上世界は天照大御神が知らす」という事になりました。


天照大御神の息子である天之忍穂耳(あめのおしほほみみのみこと)が知らせと天照大御神の命令があった訳ですね。


神勅を受けた天之忍穂耳が「ちょっと地上の世界を見てみよう」となって、天と地の境目にある天の浮橋というところに行くのです。


どうやら、そこからだと地上世界が見えるようですね。


ここで解った事があります。


実は天上界からは地上世界がよく見えないという事ですね。


見えていたら、わざわざ天の浮橋まで行く必要がありませんからね。

天の浮橋まで行かないと見えないんですね。

しかも高天原と葦原中国には境があるんです。


だから「神様はご存知だ」とか「神様はお見通し」とか言いますが、案外神様は知らないこともあるんじゃねぇか?とか思ったりして…


それで、天之忍穂耳は地上世界を覗きに行きました。

「葦原中国はひどく騒がし」と報告しました。


そこで高御産巣日神(たかみむすひのかみ)と天照大御神は天の安の河原に八百万の神を集めました。


高御産巣日神は古事記で一番最初に現れた神天之御中主神(あめのみなかぬしのかみ)の次に成った神です。


この高御産巣日神は、天の岩屋戸事件で巧みなシナリオを書いた思金神(おもいかねのかみ)のお父さんです。


合議


これは、何度も出てきますが高天原では何かあると神々が招集されます。


毎回、八百万の神を集めます。


そして、その集められた神々が話し合い、議論します。


そこで「では、こうしよう!」とかなるんですね。


そして、ここが重要なんですが天照大御神は自分のアイデアを話し物事を決める場面は一度もないという事なんです。


どんな些細な事でも神々が集められて「こんな問題があるのだけれど、どうしよか?」

と、会議を諮るのですね。


八百万の神がガヤガヤと議論をします。

そして話がまとまると天照大御神に「この様にするのが良いと思います」と申し上げるのです。


すると天照大御神が「そうですか、ならばそうしなさい」と仰る。


この天照大御神の「そうしなさい」が神勅なんですね。


ここで解るのが高天原は合議制であるという事です。


天照大御神の鶴の一声で決まる訳ではないのです。必ず合議を重ね総意を得るのですね。


これが日本オリジナルの民主主義なんです。


これは恐らく、古事記を編纂した時点で既に日本は合議制であったのだな!と理解出来るのですね。


日本以外の世界では支配する者がいて、その支配者が全てを決めるのです。


しかし、日本は世界にないオリジナルの民主主義を持っていて誰か一人が勝手に決めたりしないのですね。


で、この合議制が既にあったので古事記を編纂した時に地上世界の政治的意思決定システムを投影したのではないでしょうか?


そこでもう一歩踏み込んで考えるなら、この合議制がいつからあったのか?

当時の人々も解らなかったのではないでしょうか。

だから古事記を編纂する時に、その政治システムを投影したのではないでしょうか。


今はどうでしょう?


では今の日本は?


議会制民主主義ですね。


議会で議論をして多数決を取りますね?


「じゃ、古事記の中身と違うじゃないか!」と思いますよね?

確かに違うのです。


先の安保法制採決を見ても賛成単独採決(決して強行採決ではない)でしたね。


議会は全く議論にならず、グダグダと時間稼ぎをする野党。


対案や修正案を出した野党は僅かです。


これはギリシャ型民主主義ですね?

日本オリジナルの民主主義ではありませんからね。


日本オリジナルならば合議を重ねて総意を得るのですからね。


でも、総意を得るなんて無理やろ!人は皆意見が違うじゃないか!


ええ、ええ、解りますよ!

そう言いたくなりますよね?


でも違うのです。


合議を重ねるとか、総意を得るとか言うのは議論をする人々が皆、各々しっかりした意見を持ち、尚且つその意見を述べ違う意見を聞きそして違う部分を削ぎ一致点を見いだすことにあるのです。


そうして煮詰めながら出たA案、B案。

どちらが良いと思うか?を多数決で決めたり、或いはより良い案を生み出し決めることなんです。


例えば、日本中で拉致被害者を取り返さなくて良い!

と、考える人は極一部でしょう。


そこで、「我が国は国民の安全や平和、生存を守れているのか?」

と、思い考えますね。


もし守れているならば、では拉致被害者は一体何なんだ?


守れていないならば、どうするのか?


拉致が起きた原因はなんだ?


守れていないならば、何故守れていないのか?


守れているならば、一体どう守っているのか?


そこで「じゃあどうするんだ?」となるのです。


「俺はこう思う」とか「私はこう考える」となり「こうするのが良いと思う」、「いや、この方がいい」と意見をぶつけ合いながらでもここは一致するな、「では一致する部分はこれでいこう」とそこに総意が生まれます。


そこで拉致被害者を救うにはどうすれば良いか?

も決められるのです。


これが日本のオリジナル民主主義なんですね。


何の対案も出さず、ただ反対の為に反対し相手の意見を否定するような事は決して民主主義ではありませんからね。


先頃、菅官房長官が芸能人の結婚について話し「元気な子供を産んで頂き国家に貢献して頂きたいですね」という様な発言をしました。


これに何とかていうNPO法人が署名活動をして「発言撤回せよ!」と言っています。


こんなもんは完全に民主主義への冒涜です。


菅官房長官の発言は決して間違ってはいません。

そういう意見の持ち主だと言うだけです。


それを撤回せよ!と言うのは言論を殺す行為であり、官房長官の意見に賛同する人々もいるでしょうし、そのNPO法人の主張に賛同する人々もいるでしょうし、全く違う意見を持つ人々もいるのです。

自分達が絶対正しいと、だから発言を撤回せよでは官房長官の発言の意図も検証も出来ませんね。

また、違うことを認めないということは民主主義ではありませんからね。


違う意見を持ち寄り合議を重ねて総意を得るのが日本のオリジナル民主主義です。


違うことを認め、一致点を見いだす。


それが日本の本来の政治システムなんですね。


古事記とは、それらを学ぶ為の哲学書でもあるのです。


次回へ続く…

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